スキャンダル文書:中国は米国との戦争に向けて準備をしているのか?

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7月4日付けのジャパンタイムズに、共同通信が報じた中国中央軍事委員会の文書を読んだ情報筋の発言に関する記事が掲載された。ジャパンタイムズが報じた文書の内容は概して、新時代に国の戦略的利益を保護するために中国が自国の軍事プレゼンスと影響力の拡大を目指しているというものだった。またジャパンタイムズは、中国の軍事改革が進展した場合、将来的に中国は米国の軍事力の支配に挑戦状をたたきつけ、それにより軍事的紛争が起こるかもしれないとの見方を示している。

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通信社スプートニクは、同記事について、また米中軍事衝突のリスクは本当に高まっているのかについて、専門家らに意見を伺った。

アジア太平洋研究センターのヴィタリー・シヴィトコ主任研究員は、日本メディアが引用する文書を見つけることができなかった。シヴィトコ氏は、パブリックドメインとなっている文書を見つけることはできなかったが、これは機密文書ではないだろうとの見方を示し、次のように語った

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「恐らく文書は、中国中央軍事委員会が党の勉強会の枠内で発行した通常の手順書だと思われる。このようなマニュアルでは通常、党の主要路線の解釈が述べられ、国の包括的な安全保障戦略における海軍コンポーネントの役割が指摘されている。そこに新しいものは何もない。ただ中国の安全保障問題が現時点でグローバルな性格を有していることがより明確にまとめられているだけだ」。

ロシア科学アカデミー極東研究所の所長で、 北東アジア・上海協力機構戦略問題研究所の所長でもあるセルゲイ・ルジャニン氏は、ジャパンタイムズで紹介されている文書について、あまりにもオープンで突飛に思われ、中国の重大な軍事文書らしくないと指摘し、次のように語っている

「記事には文書そのものの引用がないが、中国のビジネス及び軍事的文書は決してこのようには作成されない。通常そこではすべてが体系化され、暗号化されており、このような重要な文書が流出することは決してない。仮に中国が米国あるいは日本を威嚇したいと考えていたとして、中国指導部が情報流出を望んでいたとしてもだ。だが軍情報部は、米国も中国も互いの軍事ポテンシャルについてかなり多くのことを知っている。例えば中国は軍事戦略、特に海軍コンポーネントに関しては少なくとも米国から約10年遅れている。中国は核潜在力でも米国に後れを取っている。中国はこれを隠していない。そのため、このような流出といった形で挑戦状をつきつける必要は中国にはない」。

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政治学博士で連邦通信社「REGNUM」の解説員ウラジーミル・パヴレンコ氏も、ジャパンタイムズは目新しいことは一切報じていないとの確信を示し、次のように語っている

「共同通信の消息筋が伝え、ジャパンタイムズが報じたことのすべては、少なくとも3年前から知られている。それは習国家主席が節目の年の2015年に行われた軍事パレードで発表した中国の軍事改革に関するものだ。 私には、日本のジャーナリストらがセンセーショナルなニュースを追いかけていただけではないかと思われる。実際に彼らは中国ですでに実施されている開発のかつての地政学的根拠を入手した。これは2013年11月の共産党中央委員会総会のコミュニケの要点を繰り返している。この根拠は、日本の情報機関が以前手に入れた何らかの文書の断片として記者に提供された可能性がある。共同通信もジャパンタイムズもその引用はしていない。文書の具体的なステータスも、その番号も、日付けも、名前も、署名した人物なども伝えていない」。

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米中貿易戦争は本当に世界経済へ打撃を与えるのか?
軍事政治分析局のアレクサンドル・ミハイロフ局長は、なお今日トランプ米大統領の外交政策は、中国との貿易関係の根本的な立て直しを目指していると指摘し、次のように語っている

「中国は、米国との貿易紛争ですべて上手くいっているふりをし、『面子を保つ』ことに疲れたようだ。なぜなら米国による経済的圧力は世界一の経済大国である中国(中国は数年前から米国の国内総生産GDPを上回っている)を侮辱しているだけでなく、近い将来中国製品によって占められる市場の信頼性にも疑問を呈しているからだ。さらに米国は、同国の軍艦に中国と台湾の間の台湾海峡を通過させて自ら『火に油を注いでいる』。これを中国は懸念している。なぜなら中国製品は海洋貿易ルート経由で世界中へ送られているからだ。まさにこの理由により、中国は様々な文書で、軍事分野を含むすべての分野における自国の優先課題を明確に記載している。だが米国が中国に対して現実的な軍事行動を起こすとは考えられない。米中対立は『激戦』ではなく、米露紛争に似た制裁などを含む『ハイブリッド戦争』の様相を益々呈するようになってきているからだ」。

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日中で接近への明らかな動き
ルジャニン氏は、したがって、このような記事の出現は、大規模な反中国キャンペーンの始まりを意味すると考えることもできるとの見方を示し、次のように語っている

「中国の巨大な拡大計画を暴くニュースを世界の情報空間に流すことは、もしかしたら米国との激化する貿易戦争に対する米国の返答なのかもしれない。だがそれは直接ではなく、地域の同盟国である日本を介している。関税引き上げをめぐる応酬の第1段階は終わった。現在は第2段階で、続いて第3段階、第4段階と対立が起こるだろう。中国と米国の本物の激戦を望んでいる人は誰もいないが、貿易戦争や、『中国の壁』の弱点の摸索は続くだろう。これはほんの始まりであり、長く続くだろう」。

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