どこの国のどんなプロフェッショナルがロボットに職を奪われるのか?

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これからの10~15年は、ロボット技術と人工知能(AI)の発展により世界がますます大きく変化し、文字通りロボットが多くの職業で人間に取って代わる時代になるだろう。全米経済研究所(The National Bureau Of Economic Research)によると、現在すでに工業用ロボットが工場から労働者を駆逐しつつあり、生産の自働化は人々の給与にマイナスの影響を与えている。

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PricewaterhouseCoopersの調査によると、2030年代の初めには、プロセスの自働化により米国で約40%、ドイツで35%、英国で30%、日本で20%超の人々が職を失うことになるという。古い職業に代わって新しい職業が誕生する。とはいえ、具体的にそれがどのような職業になるのかは、専門家にも正確に予測することはできない。

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雇用者からすると、ロボットの「雇用」は有益である。ロボットは高価ではあるが、24時間労働も厭わず、社会保険も必要ないため、すぐに採算ラインに到達する。オックスフォード大学の研究によると、専門性の低い労働や同じ動作の機械的な繰り返しを要するに活動に従事する人は、将来的にはほぼ100%の確率で機械に職を奪われるという。

研究者の予測では、郵便局のオペレーター、郵便配達員、販売員、保険業者、事務員、不動産業者、建設作業員など、幅広い職業がそれにあたるという。最初にロボットが人間を代替するのがファーストフード業界だ。

米国、シンガポール、中国、パキスタンのレストランではすでにロボットが使用されている。例えば、米国ではMomentum Machines社がハンバーガー調理ロボットを開発した。このロボットは完全に自律的である。野菜を切り、肉を焼き、パンを焼いて、ハンバーガーを作るのだ。

科学の進歩は職業ドライバーの職をも奪う。研究者らの予測では、近い将来、タクシーのサービスは自動運転車が提供することになり、人間の代わりに目的地まで商品を自力で配達する自動車が使われるため、長距離トラック運転手という職業も消滅する。

自動運転技術は飛躍的な発展を遂げている。現在、BMW、 Daimler、 Ford、 Apple、 Uber、 Google 、Teslaといった企業がこの分野の開発に取り組んでいる。とりわけUberは2016年にピッツバーグで自動運転タクシーFord Fusionをスタートさせており、Teslaは自動運転トラックの発表を準備している。Googleは2018年にも自動運転車を発売する予定だ。街中に自動運転車が登場するのは時間の問題である。

東京では、2020年のオリンピックで来日する外国人客のために特別に用意された自動運転タクシーが登場する。自動運転車の準備に取り組んでいるのはDeNAであり、自動車はトヨタのプリウスが使用される。

Goldman Sachsの予測によると、2025~2030年には自動運転車の販売シェアは20%に達するという。

自動運転車が導入されれば、米国だけでも毎月約2万5000人が失業することになる。年間で見ると、失業するドライバーの数は30万人に達する。研究によると、最も失業の影響を受けるのがトラック運転手である。なぜなら、米国に400万人いる職業ドライバー(2014年現在)のうち、310万人が大型トラック運転手なのである。グローバル政策研究センターによると、現在、米国人口の2.86%が職業ドライバーとして働いている。

マスコミ

ロボットは知的労働分野にも進出し始めている。ニュース報道では、おそらく人間がロボットを越えることは困難だろう。このことは、Associated Press、 The Los Angeles Times、 The Washington Post 、 Le Mondeといった多くのメディアが認めている。これらのメディアでは、自然言語の生成ができる、つまり、文章を作ることができる人工知能がすでに使用されている。

プログラムは十分に体系化されたデータがそろっているテーマ、例えばスポーツといったテーマにおいて、うまく情報を分析し、文章を作り出すことができる。例えば、リオデジャネイロ五輪の報道にもロボットが使われていた。このほか、このアルゴリズムは定期的に企業の会計報告の文章を作り出している。調査会社Gartnerによると、2018年にはビジネスコンテンツの5分の1は機械が作り出したものになるという。

