ロシアと日本、魚を半分わけに

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露日両国が、2018年の漁獲割当量を決定し、その魚種別の構成や、両国の排他的経済水域での操業の条件についても、海の環境変化や水産業者の利益を考慮に入れて取り決められた。モスクワで終了した「露日漁業委員会第34回会議」で両国の研究者らが、来年に向け水中の生物資源を共同で科学的に調査する計画を作成した。

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この会議の結果について、ロシア側代表団を率いて出席したピョートル・サフチュク連邦漁業庁副長官は、「操業の条件は変化し、新たな対象も生じており、規制措置を修正する必要がある。今回達した合意により、ロシア側と同じように日本側漁業者の操業にとっても好条件が作り出されることになる」と総括している。

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両国の排他的経済水域における相互の漁獲割当量はそれぞれ6万5千トン。ロシアの排他的経済水域での日本漁船向けのサンマやイカ、マダラといった魚種別の割当量は2017年の範囲にとどまった。一方、ロシアの漁業者にとっては変化がいくつかある。「スプートニク」とのインタビューでサフチュク氏は、ロシアの漁業分野における成果と問題、そして日本側との関係についても語った。

スプートニク:露日漁業委員会の今回の会議を総括すると、主にどのようなものになるでしょうか?

サフチュク氏:我々は日本と、一方の排他的経済水域から他方へ移動する一定の「越境資源」について協力している。そのため、協力は互いに利益のあるものでなければならない。時代は変わり、操業の条件も変化している。ある期間、日本漁船は我々の200海里水域でより多くの漁獲量を水揚げしていたが、最近イワシや極東のサバについては、我々が日本の水域でより多く水揚げしている。そして日本は、これらの魚種のロシア向け割当量を2万8千トンから4万5千トンに拡大する方針に踏み切った。これは、できるだけ多く漁をすることに利害関係を持っている漁業者らにとって非常に重要だ。現在、サケ・マス資源の減少が観測されている。しかもサハリンだけでなくカナダ沿岸においてもだ。だがこれは純粋に生物学的理由によるものだ。その代わり来年にはカラフトマスの漁獲量はよいものになると予想している。また現在、極東にはニシンが数多くやって来ており、そのため漁業者らには仕事がある。我々の課題は、住民が水産物の不足を被らないようにすることだ。

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スプートニク:生態学上、そして世界全体の漁業にとっての損失としての観点から脅威となっている違法操業の問題について、会議では検討されたのでしょうか?

サフチュク氏:会議では、北西太平洋での操業規制が話し合われた。この海域は両国の200海里水域の外にあり、第三国の船が定期的に立ち寄っていて、規制措置が欠如しているため、管理されていない漁業が活発に行われている。そのため、北西太平洋でデータを収集し研究することで我々は合意した。その後、この海域で操業規制を開始することになる。

スプートニク:今年の初めに日本はロシアに対して、福島第一原発事故で被害を受けた地域に隣接する水域からの水産物の供給再開について問い合わせました。ロシア側の反応についてはご存知ですか?

サフチュク氏:この問題はロシア連邦獣医・植物検疫監督局の専門分野に関係している。福島県の沿岸地帯だけでなく他の地域でも、実際に放射線を巡る問題は存在した。だが、我々は魚を水深千メートルの深さで獲っており、この問題に直面することはなかった。それに加えて、それぞれの船には、引き上げた魚のひとまとまりの量それぞれの状態を示す線量計が積み込まれている。

スプートニク:2016年1月1日、流し網漁を禁止する法律がロシアで施行されました。当時、日本側は強い不満を表明しました。この問題は両国関係の議題から外されたのでしょうか?

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サフチュク氏:流し網漁については制限し禁止しなければならないと我々は考えている。現在まで米国と日本は流し網漁の手法を利用し、ロシアの漁業者は建網を使っている。我々の課題は、流し網漁を環境にとってより受け入れ可能なものに切り替えることのできる、別の漁法を選択肢として提案することだ。これは、海に生息する他の生物や鳥を失ったり殺したりするケースを最小限に抑えるために必要なことだ。我々はこのことについては科学界に任せている。

スプートニク:露日両国間での漁業分野において、科学との関連はどの程度重要なのでしょうか?

サフチュク氏:非常に重要だ。これについて我々は実行してきたし、今後も実行する予定だ。これは我々の利益に関わっており、非常に多くのプログラムがある。そしてこのことは沿岸地域だけでなく、南極大陸にも関係がある。残念ながら、天然魚の数が減少する世界的傾向を我々は目にしている。地球温暖化が影響しており、他の要因も複数ある。しかし一方で、養殖産業が成長するだろう。それほど遠くない将来、養殖魚の漁獲量は天然魚に匹敵するものになると私は考えている。さらにもう一つの見方がある。日本ではコンブが大量に食用として消費されている。コンブはヨウ素を含有しているという点で非常に健康によい食品で、ロシアでも北方や極東で非常に多くみられる。だが日本では、乾燥させるという形でより手の込んだ加工を行っている。ロシアではコンブはサラダあるいは缶詰めでより多く利用されていて、その消費量は日本よりもはるかに少ない。この非常に健康によい食品をアピールし普及させなければならない。そしてここでも、日本との協力が可能だ。

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サフチュク氏によると、現在ロシアでは30隻の漁船が建造されているという。近い将来には、極東だけで11カ所の水産加工工場が建設される予定だ。しかし、極東はロシア全体の漁獲量の70%を占める一方で、そこに住んでいるのは800万人に満たない。残りの住民に届けるためには、水産物を加工あるいは冷凍して、流通ネットワークを通して輸送し分配しなければならない。その代わり、すぐそばには日本、中国、朝鮮半島という、水産物を伝統的に消費してきた巨大市場がある。そのため、国内市場向けと国外市場向けの供給の合理的バランスをどうとるかという問題は依然として残っている。

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