米中貿易戦争で中国が勝てば日本に有利:その理由とは?

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12日、「アジア・タイムズ」のオピニオン記事で、シンガポールの政治アナリストMaa Zhi Hong氏は、中国は、トランプ政権からの圧力に対抗することで、結果的に日本に力を貸していると指摘し、もし米国が中国と、対等でない通商協定を結ぶことに成功してしまったら、その手法を日本にも適用することへの障害はないだろう、という問題を提起した。スプートニクはこの観点から、ロシアの専門家にコメントを依頼した。

「China is doing Japan a favor」と題したその記事の中では、中国との関係に勝利し目的を遂げれば、トランプ氏の貿易戦争という戦略は有効であるばかりか、他の国々、例えば日本に対しても取り入れることができる、と指摘されている。

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Maa Zhi Hong氏の指摘は次のようなものである。もちろん米国の政治家の目からすれば日本のイメージは中国のそれと違って、ずっと肯定的なものだ。多くの国会議員は、共和党であろうと民主党であろうと、自国のアジアにおける主要パートナーにおける日本とじゅうぶん友好的な関係を保ちたいと考えている。しかしこの2年間というもの、トランプ政権は、なんとか何十年も続いてきた国際関係の規範を破壊してきた。Maa Zhi Hong氏は、もしトランプ氏が、日本に対して新しい関税をかけるようなことがあったとしても、トランプ氏の側近は誰一人として、それをやめるよう説得することはできないだろうと考えている。

世界経済・国際関係研究所付属アジア太平洋研究センター、日本政治経済研究セクター長のヴィタリー・シュヴィドコ氏は、Maa Zhi Hong氏が書いた記事には論理があると話す。

シュヴィドコ氏「この場合における中国と日本の共通点は、両国とも米国に対して貿易収支が大幅に黒字であるということだ。トランプ氏にとってこれは原則的な問題だ。彼は、米国相手に貿易収支が黒字になっている国全部に圧力をかけている。貿易バランスを対等なものにする、という目的を自らに課し、貿易黒字の国々に対し、自国での対米輸出の自制・市場の相互開放などを要求し、あるいは関税をかけると脅し、考え得るすべての手段で影響を与えようとしている。」

2018年の中国の対米国における貿易黒字は過去10年間で最高を記録し、3230億ドルにも達した。日本の米国に対する貿易黒字は2018年度(2018年4月から2019年3月)で6兆5300億円(およそ583億1000万ドル)だった。

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シュヴィドコ氏「米国は、日本では金融サービスと国家による調達の分野で市場が開放されていないことや、米国の農産品を広く行き渡らせるための政策に日本が抵抗していることなどを面白く思っていない。日本は、食糧品の安全性確保のため、と弁明しているが、実際は、日本の農家にとって、市場を開放して米国の安価な食糧品が入ってくることは非常に損なことなのだ。破産とまではいかなくても、多くの農家が困窮するだろう。なので、中国が自国の立場を貫くことをあきらめてしまったら、日本にとっても損なのだ。何しろそれは、米国にとって良い前例を作ることになってしまうからだ。」

茂木敏充経済財政・再生相は、8月2日から4日にかけて行なわれた日米貿易交渉を終えて、米国は歩み寄りの姿勢を見せており、これによって近日中に、日米は大筋合意に達することができるだろうという見方を示した。次回の貿易交渉は、8月24日から26日にかけてフランスで行なわれるG7サミットを前にした、8月中旬を予定している。

毎日新聞が3日に報じたところによると、日米両政府は、9月に一定の合意を目指して協議を進めている。主な協議事項はこれまでの通り、米国の農産物と、日本から米国への自動車および自動車部品についてである。

また、共同通信電を引用した毎日新聞英語版サイトは、トランプ氏は貿易交渉で勝利を勝ち取り、それを2020年の大統領選における再選の追い風にしたい考えだと報じていることにも注目したい。

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