世界初のリチウムイオン電池搭載の潜水艦 海自の決定は正当化されるか?【写真】

© 写真 : JMSDF「おうりゅう」
「おうりゅう」 - Sputnik 日本
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10月4日、三菱重工業神戸造船所で海上自衛隊の最新型潜水艦「おおうりゅう」の進水式が行われた。おうりゅうの出現は、軍事専門家とコラムニストの間で大きな話題を呼んだ。これはリチウムイオン電池を搭載した世界初の潜水艦となる。

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これほど大きな関心を引き起こした新規性とは?従来の鉛蓄電池がリチウムイオン電池に置き換えられたことだ。置換はプロジェクトを一部変更させ、建造費が643億円に膨らんだ。一方、ひとつ前のそうりゅう型10番艦の建造費は513億円だった。

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「おうりゅう」はディーゼル・エレクトリック方式の潜水艦。水上ではディーゼルエンジンを利用し、水中で電池の電気エネルギーを使う電気モーターを利用することができる。ディーゼル・エレクトリック方式の潜水艦は登場以来、鉛蓄電池を使っていた。
鉛蓄電池は危険で、多くの問題があった。

第1に、鉛蓄電池は長く充電する必要があり、充電中、潜水艦は水上にいることを強いられた。その間、潜水艦は発見される危険性や、敵の対潜艦や飛行機による攻撃で沈没するおそれもあった。

​第2に、鉛蓄電池の充放電回数は約300回と少ない。消耗した充電池から水素が放出されて蓄積し、あらゆる火花によって爆発する危険性があった。

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第3に、強い傾きや爆雷による攻撃の際、酸素が電池から放出される可能性があった。近くで爆雷が爆発した衝撃で電池が壊れる可能性があった。潜水能力を失った潜水艦は沈没か、敵の砲撃や爆弾の下に浮上することを強いられた。

第4に、硫酸が充填された電池に穴を通じて海水が侵入すれば、化学反応で極めて有毒な塩素ガスが放出され、船員の命に関わる事態になりかねた。

リチウムイオン電池は良い意味で鉛蓄電池と異なる。コンパクトで強力、安全性も高い。そうりゅう型潜水艦で旧来型の電池が新型に置き換えられると、2倍以上にエネルギー量が増える可能性がある。リチウムイオン電池は液体の電解質を使わず、ガスを放出しない。さらに充電も速く、充放電回数が最大3千回と多い。

​メリットは明らかで、潜水艦の戦術的性能を高める。高額さも正当化される。だが、この革新の有益性に一抹の不安を表明することもできる。

武器は戦争のために作られ、戦争条件のために評価する必要があることを覚えておく必要がある。水中の潜水艦破壊手段は第2次世界大戦から変わっていない。爆雷か魚雷だ。爆雷や魚雷による攻撃は潜水艦を沈めないかもしれないが、リチウムイオン電池の損傷は十分可能だ。

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損傷は電気化学セルのショートも引き起こしかねない。結果、加熱され、リチウムと電解質との反応により可燃性ガスが生成され、燃焼および温度の急上昇が起きる。こうした例はよく知られている。電池の損傷から複数台のテスラ電気自動車が炎上した。燃え盛るリチウム電池の消火は非常に難しい。リチウム電池は空気に触れずに燃え、リチウムと水の反応は水素を生成するからだ。鉛蓄電池は様々な問題があるが、燃えない。

そのため、執拗な追跡と爆雷による攻撃という極限状況下で、潜水艦「おうりゅう」のリチウムイオン電池は強く損傷し、発火するおそれもある。火災は潜水艦にとって最も恐ろしい危険性だ。そのため、このイノベーションは戦闘下において最適ではないかもしれないと考える根拠も存在する。

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