マグニチュード9のリスク:ロシア人学者「一番危険なのは北海道ではない」

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12月19日、日本政府の地震調査委員会の発表した新たな地震予測では、ロシアのクリル諸島から日本の北海道の間で今後、2011年の東日本大震災級のマグニチュード9の地震の起きる危険性があることが明らかにされた。

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調査では、今後30年の間に大地震の起きる可能性はおよそ40%とされている。スプートニクはこの40%という数値が果たして誇張ではないかについて、ロシア内外で最大級の地球物理学のセンターとして知られるロシア科学アカデミー、シュミット記念地球物理学研究所勤務のアレクセイ・リュブシン氏に見解をたずねた。

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地震発生の確率が40%というのはあまりに小さい。つまり地震が発生する確率は非常に低いということだ。しかも今後30年の間に、というのは期間としてはあまりに長く、大きな憂慮に値しない。科学はまだ100%の地震予知はできない。私は日本で最も危ないゾーンは北海道ではなく、日本列島の中心部で東京に近い南海トラフだと考えている。フィリピン海プレートが日本列島に衝突する部分だ。あらゆる地震観測結果からみると、この場所ではずいぶん前から異常な状況が見られている。日本に自然災害の際の特別プログラムが存在しているということは、危険が政府レベルで認識されている証拠だ。」

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地球上で発生する地震の85%はまさに太平洋の周囲を囲む環太平洋火山帯の中で起きている。このリスクゾーンには日本以外にどんな国があるか?

「メキシコだ。チリも大型の地震が昔から頻繁に起きている。1960年に発生したものはチリ大地震と呼ばれるが、当時の揺れの規模はマグニチュード9.3から9.5だったと評価されていることからこうした名称がついたのも当然だといえる。津波は高さ10メートルにも達し、その影響は日本やフィリピンにも達した。トルコ、イランも非常に危ない。それは北アナトリア断層帯がトルコを横切ってイランまで続いているからだ。2017年、イランとイラクの国境で起きた地震は破壊力が大きく、400人もの人命を奪い、今年で最も恐ろしい天災となった。地震学者らの調査では、北アナトリア断層帯は最大でマグニチュード7.8の大地震を起こしかねない。そうなればイスタンブールなどひとたまりもない。」

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ロシアには地震発生のリスクが高いゾーンとしてコマンドルスキー諸島、カムチャッカ半島、クリル諸島がある。

「一番危険が大きいのはカムチャッカ半島南部とペトロパヴロフスク=カムチャツキー市。地震はほとんどの場合、大洋の深海部で発生している。このため一番危険なのは津波だ。だが日本と異なりペトロパヴロフスク=カムチャツキーの沿岸部は高所にあるため、高い津波が発生しても町が浸水することはない。ただし港の周りの小規模ゾーンは例外だ。」

ヨーロッパも例外ではないのか?イタリア半島の中心部で発生する地震は弱く、通常はマグニチュード6.6を超えない。

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「ティレニア海(イタリア半島の西側からコルシカ島、サルディーニャ島、シチリア島に囲まれた地中海の海域)は深海地震の発生がありえる。なぜならここにはアフリカプレートとヨーロッパプレートが衝突し、ヨーロッパプレートが下に潜る沈み込み帯があるからだ。1908年にメッシーナ市で起きた破壊的な大地震をみれば一目瞭然だ。ギリシャも危険ゾーンにある。地中海の島々も基本的には全く同じく、アフリカプレートとヨーロッパプレートが衝突し、ヨーロッパプレートが下に潜って沈み込んでいるために地震発生の危険にさらされている。」

これでは全く地震発生の危険性のない場所は存在しないことになる。だが一方でいいニュースもある。研究者らは最も破壊的な地震は通常350年から400年の周期で起きることを裏付けたからだ。

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