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誘致か否か リニアコライダーは日本で地震を頻発化させる?

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今年12月、日本は国際リニアコライダー(ILC)の誘致について立場を表明する。現存する大型ハドロン衝突型加速器(LHC)の後継機で、電子と陽電子を加速・衝突させて素粒子を観測する施設。専門家の評価によると、ILC建設は長引く停滞から日本経済を脱却させ、雇用を生み出し、日本に第一線級の研究者を誘致する可能性がある。だが、日本の地震活動への影響は?スプートニクは素粒子物理学分野のトップクラスの研究者やノーベル賞受賞者に話を伺った。

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— コライダーは地震を頻発化させるか?

「それはない」と1979年にノーベル物理学賞を受賞したシェルドン・グラショー名誉博士はきっぱりと否定。詳しい説明は控えた。

英紙ザ・サンは以前、陰謀論サイト「BP Earthwatch」などが、2016、17両年のLHCの起動が欧州での一連の大地震を引き起こしたと信じていると報道。地震の1つが16年8月に起きたイタリア中部地震。マグニチュード6.2の地震で、295人が亡くなった。

英紙デイリー・メールのインタビューを受けた欧州原子核研究機構(CERN)広報担当は、LHCのよくある起動と欧州での地震活動の突然の活性化との関係を否定した。CERNは世界最大規模の素粒子物理学の研究所。

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「地震がLHCとかILCによって引き起こされることはないんです。」

山下了東京大学索粒子物理国際研究センター特任教授もスプートニクにそう答えた。

「だけど地震があるところで加速器を動かすと上手くあたらなくなるので、できるだけ頻度が高くないところがいいんです。でも実は日本は地震がたくさんあって、筑波が一番たくさん地震があるところなんですけど、実は一番あそこにアドバンスト・アクセラレーターがあるんです。インフラの方が重要で、実は地震がある時にはただ単にスイッチを止めるだけ、そしてまたスイッチをオンにする。地震は、1日の間で多くて1回とか、1週間に1回止まる。そして10分経つとまたスタートする。だから地震に関しては実は大丈夫。ただずっと入れ続けてる方がいけなくて、火山の近くとか、大きな道路の下とかは実はできない。」

ILCは岩手県にある北上山地に建設予定。一般財団法人日本気象協会が運営する天気情報サイト「tenki.jp」によると、今年5月〜7月にかけてこの地域では震度4の地震が3度起きた。

一方、山下特任教授によると、ILCが設置される深さは震源には到達しない。

「それは地震が起こる深さまでぜんぜん到達してないから。ものすごく浅いから。100メートルとか。だから加速器が地震を誘発する、地震を起こすのではなくて、地震があると加速器をその時止めなければいけないということ。原子力発電所とかとはまた違って、これは電気が止まるとすぐ止まっちゃう。だからそこはね100パーセント間違い。約束します。」

ILC 、時機を得た適切な施設

ILC建設の構想は2000年代初めに研究者の間で登場。2013年、「神の粒子」ヒッグス粒子が発見された1年後にプロジェクトが策定された。ヒッグス粒子を発見したLHCはさらなる粒子の研究には適しておらず、新設備が必要とされた。研究者はビッグバンを再現し、宇宙がいかに発生したかを知るためのILCに大きな期待をかけている。

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「ILCは稼働から少なくとも数十年の間、基礎科学の世界的施設となります。世界中の物理学者がその実現を熱望しています。このような科学者が国際的に参加する世界的拠点は、異文化間のコミュニケーションと理解を促進します。それはまた、日本の専門技術を促進し、経済を活性化するでしょう」とグラショー名誉博士は確信する。

2004年、日本はILC誘致を申請。「The ILC Promotion Project」のデータによると、費用は計7035億〜8033億円と想定されており、日本の負担は半分(3750億〜4090億円)で、毎年整備費用として約230億円が費やされる。

山下特任教授は、ロシアのプロジェクト参加にも期待をにじませる。

「ロシアはこの世界は強いんですよ。ロシアの研究者も一緒に研究してます。だからいずれは絶対参加してくれると思います。でも予算の分担の話は実はまだロシアとはまだやってないんです。誰と話したらいいのかがわかれば、僕ら話に行くんですけど。今ちょうどロシアも実は科学技術のストラクチャーを変えてるんですよ。いまロシア実は、大きな研究所が全部を所管するように変えてますよね。例えばノボシビルスクっていう研究所はいい研究をするんですけど、そこは大きな研究所の傘下じゃないんですよ。誰とお話したらいいのかなっていうのがわかれば、僕らもすぐに。研究者同士はいつも一緒にやってますよ。」

今年12月、日本はILC建設について態度を表明する方針だ。

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