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フィギュア特集

フィギュアスケート 女子は首位が「ベルトコンベヤー」、男子は停滞

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アリョーナ・コストルナヤ - Sputnik 日本
サイン
ロシアの女子フィギュア界はほんの昨日まで、タイトル争いに鎬を削るエフゲニア・メドベージェワとアリーナ・ザギトワの2大スターに牽引されていた。ところが2019年、ロシアのスポーツ報道には頻繁にチャンピオンの「ベルトコンベアー」という文句が踊った。女子フィギュアの首位が余りに短命で交代が激しいことを指した表現だ。

首位の交代

「スーパートリオ」の異名をはなつ、昨日までのジュニア3人組、アリョーナ・コストルナヤアレクサンドラ・トルソワ そして アンナ・シェルバコワがシニアの大会に彗星の如く現れるやいなや、表彰台を占領したのは2018年ロシア選手権のことだった。

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アレクサンドラ・トルソワ、 アンナ・シェルバコワ、アリョーナ・コストルナヤ

この若手らは年齢制限が邪魔して、欧州選手権、世界選手権への出場はまだかなわなかったため、ザギトワはシーズン最後の、3月のさいたまの2019年世界選手権を金メダルで締めくくることができ、観る側も彼女はこの先もずっと長く選手生活を送るだろうと疑いもしなかった。


「勝ち取れるものは全て勝ち取った」

だが、2019年12月、ザギトワは選手活動の休止を宣言し、フィギュアスケートのファンの間には震撼が走った。

ザギトワは正直に語った。危険を伴う 4回転ジャンプを習得するためのモチベーションが足りなくなってしまった。だが4回転ジャンプを身に着けなくては女子フィギュアの新たなリーダーらと互角で戦うのはますます難しくなっていると。「勝ち取れるものは全て勝ち取りました。」ザギトワは 決意を決めた理由をこう締めくくった。

© AP Photo / Toru Hanaiジャパンオープン2019
ジャパンオープン2019 - Sputnik 日本
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ジャパンオープン2019
© AP Photo / Andy Wongアリーナ・ザギトワ
アリーナ・ザギトワ - Sputnik 日本
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アリーナ・ザギトワ
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アイスショーで演技する出演者 - Sputnik 日本
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アイスショーで演技する出演者
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演技終了後、バラの花束を手にするザギトワ選手  - Sputnik 日本
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演技終了後、バラの花束を手にするザギトワ選手 
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演技終了後、バラの花束を手にするザギトワ選手 

ザギトワが生中継でセンセーショナルな宣言を行うやいなや、ネット上はザギトワに味方する人と、逆に「気弱」だと非難する人の戦場と化した。

さいたまの2019年世界選手権で銅メダルを勝ち取ったペアのアレクサンドル・エンベルト選手(30)は「ザギトワに若手女子を相手に闘う力が足りていないのは目についていたよ。だから活動休止も理に適っている。だって彼女は可能な限りのタイトルを収めているもの。110%だし切ろうというモチベーションを見つけるのがそう簡単じゃないことは、僕はわかるよ」と語っている。

功労監督のタチアナ・タラソワ氏は「わずか3つのプログラムで五輪金メダリストの選手人生の長さを測ることになる。これは残念でたまりません」とこぼしている。


新時代の幕開け

2019/2020シーズンのフィギュアスケートの大会は、女子シングルが男子と同格にトリプルアクセル、4回転ジャンプを続けざまに跳ぶという新時代が幕を開けたことを示した。

これまでは女子がウルトラCジャンプを跳ぶのはかなり特異なケースに限られていた上、これだけハイレベルに達するとは誰も考えもしなかった。とは言え、一方で4回転ジャンプに対する 批判の声も収まりを見せておらず、また4回転を跳ぶ女子がいるのもロシアだけじゃない

© Sputnik / Vladimir Pesnya紀平梨花
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紀平梨花

トゥトベリーゼ現象

グランプリシリーズ・ファイナルでは表彰台をすべてロシアの女子が占領した。だがそれだけではない。この3人は全員がたった一人の監督、 エテリ・トゥトベリーゼ氏の教え子なのだ。

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トゥトベリーゼ門下生たち

アンナ・シェルバコワ、アレクサンドラ・トルソワ、アリョーナ・コストルナヤの3人娘はグランプリシリーズではファイナルの前のすべての大会で誰よりも見事な演技を披露し、2度の優勝を勝ち取っていた。そして伊トリノのファイナルで、昨日までジュニアだったこの3人が表彰台を占領したのだ。

アリョーナ・コストルナヤは女性らしいスケーティングに2度の3回転アクセルをミスなく跳び、2つのプログラムで世界新記録を樹立し、優勝を果たした。

トルソワの父親のヴャチェスラフ氏はこう語っている。「トゥトベリーゼ監督の仕事の能力は度を越して凄まじい。朝の便で日本から到着しても、9時にはもうトレーニング場にいるんだから。実によく働く。そして仕事を愛している。」


男子は停滞?

男子シングルも今シーズン、女子と同じくプログラムが複雑化し、見る者の驚きを呼んでいる。羽生結弦ネイサン・チェンという2大スターのどちらがリードをとるか、依然として先が読めない。

2018/2019年のシーズンを締めくくる、2019年3月のさいたまアリーナの世界選手権では一点の非もない演技で圧巻したチェン が羽生に堂々の22.45点の差をつけ、優勝 を決めていた。

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ネイサン・チェン

12月の伊トリノでのグランプリシリーズ ファイナルは2人にとっては8番目の対決。そしてその試合でチェンは世界新記録を樹立し、表彰台の頂点に上ったのだ。この試合での両者のスコア差は43.87点。3月の世界選手権のおよそ2倍に膨れ上がっている。この差は興味深いことに、ISUが2004/2005年シーズンから新採点法を導入して以来、16年の歴史の中で、グランプリシリーズのファイナルで1位と2位の選手の間にできた開きとしては最大値となった。

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羽生結弦

チェンVS羽生のライバル争いは女子と同様、フィギュア界では革命的な現象 となっている。戦いに勝つためにはふたりはジャンプの難易度を上げざるをえないからだ。ネイサン・チェンとラファエル・アルトゥニアン監督は、羽生がトレーニングで4回転ルッツに着氷し、4回転アクセルをトライした後、5つの4回転ジャンプのコンビネーションに挑戦すると宣言した。

ネイサン・チェン「僕はトレーニングで5度の4回転ジャンプを跳んだよ。これを彼(羽生選手)が跳んだところを見てしまったのでね。それを見て、これは僕もトライする時が来たなと分かったんだ。」


さあ、目前にはまだ2つのビックな大会が控えている。欧州選手権と世界選手権。スプートニクは読者の皆様とともに状況の進展を見守り、最新のニュース、独占取材、分析記事をお届けしてまいります。ご期待ください。

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