また、自然言語生成プログラムは天気、交通情報、さらには政治についての文章さえも作ることができる。フランス大統領選の際、ロボットが投票所の情報をうまく処理できたことはLe Monde紙の経験が示す通りである。調査によると、数多くの特徴において、ロボットが作成した文章はジャーナリストが書いた文章と質的に異なっている。とりわけ、データの信頼性、記述の精度、情報量、客観性、テキストの充実度において人工知能は人間を上回っている。

法律

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専門家は、法律分野においてもプロセス自動化が起こる可能性が高いと予測している。とりわけ、法律家のアシスタントが将来的に失職する可能性は94%にのぼる。一方で、専門性の高い法律家がロボットに代替される可能性はわずか3.5%にすぎない。

すでに米国、カナダ、英国では、無料法律支援を行うDoNotPayロボットがスタートしている。このロボットはチャットのような形式であり、その人の抱える人生の問題について質問がなされた後、具体的な状況の確認が行われ、それを踏まえてロボットが問題の解決策を見つけるというものである。

裁判官もまた失職の現実的な脅威に晒されており、その可能性は40%と見積もられる。専門家によると、裁判官が職を追われる可能性は一般の法律家よりも高いという。なぜなら、コンピュータのアルゴリズムは真実と虚偽が存在する二値理論に基づく意思決定に完璧に適応することができるからだ。 スポーツの審判も失職の危機を免れない。オックスフォードの研究によると、スポーツの審判がロボットもしくは人工知能に取って代わられる可能性は98%である。

教会

ドイツのヴィッテンベルグ市では、複数の言語で信者を祝福するロボットBlessU-2が発表された。音声も男性と女性の声を選択することができる。このほか、BlessU-2には、教会の将来と人工知能の可能性について議論するオプションが登場することになっている。

日本ではヒューマノイド・ロボットPepperが販売されている。Pepperは内蔵のHDカメラとセンサーで人間の感情を読み取ることができる。このロボットはもともとエンターテイメント目的で作られたもので、物を持ち上げたり、家事の手伝いをしたりはできないが、主人が悲しんでいるときには、主人をなぐさめ、楽しませることができる。Nissei Eco社はさらにこれを発展させ、葬儀サービスの展示会Ending Industry Expoにおいて、新たなソフトウェアを搭載したPepperを発表した。新ソフトウェアは仏教の葬儀においてPepperが僧侶の役割を果たせるようにしたものである。

教会にもテクノロジーの進出が進んでいるものの、宗教分野におけるロボット化の脅威は1%未満にとどまると見積もられている。
警察
ドバイでは本物のロボット警察官が任務に就いている。スペインのPal Robotics社が開発したヒューマノイドREEMは、身長170センチ、体重100キロである。胸にタッチパネルを備え、ロシア語を含む9カ国語を操ることができる。ロボット警察官はショッピングセンターや市内の観光地のパトロールを実施している。

REEMは人々に情報を提供し、罰金の支払いを受け付け、被害届を受け付けることができる。ロボットが収集した情報は、後に人間の警察官によって処理される。現地政府は2030年までにロボット警察官の割合を25%にする意向だ。次のロボット警察官は2018年に着任する。

セックス、そして・・・

ロボット技術の発展は、伝統的な男女関係さえも蚊帳の外に置いてしまう。Abyss Creations社はロボット技術と人工知能を使って、ハイパーリアルなシリコン製セックスドールHarmonyを製作した。開発者の声明によると、人工知能のおかげでHarmonyは表情と一定のコミュニケーションスキルを使うことができるという。

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Harmonyが人間そっくりであることに、この発明の倫理的側面の検討を呼びかける人々からは疑念が投げかけられている。ロボット技術の倫理問題について研究し、セックスロボット反対キャンペーンの主催者である、ロンドン科学博物館のキャスリーン・リチャードソン教授によると、Harmonyの使用は、他人を「所有」できる、女性はセックスの対象物であるという思想の定着につながるという。しかし、Harmonyの開発者は、セックスドールは人間ではなく、モノでしかないと強調し、このような批判を否定している。

ロボット技術は人間の生活のあらゆる場面で積極的に導入が進められているため、人間は、ロボット使用の倫理的側面とロボットの取り扱いから労働法の改正に至るまで、数多くの問題への答えを一刻も早く模索しなければならない。

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