ノーベル文学賞はオルガ・トカルチュク氏とペーター・ハントケ氏に

© REUTERS / Michele Tantussiオルガ・トカルチュク氏(ポーランド)
オルガ・トカルチュク氏(ポーランド) - Sputnik 日本
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2018年のノーベル文学賞はポーランドの作家・詩人のオルガ・トカルチュクさんに、2019年のノーベル文学賞はオーストリアの作家・劇作家のペーター・ハントケ氏に決まった。

​2018年のノーベル文学賞受賞者の発表はノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーのセックススキャンダルを受けて見送られたため、昨年の受賞者は今年の受賞者と共に発表された。

2017年10月5日のノーベル文学賞は日系英国人のカズオ・イシグロ氏に、「とても情緒に満ちたすばらしい作品」として授与された。

アカデミー

スウェーデン・アカデミーはグスタフ国王3世により、1786年に創立された。このアカデミーの設立目的は、スウェーデン語の純正さ、健全さ、高雅さを保つためであった。現在、アカデミーは現国王であるカール16世グスタフの庇護のもとにある。

アカデミーは毎年、作家や文学者、歴史家、翻訳者、教師、図書館司書、そして劇団関係者らに、様々な賞や奨学金を分配している。

アルフレッド・ノーベルの遺言により、アカデミーのメンバーの投票により、1901年からノーベル文学賞が授与されてきた。候補者の選出には、各界から選出された4人または5人から成るノーベル委員会があたり、任期は3年である。現在の委員会は2019年2月に任期を開始し、メンバーは9人だ。というのも、独立した専門家が入っているからである。

アカデミーのメンバー

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スウェーデン・アカデミーのメンバーは18人だが、現在、4人分が空席になっており、メンバーの更新は12月20日に行われる。そこに入っているのは、スウェーデンの有名な科学者、著名人、文学批評家、歴史家、作家たちだ。長年、アカデミーを支配してきたのは男性だった。初の女性会員となったのは、1909年にノーベル文学賞を受賞した最初の女性であるスウェーデンの作家セルマ・ラゲルロフで、それは1914年のことだった。現在では、女性はメンバー総数の3分の1を占めるべきであるという規則がある。

最近まで、アカデミーのメンバーは終身制だった。しかし2018年、国王のカール16世グスタフはアカデミーの構成について変更を行った。現在、自身の意思によって、メンバーから離脱することが認められている。新メンバーの加入については、変更はない。新メンバー候補者は、現在のメンバー間で秘密投票によって選出され(12人の定足数が必要)、その結果は王によって承認される。新しい規則によると、アカデミーは、2年間の間、アカデミーの活動に積極的に参加しなかったメンバーの辞任を決定する場合がある。この改正は、2017年にアカデミーで発生したスキャンダルのために採択されたものである。

スキャンダル

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2017年11月、「Dagens Nyheter」紙やその他のメディアは、18人の女性が、写真家でストックホルム文芸フォーラムのアートディレクターでもあるジャン・クロード・アルノーを、性的暴行で告発したと伝えた。彼の妻は、スウェーデン・アカデミーのメンバーで詩人のカタリーナ・フロステンソンだ。事件は1996年から2017年にかけて起きていた。暴行は、アカデミーが所有する建物の中でも起きていた。アルノーは全ての容疑を否定。しかし2018年12月、裁判所は2件の性的暴行に対して2年半の禁固刑と2万ユーロの罰金を言い渡した。また、マスコミは、アルノーとフロステンソンが、立場を利用して、アルノーの主宰する文学フォーラムが不正に資金を受け取るように、フロステンソンが援助していた可能性についても報じた。2017年12月、「Dagens Nyheter」紙は、ノーベル財団の規則に反し、アルノーが幾度となくノーベル文学賞受賞者の名を、公式発表までに漏洩させていたと報じた。

スキャンダルの状況調査には、独立した法律事務所が関与した。 その結果、2018年4月末までに、受賞者情報に関する情報漏えいが複数のメンバーからなされていたことが判明。このため、翻訳者のサラ・ストリッツバーグ、カタリーナ・フロステンソン自身、常任秘書のサラ・ダニウスなど、数人のメンバーがアカデミーを去った。

スウェーデン・アカデミーは、このスキャンダルが「ノーベル賞文学賞の評判を下げ」こと、そしてアカデミーの信頼性が「損なわれている」ことを認めた。このスキャンダルに関連して、5月4日、スウェーデン・アカデミーは、2018年のノーベル文学賞は選考を行わず、2019年に2人の受賞者を同時発表すると決定した。

新体制のアカデミーと、ノーベル文学賞の代替賞

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2018年5月、スウェーデンの人気テレビ司会者アレクサンドラ・パスカリドがツイッターで呼びかけ、彼女のイニシアティブで、126人のスウェーデンの文化人が、2018年のノーベル文学賞の代替の賞を創設するために新アカデミーを作った。このキャンペーンの趣旨は、特権や傲慢さ、性差別なしに、文学や文化が、民主主義、共感、透明性、尊敬の念を促進すべきであるということを人々に思い出させることだ。スウェーデン・アカデミーは、この賞に異議を唱えることはしなかった。

新アカデミーは46人の候補者をピックアップした。選考基準は一つだけ出会った。候補者は、「人と世界」をテーマにした本を2冊以上出版していなければならず、うち1冊はここ10年以内に出されたものであることだ。より候補者が多かったのはアメリカで13人。スウェーデンからは12人。イギリスからは5人。他にもイスラエルやインド、カナダ、ケニア、ナイジェリア、日本からの候補者が選出された。ロシア人候補者はいなかった。8月14日までに行われたインターネット投票では3人に絞られ、4人目を新アカデミーが自ら選出した。受賞者は5人の審査員によって選出された。

2018年10月12日、フランスの作家、マリーズ・コンデの受賞が発表された。村上春樹は候補に選出された段階で辞退を表明していた。授賞式は12月9日に行われ、コンデは100万スウェーデンクローネ(約15万ドル)を受け取った。賞金は個人や団体の寄付により新アカデミーが調達した。

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