森林火災が「核の冬」を誘発する恐れ

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森林火災は今もなお主要な気候問題の一つであり、さらに深刻は災害を生み出す可能性をもっている。燃え盛る炎は煙と煤を空高く昇らせ、さらなる気候変動の要因となりつつある。中でも、いわゆる「核の冬」が問題となっている。

コロラド大学ボルダー校の研究者らはこの現象を調査した。Pengfei Yu氏とその仲間は、Science誌に掲載された自身の研究についてこのように語っている。

「核の冬」から「核の秋」へ

「核の冬」のイメージが出来たのは1980年代。シミュレーションでは、ソ連とアメリカが全面的に核兵器を使用することで、深刻で危険な気候変動が起こり、間接的な影響があるとされてきた。

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このような壊滅的シナリオでは、煙と上空に上がった塵微粒子が太陽エネルギーの地球表面の到達を減少させ、急激な冷却、長期の不作や飢餓を招き、人類の生存を脅威に晒すと予想されている。

その後、より進歩的で正確な気候モデルを用いた計算によって、この仮定は当初の劇的なものからいくらか緩やかになった。今日、研究者らはよく「核の秋」について口にするようになった。7℃以上ではなく1-2℃の穏やかな気温低下を伴うものである。それでも「核の秋」も人類に非常に過酷な試練を課すのは変わらない。しかも、一箇所の地域紛争で制限的でも核兵器が使用されれば、「核の秋」は現実になると考えられているのだから。

どのような仕組み?

シミュレーションによると、上昇した塵微粒子は太陽で迅速に加熱され、上昇気流を強め、成層圏に達することが可能になる。微粒子は長期間そこに留まり、太陽光を反射する。

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上述のアメリカの気候研究者らの研究調査が、まさにこのプロセスについてである。この現象は大規模な森林火災でも起こり、その拡大をモデル化することで、研究者らはカナダ西部の2017年8月の大規模火災で得られた観察結果と比較したのだ。

予測と観察は一致した。火災で発生した約6千トンの塵が上述のように加熱され、成層圏に到達した。2ヶ月後、多数の微粒子が高度2万3千メートルで記録されている。その高度で微粒子は北半球全体に拡散され、さらに数ヶ月、成層圏下層に留まっていた。

注意しなければならないのは、これらの規模は、局所的な核戦争でさえ、それが生み出す効果とは比べ物にならないということだ。研究者らは、インド⁻パキスタン紛争は大気に数千万トンの粉塵を放出する可能性があり、世界最大の核兵器を備えた露米戦争にいたっては、約1億5千万トンの粉塵が放出されると予測している。

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