これまで結果ゼロのプーチン・安倍会談、なぜ28回目が必要なのか?

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安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談は、様々なフォーマットで、すでに27回も行なわれている。しかし残念なことに、平和条約締結問題、そして領土問題の実際的な解決となる結果は得られていない。会談は今年中に、APECの場で、更にもう1回予定されている。そこから何かの結果を期待する価値はあるだろうか?この問いは、おそらく、反語的なものだ。いっぽう、実際にアクチュアルなのは、なぜこんな「外交マラソン」が必要なのかということである。

日露首脳会談を観察するにつけ、疑問がわいてくる。ロシアとロシアのリーダーは、どの程度本気で、領土問題に向き合っているのか、1956年の共同宣言を受けて、そこに書いてある条件を満たし、日本に島を引き渡す原則的な準備ができているのか?

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今のところ、ロシアは、このコンテクストにおいて、日本に第二次世界大戦の結果を受け入れるよう要求している。その結果と言うのは、係争地域の主権は、ロシアが有しているというものである。そして二番目のアスペクトは、プーチン大統領は繰り返し繰り返し、日米間に軍事同盟が存在している状態では、1956年の共同宣言の実行は不可能であると、日本に理解させようとしているということである。

見通しを概観してみると、この2つの要求を満たすことは不可能なように思われる。ロシアも、日本も、双方ともそのことをよくわかっている。

しかし安倍首相は自分の行動ラインを貫いている。そしてまた同様の疑問がわいてくる。安倍首相の、ロシアに対する政策は、どの程度真剣なものなのか?

もちろん、安倍首相および、ロシアに対する日本の対外政策の一貫性と、目的達成を目指した行動は正当に評価されるべきだ。安倍首相は、今月ウラジオストク行なわれた東方経済フォーラムの全体会合のスピーチの中で、日本は、信じるに値するパートナーであると述べた。

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ロシアはこのヒントを理解している。日本は、もしロシアが島を引き渡すことになった場合、そこを軍事化しないと言いたいのである。ロシア紙「コメルサント」は、係争諸島におけるミサイル防衛システムの配備について、「安倍氏は、マスコミのいないプーチン氏との会談の場では、(島へのミサイル配備は)絶対にない、なぜなら日本は、自国が決定したことを何代にもわたって遵守する国だからだ、と話し、言質を与えるか、法律さえも通す、とプーチン氏に力説している」と書いた

しかし、こうして安倍首相が日本の信頼性を請け合うよりも前に、プーチン大統領は昨年のトランプ米大統領との会談後に、「誰も信じてはいけない。あなたはいったい何を根拠に、トランプ氏が私を信頼し、私が完全にトランプ氏を信じていると?彼は米国の利益を守るし、私はロシアの利益を守る」と述べていた

この日本は、米国の近しい同盟国である日本にもあてはめることができる。

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であるからロシアは、長引く平和条約交渉および領土問題についての日本の姿勢を、二国関係を良好にさせる道筋としてとらえているのではなくて、日本の東アジアにおける外交の材料としてとらえていると思われる。ロシアと接近することにより東アジアにおける日本のパワーバランスが変わってくるからだ。

雑誌「グローバル政治の中のロシア」に寄稿した自身の記事「岐路に経つ世界と未来の国際関係システム」の中でロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「米国は、かたくなに、すべての自国の外交パートナーを、ロシアと中国を押さえつけるように動員しようと躍起になっている。それでいて、ロシアと中国に仲違いしてほしいという願望を隠していない」と書いている。

それも仕方ないだろう。他国の同盟を揺るがし、自国の同盟を強化する、それは、外交のイロハなのだから。

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