日本独特のハラスメント:#KuToo から「生理バッジ」まで

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日本独特のハラスメント:#KuToo から「生理バッジ」まで - Sputnik 日本
サイン
日本の女優である石川優実が2019年の「最も影響力のある女性100人」に選ばれた。彼女の名前は、職場で女性のみがヒールを履くよう義務付けられることに異議を唱える運動の象徴 # KuTooで有名だ。日本でこの運動に賛同する人々はこれをハラスメントだと考えている。ほかにどんなことが「ハラスメント」になるのか、どうしてこの現象が社会的注目を集めるようになったのか、スプートニクが取材した。

日本独特のハラスメント

日本には、おそらく、どこよりも多種多様なハラスメントが存在する。世界的に有名なセクハラ(セクシャル・ハラスメント)のほか、パワハラ(パワー・ハラスメント)、モラハラ(モラル・ハラスメント)、アルハラ(アルコール+ハラスメント)、そしてアカハラ(アカデミック・ハラスメント)などがある。ティーンエイジャーの間ではブカハラ(部活動によるハラスメント)が生まれているし、比較的新しい「トレンド」として妊娠、出産、育児をきっかけに起こる嫌がらせ、マタハラ(マタニティ・ハラスメント)もある。

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また、かつてはハラスメントの被害者は我慢するか、友人に愚痴を言うか、自力で解決するかしかなかったが、近年、状況は変化している。2017年10月、アメリカ人プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインがセクシャル・ハラスメントで公に非難され、いわゆるワインスタイン効果、すなわち、肉体的のみならず精神的な暴力や圧力にも対抗する集団的な反対運動が発生した。まずハリウッドからの告発がニューヨークタイムズやNBCなど、アメリカの各種マスコミに拡がり、その後、世界中に拡大した。日本も例外ではない。

当局もこの問題に取り組み始めた。5月29日、日本の国会は職場でのハラスメント対策を企業に義務づけることを可決した。具体的には、嫌がらせを受けたと発言した従業員を解雇したり、冷遇することを雇用者に対して禁じたのである。

ハラスメントとは、人間の尊厳を傷つけること

インターネットサイト「Statista」のデータによると、2019年11月までに日本人女性の20%が性的暴行を受けたことがあり、さらに20%はセクハラを受けたことがあるという。

性的暴行は刑事犯罪であり、セクシャル・ハラスメントの徴候はある程度はっきりしている一方で、ほかの種類のハラスメントはまだ定義が明確とは言えない。企業のオフィスではハイヒールを履いた女性社員の方が、ヒールを履かない女性よりもエレガントに見えるのは分かる。しかし、女性の健康と快適さもやはり大切であり、だからこそそれを強要することはハラスメントの定義に当てはまるのだ。しかし、ハラスメント被害者が本当に損害を受けたかどうか、ハラスメントという用語を自分の利益のために悪用していないかどうか、その線引きはどこなのだろうか?

別の見方

ほかの大きな現象と同じように、ハラスメントには一連の矛盾があり、それが原因でもっともな批判にさらされてきた。曖昧で幅広い概念であるため、ハラスメントを受けたという告発が悪用されるようになった。

11月8日、日本企業の女性社員の月経に関わるハラスメントを取り上げた映画『生理ちゃん』のロードショーが日本で行われた。この映画に対する反応は一様ではない。同様に一様ではない反応があったのが百貨店の大丸大阪店の女性職員が月経周期を示すために付けるようになった「生理バッジ」だ。

しかし、ハラスメントとそうでないもの、例えば企業ルール、学生や生徒に対する教師の要求、気になる女性に対するやさしい配慮を明確に線引きすることは可能なのだろうか?

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心理学を専門とするアンドレイ・ズベロフスキー教授は次のように言う。「多くの人はハラスメントというとセックスを執拗に強要する行為を思い浮かべます。しかし、年齢、民族、肌の色などによる迫害や軽蔑もハラスメントです。人格を傷つけたり、侵害したりするあらゆる行為、人に怖い思いをさせたり、不快感を与えたり、恥ずかしい思いをさせたりするあらゆる行為がそうです。それは発言でも、ジェスチャーでも、行動でも同じです。端的に言うと、ハラスメントとは差別や個人の尊厳を傷つけることに関連するものです。こうした現象は何らかの形で多くの国に存在しますが、メンタリティー、国民的伝統、文化的特性などによって、その現れ方や扱い方は一様ではありません。例えば、交通機関の中で女性に席を譲ること、女性の外見を褒めること、手にキスすること、友人としてハグをすることなど、ある国ではこうした行為が女性たちにとって当たり前のことや礼儀正しい行為だと思われていますが、ほかの国では尊厳の侵害だと受け取られる可能性があるのです・・・」

何がハラスメントで、何がそうでないのかの定義の問題に国際労働機関(ILO)も乗り出した。ILOは条約制定とハラスメント対策の国際基準策定の必要性を認め、これらが国連総会で議論されるべきだと認めた。

「日本の国によるハラスメント対策は社会の成熟度を示している」

先日、東京地方裁判所は、日本での#MeToo運動のシンボルであるジャーナリストの伊藤詩織さんに元TBSワシントン支局長から受けたレイプに対して330万円の損害賠償が支払われるべきだという判決を下した。

​これはハラスメントの歴史上、前例のないできごとだ。裁判所は判決の根拠として「伊藤さんの行動は社会的利益にかない、性的暴行の被害者を取り巻く状況を改善するためのものである」と述べたのだ。

しかし、各国で行われたアンケート調査では少なからぬ女性がセクハラやその他のハラスメントにあったことが分かっているものの、それを告訴するケースはそれほど多くない。ハラスメントから人々を守る日本の行動は至極論理的だというアンドレイ・ズベロフスキー教授は次のように述べた。「すべてのケースでハラスメントを証明できるわけではありません。この問題に関する法的慣例はまだできあがっていません。そして、多くの女性が恥ずかしいと感じていたり、裁判所に訴える必要はないと考えています。日本では国がこの問題に取り組むようになったことは、社会が成熟していること、ハラスメントから身を守るほどに社会が成長したことを示しています。」


しかし、「ハラスメント」という用語の定義が複雑なことが、ハラスメント対策を後らせている。「ハラスメント」が犯罪として法律に規定されているアメリカでさえも、この問題の規制は簡単ではない。ある行為が軽蔑的であるかどうかは個人の捉え方によって違うので法文化が難しく、影響も目に見えづらい上、状況を記録するのも難しいためだ。

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