世界の端っこで風力発電:欧州企業が撤退した困難なプロジェクト、日本は成功できる?

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2月27日、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、ロシア国営電力大手のルスギドロ、サハ共和国政府は、「風力発電システムを含むエネルギーインフラ実証事業」の実施にかかわる協力覚書(MOC)を締結した。これは極寒冷地における低コストで安定的なエネルギー供給を目指すもので、ディーゼル燃料が年間16%節約できる見込みだ。

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実証事業の舞台となるティクシ市は、サハ共和国の北端に位置し、1月の平均気温は約マイナス40度。冬が8か月以上も続く他に類のない厳しい条件の中、日本の技術力が試されることになる。ティクシ市には、既存の発電設備に、風力発電機とディーゼル発電機、蓄電池によるエネルギーマネジメントシステムを組み合わせた「ポーラーマイクログリッドシステム」を構築する。

サハ共和国を含むロシア極東には、小規模のディーゼル発電に依存している地域が多い。そういった場所の電気代は非常に高額だが、住民の負担軽減のため地方政府が電気代を補助している。このせいで、地方政府の財政が逼迫している。発電の低コスト化と電力の安定供給は、サハ共和国の悲願なのだ。

サハ共和国のエゴール・ボリソフ首長は「世界中にサハ共和国ほど自然環境の厳しいところはありません。過去にドイツ企業、フィンランド企業による風力発電の試みがあったものの、頓挫しました。ハイテクノロジーの国と言えば日本。とても期待しています」と話している。

欧州企業が撤退した理由について関係者は「欧州の企業は、既にあるものを売ろうとする。日本の強みは徹底的に環境を分析し、本当にその土地に合ったものを作り出すことだ」と明かす。

© 写真 : ©Asuka Tokuyama(左から)NEDOの表理事、ルスギドロのシュルギノフ総裁、東光高岳の青柳執行役員
(左から)NEDOの表理事、ルスギドロのシュルギノフ総裁、東光高岳の青柳執行役員 - Sputnik 日本
(左から)NEDOの表理事、ルスギドロのシュルギノフ総裁、東光高岳の青柳執行役員


大幅な燃料の節約を可能にし、系統を安定化させる「エネルギーマネジメントシステム」を手がけるのは、東光高岳だ。同社がロシアのプロジェクトに参加するのはこれが初となる。青柳福雄(あおやぎ・ふくお)執行委員は、スケジュールがタイトであることを認めながらも、「これまでのノウハウと、寒冷地の気象をよく考慮して進め、安全でクリーンなエネルギーを提供したい」と意気込みを語った。

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このプロジェクトは、日本がロシアに提示している8項目の経済協力プランのうち、「エネルギー開発協力」に含まれるものだ。NEDOの表尚志(おもて・たかし)理事は「日本側の支出は約20億円です。このようなプロジェクトができるのは、日露間の協力のために重要である、という両国首脳の判断に伴うものです。その話がなければ、NEDOとしてはこれほどまでの困難な環境で風力発電を開発しようという発想はなかったでしょう」と述べている。

実証の結果が良ければ、ロシア極東はもちろん、世界中の寒冷地に応用できると関係者は期待を寄せている。実証事業は2021年2月まで行なわれる。

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