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太陽フレアと磁気嵐 太陽活動は人を死に至らしめるのか

© NASA . SDO太陽フレア
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4日、専門家らがここ10年で最も大規模なものと考えている一連の太陽フレアが発生し、現在まで続いている。多くの人々が、太陽フレアが原因で気分が悪くなったと感じ、一方メディアでは、太陽フレアが人々の健康だけでなく、様々な機器や宇宙分野、そして放射線からの安全に対しても脅威になっているとの報道が度々なされている。今回「スプートニク」は、太陽を恐れる必要はあるのか、また太陽フレアをどれくらい正確に予測できるのか、そしてその否定的影響に対処する方法があるのか、について調べることにした。

スプートニク日本

ロシア科学アカデミー地磁気・電離層・電磁波研究所宇宙気象センターのセルゲイ・ガルバシ所長は、今回の太陽フレアを通常のプロセスと考えている。

過去12年間で最強の太陽フレア 地球上の通信状態が悪化【動画】 - Sputnik 日本
過去12年間で最強の太陽フレア 地球上の通信状態が悪化【動画】
「太陽とは本質的に、周りに遮るものがない熱核融合炉であるため、その表面では常に何らかの現象が自然に発生している。そしてこの天然の炉は我々の地球のすぐそばにある。光の速さで移動する宇宙船に乗ればたった8分で行くことができるのだ。地球に最も近い恒星まではその30万倍の距離があることを考えれば、とても近い距離だ。望めば太陽にまで飛んでいくことは可能だが、もちろん誰もそんなことはしない。なぜなら太陽は非常に大きなエネルギーを放出しているからだ。その1秒あたりのエネルギー量は、現在の米国の電力消費量の9百万年分に相当するほど巨大なものだ。ロシアのセーヴェルヌイ博士の言葉を借りれば、『もし地球が厚さ百キロの氷の層に覆われていたとしても、それを完全に溶かしてしまうのに十分なエネルギー量』なのだ。地球に到達しているのはそのほんの小さな一部なのだ」

© 写真 : NASA/Goddard/SDO太陽フレア、2016年9月6日
太陽フレア、2016年9月6日 - Sputnik 日本
太陽フレア、2016年9月6日

だが、9月に観測された太陽フレアの一つは、2008年12月以来最も大規模なものだった。米航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星「ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)」による観測で、この太陽フレアのX線等級による強度は「X9.3」に分類された。その後これが人々の体調にどのような否定的影響を与え、それからどう身を守ればよいかといった報道が瞬く間に広がった。では太陽フレアの発生周期は解明されているのだろうか。

「太陽は生き物と同じように、実に様々なエネルギーを放出している。強いエネルギーもあれば、あまり強くないものもある。一番わかりやすいのは光だ。だがもっと極端な種類のエネルギーもある。それが太陽表面で目に見える形となっているのが黒点だ」とガルバシ氏は説明する。「この黒点も一種の太陽フレアのようなものだ。光を放ち、X線その他の電磁波も放出している。時には黒点から「プラズマ」と呼ばれる状態の物質が飛び出してくる。我々の地球に向かって飛んでくる何百万トンものプラズマは地球の大気と反応する。もちろん、このことはある一定の影響を及ぼすが、驚く必要はない。これは一定の周期で繰り返す通常の現象だ。太陽活動の周期は、8年や13年のときもあるが、平均でおよそ11年だ。なぜ11年なのかはまだ誰にもわかっていない。もし誰かがその科学的根拠を示すことができれば、おそらく彼はノーベル賞を受賞することになるだろう。太陽活動が最も活発な時期には、黒点も多く発生する」

「スプートニク」は、ここ数年の太陽活動における特筆すべき現象は何か、そしてその活動は時間とともに強まっているのかどうかについて聞いた。ガルバシ氏は以下のように答えた。

「2009年は太陽活動が極度に低下した年だった。これまでそのようなことはほとんどなかった。通常は50を数える様々な強さの磁気嵐が、2009年には全部でたった4つだった。一方最も規模の大きかった太陽フレアは、私の記憶では2003年10月30日に発生したものだ。当時モスクワ上空でオーロラを観測することができたほどだ。だがこのときでさえ太陽活動が原因で人間が死に至るということはなかった。太陽活動は従来の極小期と極大期の間で推移している。太陽が原因で世界の終わりがやって来ると考える必要はない。11年周期のどこかの段階で活動が活発になることは普通にあり得るが、ちょうど今は太陽活動の極小期に向かいつつある時期なのだ」

気象条件に敏感な人は、実際、太陽フレアが原因で体調が悪化する可能性はある。統計によると、太陽フレアが発生した時期における心筋梗塞の発症件数は増加するという。しかしガルバシ氏は、医師に対して疑い深く思い込みの強い人々が気分が悪いと感じるのは、太陽活動が原因ではなく、太陽フレアの記事を読んだあとだからだ、と強調している。

では一方宇宙分野に対する太陽フレアの影響にはどのようなものがあるのだろうか。

強力な太陽フレア さらに確認 - Sputnik 日本
強力な太陽フレア さらに確認
「もし何か普段みられない現象が発生した場合は、「ロスコスモス」社にある我々のセンターの観測結果を報告することになる」とガルバシ氏は話す。「宇宙分野に関わる人々に問題が起こらないよう、いわゆる宇宙天気予報を発表するのだ。最近の大規模な太陽フレアの特徴は、大量の陽子を発生させたという点だ。これは放射線レベルが少し上昇することを除けば、人間にとって危険ではない。さらにその放射線レベルの上昇も、通常のレントゲン検査のときよりも低い範囲のものなのだ。だが宇宙空間にある機器では、完全な故障も含め、トラブルが発生する可能性がある。1つの人工衛星を失うことの経済的損失は何十億にも及ぶ。我々は、そのような損失を発生させないために貢献できていることをとても誇りに思っている」

地球上では人々が、太陽フレアの「楽しい」結果を心待ちにしている。先の報道によれば、今回はモスクワでなくても、ロシアのいくつかの地域で太陽フレアが原因でオーロラが見られるかもしれない。例えば、ノボシビルスク州では今回実際にオーロラを観測することができたという。

© 写真 : Novosibirsk State University/Roman Belousov/Mikhail Maslovノボシビルスク州では今回実際にオーロラを観測することができた
ノボシビルスク州では今回実際にオーロラを観測することができた - Sputnik 日本
ノボシビルスク州では今回実際にオーロラを観測することができた
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