お飾り? それともライバル?  日本の政界に女性の場はあるのか

© 写真 : 糸数慶子事務局糸数慶子氏
糸数慶子氏 - Sputnik 日本
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2017年、女性差別が最も激しい国のひとつに日本が入ったことが契機となって、日本は女性政治家の数を増やすことを目的とした法律を採択した。この一方で別の変化も生じている。セクシャルハラスメントを行ったことが原因で政治家、役人もその地位を追われる可能性が出てきたことだ。まさにこの状況が先日、外務省ロシア課長の毛利忠敦氏の身に起きた。

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眼には見えない「ガラスの天井」と言われる日本の政界の性差別や日本に近未来に女性の総理大臣が登場するかについて、スプートニクは沖縄県出身で3人の子どもの母親で7人の孫のおばあちゃんでいらっしゃる糸数慶子参議院議員に取材を行った。

  • 女性だって日本の総理大臣になれる?

現在の安倍内閣には女性閣僚の姿は皆無だ。参議院では242議席のうち50議席が女性、衆議院の状況はさらに酷く、女性は418議席中わずか47議席。これほど嘆かわしい不均衡なジェンダーバランスであるにもかかわらず、専門家らの間からは近いうちにも日本に女性の総理大臣が登場するという声が漏れている。

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これに反して糸数さんは、そう簡単には女性総理の時代は到来しないと考えている。そう思う理由は、男性は未だに、女性には深刻な問題を解決する力がないと見下しているからだ。

「やっぱり日本に女性の総理大臣が誕生するのはまだまだ時間がかかるかなって思うんです。だから小池さんはその先頭に立って頑張っていただきたい方なんですけど、女性でも男性でもそういう能力のある人は、謙虚に国民や市民や有権者の声を聞かないとまた今度は立場で見られちゃう。男女にかかわらず頑張る人にはチャンスが与えられる、そういう社会になって欲しいと思います。」

もうひとつ、糸数さんが問題視するのは、子どもを産んだ女性が仕事をし続けることのできる環境が欠如している点だ。

「もっと女性がこの政治の場で活躍できるような状況をつくりたいと思ってるんです。けれど結婚して子供を産んでも、なおキャリアアップできるためには、子育てができる環境、保育園の施設だとか教育的な施設など、きちんと女性の負担が少なくなるような状況をつくっていなかいといけないと思うんですよ。それがまだ足りない、日本は」。

  • マドンナ議員

5月末、英ガーディアンには世論調査の結果として、日本の女性記者ら数十人が数回にわたってセクハラを受けていたことを明らかにした。日本の政治家の行うセクハラ問題はセクハラを行い、外務省ロシア課長の座を停職懲戒処分を受けている毛利忠敦氏, 何度もセクハラを行ったとして非難されている麻生太郎副首相の問題を背景に、さらに深刻さを増している。糸数さん自身も沖縄県議会時代、他の議員らから何度もセクハラを受けたと語っている。「北海道の利尻島・礼文島というのがあって、そこへ行った時に、一つのチームに12名ぐらいいて、女性は私1人、11名は男性議員なんですけど、その男性議員たちから女性に何ができるかっていうことを散々言われたんです。ただのお飾りみたいな。マドンナ議員、マドンナ議員とかって。私これを聞いてちょっと頭にきて。この人と直接喧嘩したら角が立って取っ組み合いの喧嘩じゃないけど大げんかになるので、事務局の方を呼んで、ああいう発言は注意していただきたい、女性や子供に何ができますかって言うから、おかしいですよって。沖縄県は48名の県会議員がいます。同じように県民の中から票をもらって、47対1で私だけ女性で当選したんですよ。」

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「あとはみんなで集まって食事が終わってから、強制的にダンスしろとか言うけど、とんでもないって言いました。私は別にあなたのダンスをする相手でもないしってお断りしたりね。顔だけで政治をやってるみたいなことを言われて。とんでもないですよね。議員として足で稼いで活動して、いろいろ勉強して発表して、県民と一緒になって動いて、いろいろいいこといっぱいしてきたのに、よくこんなこと言えるよねって。そんなこと言ったら怒られますけど、幸いその次の選挙でこの人は落ちてました。だから結局は私だけじゃなくて周りに対してもそういう横暴なことをやっていた人だったんですね。当然だよって私は思いました。女性だから男性だからっていって、能力も含め、人格的なところが男性に比べて劣っているわけでもないし、みんな平等なのによくそんなこと言うよねって思って、事務局に注意してもらったんですよ。」

糸数さんは、セクハラを摘発された政治家が今後、同じことを「やれないような状況をつくらないといけない」と考えている。セクハラだけではない。パワーハラスメントを行う政治家も直ちに解雇される処罰の仕組みを作っていく必要があると糸数さんは主張する。

  • 成功の秘訣

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糸数さんの個人史は明確なジェンダー差別があるなかでも目的を達成することは可能であり、また必要であることをはっきり示しているといえる。糸数さんは沖縄がまだ米国に統治されていた時代にバスガイドとして働き始めた。3人の子どもを産み、育てながら、県議員となり、今度は沖縄県の参議院議員となることができたのは、ひとえに夫と親戚の支援のおかげだったと糸数さんは考えている。
「夫は新聞社のライターだったんですけど、世界の動きも日本の動きも沖縄の動きもわかるので、君は県議会に行って頑張ってほしいって背中を押してくれたんですよ。だから3人の子供を夫婦で育てながら、またおじいちゃんとおばあちゃんの力も借りながらみんなで子どもを育ててきたっていう感じですね。」

糸数さんの夫の両親は4人の子ども全員にキャリアを築く可能性を与え、孫の養育を引き受けていたという。

「それに対する今度はお返しだと思い、私も娘が3人に7名の孫がいるんですけど、週末とか沖縄に帰ってやれる時は一生懸命に娘の子どもたちの子育てを応援してるんですね。まあ何よりもパートナーがそれを認めて、君がやれるところは応援するよって言ってくれるので、私がいない時は、つまりはおじいちゃんである私の夫が孫たちを一生懸命育てています。だからこの仕事が続けられると思っています。」

糸数さんは夫の支援の甲斐で活動ができることを認めている。

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