どうするレーニン廟?あるべきか、あらざるべきか【写真】

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今年11月はソ連社会主義革命100周年にあたる。この日を迎えたことで、過去の事件に関連し、今日もまた重要性を失っていない一連の問題の議論が再燃している。そうしたひとつに挙げられるのが、ロシア社会主義革命を率い、ボリシェヴィキ党の党首であったウラジーミル・レーニンの遺体の埋葬をめぐる論争だ。レーニンの遺体は1924年以来、赤の広場のレーニン廟に安置され、一般公開されている。

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全ロシア世論調査センターが今年実施した調査により、レーニンの遺体の埋葬問題はロシア社会でいまだに論争の的であることが明らかになった。回答者の約60%が埋葬を支持し、そのうち一刻も早く埋葬すべきと答えたのは約36%だった。残り約24%は埋葬自体を支持しながらも、「レーニンが明るい未来のための闘争の象徴であった古い世代にはこのテーマはかなりの心痛だ。この世代が生きているうちは埋葬は控えるべき」と考えていることがわかった。また、約32%が埋葬に反対で、現状維持を支持している。今年4月、下院(国家会議)にレーニンの遺体の埋葬についての法案が提出されたが、政府はこの法案を支持しなかった。

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ベネズエラでロシア10月革命100周年記念のレーニン像が設置 - Sputnik 日本
ベネズエラでロシア10月革命100周年記念のレーニン像が設置
全ロシア世論調査センター調査課のステパン・リヴォフ課長はスプートニクからのインタビューに答え、「ロシア社会にはすでに何年にもわたってこの問題に対する一致した考えが共有されていない」として、次のように語っている。

「この問題はロシアにとって急務の問題ではなく、支持、不支持を表明する割合も数年間変化がない。レーニンへの肯定的態度は主に2つの要因に規定されると思う。1つは我が国のソ連時代を懐古する気持ちから、2つめには多くは文学や映画を通して形成されてきた、この人物の好ましいイメージによるものだ。レーニンの遺体の埋葬案に対するロシア人の保守的な態度も一部はこれによっても説明がつく。世論調査では大多数が埋葬を肯定したにもかかわらず、彼らはその決定を強行することにも反対している。なぜなら多くの人にとってはレーニンは理想として、歴史上の人物として大事な存在だからだ。それでも社会の大多数がレーニン廟を観光名所として認識している事実も重要だ。これはレーニンのイメージを偶像化することが過去のものとなったことを物語っている。」

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レーニンの埋葬に以前から異議を唱え続けているのは共産党員だ。同党のゲンナージ・ジュガーノフ党首はこの案を冒とくと非難し、この問題にある国際的側面に注意を喚起している。「赤の広場とクレムリンはユネスコの世界文化遺産に登録されており、国際的な権威をも含め、同意なしにこれを変えてはならないことになっている。」ジュガーノフ氏はこう指摘している。

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ロシア正教会在外教会交流部の部長を務めるイラリオン府主教は、レーニンの遺体を土に返すという正教会の立場は変わることはないと語っている。「これは時間の問題であって意向が変わるものではない。レーニンはソ連の文化的コンテキストで形成された世界観を持つ市民にとってのある種のシンボルである。全員が全員こうした視点を分かつわけではないが、我々はキリスト教謙虚と忍耐を忘れることなく、社会のこの一部の人々の見解を尊重せねばならない。」

ロシア上院(連邦会議)のヴァレンチーナ・マトヴィエンコ議長はレーニンの埋葬問題は将来、国民投票にかけることができるとの見解を持っている。以前、プーチン大統領は「社会を真っ向から対立する陣営に二分するアプローチは取るべきではない。」として、ウラジーミル・レーニンの遺体を埋葬する必然性があるか否かの問題には極めて慎重にあたるべきとの見解を表していた。

ロシア史研究所の主任学術研究員のウラジーミル・ラブロフ氏はこれについて次のような見解を語っている。

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「自分の遺体を世代の崇拝の対象にしてしまうことに真っ先に反対しているのはレーニンのはずだ。血気盛んな無神論者だった彼にはこんな話は微塵も想像できなかっただろう。レーニン廟創設にはレーニンの妻のナジェージュダ・クルプスカヤ氏も、レーニンの兄弟らも反対した。レーニン廟創設を強行したのはこれを社会に指導者信仰を植え付けようとしたスターリンだったのだ。言うまでもなく埋葬は必要だ。なぜならレーニンは過去のエポックの象徴だからだ。これは私有財産を忌み嫌い、共産党以外の一切の政党を壊した人間ではないか。このすべては今日のロシアと真っ向から矛盾する。数年後には埋葬が行われるのは間違いない。これは不可避なことだ。今でも多くの人の意識にレーニンを支持する気持ちも、レーニンによる犠牲者、レーニンが残酷な戦いを展開した相手のニコライ2世を支持する気持ちも同時に存在している。問題は唯一、これをいつ、どういった形で行うかにつきる。遅くなればなるほど、世界観の混乱は広がるだろう。」

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レーニン廟は長期保存の遺体を見学できる世界唯一の場所ではない。ただし長期の遺体保存技術は稀有なものとされている。ベトナムの首都ハノイのホーチミン廟の建設、遺体の防腐処理にはロシア人専門家らが加わったし、毛沢東の遺体防腐処理を行った中国人専門家らもロシア人からのアドバイスを受け、晴れて1977年9月9日、天安門広場の毛沢東廟の開設にこぎつけている。ロシア人専門家らが遺体防腐処理の最後の注文を受けたのは、1994年、朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者、金日成氏が逝去した時だ。その17年後、同じ錦繍山太陽宮殿に息子の金正日氏が永久保存されている。ふたりの遺体は金の装飾が施された薄暗い大理石ホールの中に安置されている。

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