アジアへの米国のミサイル配備 日本は核対立の中心となるのか

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日本は今年も広島・長崎原爆の日を迎えている。そして皮肉なことに、このタイミングで、世界的な核をめぐる対立の「中枢」が、日本に近づいているという予兆が増大している。

戦力的安定の終焉

8月2日、米国が中距離核戦力全廃条約(INF)から離脱。米国は条約失効がロシアと中国のせいであると非難している。ロシア外務省はINF全廃条約の失効についてコメントし、「責任は完全に米国政府にある」と表明。また、「国際的な安全と戦術的安定の全構成にとって否定的結果が広範に渡ることは避けられない」と警告した。

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以前、2002年に米国は、軍縮分野で締結された別の条約-弾道弾迎撃ミサイル制限条約(ABM条約)-から一方的に脱退している。

現在有効な軍縮に関する条約の新戦略兵器削減条約(New START)もどうやら同じ運命をたどりそうだ。New STARTは、ロシアと米国の間で締結された条約で、今後の戦略的攻撃装備の削減と抑止の手段に関し合意したもの。

国家安全保障問題担当大統領補佐官のジョン・ボルトン氏は、米国は現在、New STARTに関する決定を受け入れておらず、その継続は考えられないと表明した。

このように我われは、1962年のキューバ危機の後に世界中の支持を得てロシア政府と米国政府が構築した戦略的安定システムが崩壊する様子を目の当たりにしている。

照準:アジア

カーネギー国際平和財団モスクワ・センターのドミトリー・トレーニン所長は、「実際としては、INF全廃条約からの離脱は、まず朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の脅しから米国政府を自由にし、同時に中国に対する圧力となる」と推察している。

ボルトン大統領補佐官は米国のINF全廃条約からの脱退についてコメントし、米国は極東地域に自国の軍事施設を配置したと望んでいるが、それはすでに中国には類似のミサイルが数千発も配備されている可能性があるためだと語った。

厳密に言えば、米国はすでに取り組みをはじめている。8月3日、新しい国防大臣のマーク・エスパー氏は、国防総省の幹部としてはじめてアジア各国を歴訪するためにシドニーに向かった。その飛行機内で記者の質問に答え、中距離ミサイルのアジアへの配備に関する米国の意向について、「我われはこのことをできるだけ早く行いたいと思っている」と答えた。

これに対し中国は報復的抑止措置を講ずることを明らかにしている。

ロシア政府はすでに報復措置としてのミサイル配備への準備ができている。ロシアのプーチン大統領は、「我われの行動のすべては極めて報復的であり、鏡のような性格をもつ。我われは、それらの地域に米国製の中短距離ミサイルの配備が行われるまでは、ミサイル配備は行わない」と声明の中で強調した。

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このように、ロシア政府は防衛分野で中国政府と再び共同行動をとる準備が整っている。先月のように日本と韓国の沿岸に沿ってロシアと中国が戦略爆撃機で合同パトロールを実施したのは、まさしくこうした背景があるためだ。

エスパー国防長官の謎かけ

米国防総省は米国のミサイルをまさにアジアのどの地位に配備するかを明らかにしていない。エスパー国防長官は、具体的な配備地域については今回のアジア訪問で各国首脳と討議することを表明した。

しかし、専門家らは、もっとも配備の可能性が高い地域の1つが日本であると推測する。それは、北朝鮮や中国の両方から脅威にさらされていると日本が表明しているためだ。

また、米国のトランプ大統領は、米国の防衛は無償サービスではないとなんども強調しており、日本政府はミサイル配備費用の負担を拒否することはできない。

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