家族思いか、人気取りか? 小泉環境相の育休をロシア人専門家はどう見る

© AP Photo / Jae C. Hong小泉環境相
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小泉進次郎環境大臣は1月15日、近いうちに生まれる第一子の世話をするために2週間の育児休暇を取る意向を明らかにした。人気の高い大臣である小泉氏のこの決意表明は日本の伝統に真っ向から反することから、社会に大きな波紋を呼んでいる。

2019年、小泉氏が育児休暇をとりたいと発言したとたん、自民党、野党の保守層からは激しい批判の矢が飛んだ。とはいえ、小泉氏の側に立つ人も少なくはなかった。Change.orgには小泉氏の育休取得を応援するページが開かれ、1448人がこれに署名を行っている。

小泉氏のこの育児休暇取得宣言は1月20日の第201回国会の召集を前に出された。国会の召集中は役人の仕事は増えてしまう。もちろん環境省で働く人も同じだ。とはいえ小泉氏は育休中も完全に職務から離れるつもりはない。テレビ会議の形で話し合いを行うし、報告を受け取り、電子メールを通じて指示は行う。小泉氏が自分の希望を叶えた場合、これは日本の官僚の中では育休取得者第1号となる。小泉氏の正直な気持ちはどこにあるのだろう。決まりきった型を壊し、自分への注目を集めようというつもりなのか、それとも政治的野心を損ねても家族のために時間を割きたいのだろうか?

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ロシア科学アカデミー、極東研究所、日本調査センターのオレグ・カザコフ上級研究員はスプートニクからの取材に対し、「小泉さんが心から妻を助けたいと思う気持ちは、最終的には、イノベーションを嫌がらず、国の発展にブレーキを掛ける因習に待ったをかけることを恐れないという、今の政治家としての彼のイメージにプラスにつながると思う」と評価し、さらに次のように語っている。

「この特性は父親の小泉純一郎氏から受け継がれたものだ。小泉純一郎氏は政権時代、従来と異なる、カリスマ的政治家とされていた人だ。一例として、日本の首相としては初めて朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問を果たしたことが挙げられる。この意味で息子の進次郎氏は父の跡をたどっている。進次郎氏は日本の政治家には珍しい、優しい夫、家族思いの父親としての姿を示したことになる。別の角度から言えば、これだけのランクの政治家には普通はありえないアプローチは、人口動態状況をはじめとする一連のファクターが経済に否定的影響を及ぼしているという、日本の最重大問題の解決と直接関係している。日本の政治家らはなんとしてもこれに注意を傾けねばならない。小泉氏が家族に時間を割く決意を表した際に、これによって他の国民に例を示し、『制度だけではなく空気を変えていかなければ育休を取得する公務員も増えていかない』と強調したのはちゃんと理由があるのだ。」   

日本の厚生労働省の調べによれば、2018年、育児休暇を取った男性はわずか6%強だった。

ロシア科学アカデミー付属シンクタンク、世界経済国際関係研究所のクリスチナ・ヴォダ研究員はスプートニクからの取材に、昔から男は一家の稼ぎ手で自分の時間は全部仕事に捧げ、女は家で子どもを育てるという「保守的な環境で働く政治家にしてはかなり思い切った決断」と評価し、さらに次のように語っている。

「小泉さんの声明は同時に、低い出生率と労働力不足に直面する日本社会の新たな傾向を反映している。日本政府はこれ以上、外国人労働者人口の増加を避けようと、あの手この手で女性たちにもっと子どもを産むよう呼びかけている。なぜならこの出生数では単純再生産を維持するにも足りないからだ。その一方で女性たちには労働に従事し、経済活動に活発に参加せよと呼び掛けられている。だから夫の支援はそれがお印程度であったにせよ、実にありがたい話で、小泉さんはこの決断で仕事上の評判を落とすどころか、逆に人気が上がるはずだ。」

 日本の働くお父さんたちは育児休暇をとることで同僚の嘲笑の対象になったり、キャリアに傷がつくことを恐れている。過去にも育児休暇をとったために、いわゆる「パタハラ」に遭ったとして雇用先を訴えた例が数例あった。だからこそ、小泉氏の育休取得が何に突き動かされたものであったにしても、この例は効果を発揮し、先入観や根拠のない非難は減るに違いない。

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