「これはショック!」
モスクワで日本の春画の展覧会がオープン

装飾工芸美術館で展覧会『春画 日本の開放的な芸術』がオープンした。この展覧会には、ロシアの芸術家でギャラリーオーナーであるキリル・ダネリア氏のコレクションから、17世紀から19世紀の作品100点超が出展された。

ダネリア氏は、大英博物館のコレクションと相呼応し、ロシアにとってユニークな作品群の収集に成功した。2013年に大英博物館で開催された大規模な春画の展覧会は欧州人にとってセンセーショナルなものとなった。展覧会では、葛飾北斎や喜多川歌麿、礒田湖龍斎、歌川豊国といった日本の有名な版画作品を見ることができる。
「スプートニク」のインタビューにキリル・ダネリア氏は、この展覧会のタイミングは偶然ではないとして、次のように語った。「春先でないならいつ春画を展示するんですか? 展覧会は213日、聖バレンタインデーの前日にオープンしました。223日はロシアでは祖国防衛の日ですが、しかし、多くの人々にとってこの日は男性の日と考えられている。38日は国際女性デー。そしてそのことから私たちは男性を祝福したいと考え、そして女性を、そして愛を伝えようとする人、お互いを、そして芸術を愛するすべての人々を喜ばせたいと思ったのです」。
キリル・ダネリア氏が日本の版画を収集し始めたのは10年以上前のこと。今では同氏にとって版画芸術の収集は趣味を超えたものとなっている。25年来、私は、エジプトやインド、アフガニスタン、中国など東方の骨董品を収集しています。中国の芸術品を通じて、私は日本に行き着きました。現在、私の日本の版画芸術のコレクションは3500作品以上あり、そのうち約2千作品が春画です。作品には多くの謎があることから版画芸術の収集はおもしろいと言えます。私は、どのように作者が日常生活の細部や身体の曲線部を描くのかを研究し、注視することに興味があり、また、美しい女性のしぐさやその服装、飾りなどを鑑賞することに関心があるのです。作品に記された説明書きを判読しながら、さまざまな作品の背景にどんな歴史的観点があるのか謎解きをする。作品はオークションや個人、日本や中国、米国、ニュージーランドのアンティークショップなどで購入しています。最近、私はある書籍を出版しました。その中には700作以上の春画が収められており、どれもとても価値が高く、貴重な作品ばかり。はじめその書籍のために、いくつかの版画作品で作者や時代などの特定を行ないました。自慢ではないですが、収集から現在に至るまでの結果は素晴らしいものになったと自負しています。」
春画に対する見方は日本では複雑なものだった。春画はかつて禁止されそうになったが、しかし、これはただ需要を呼び起こすことにしかならなかった。19世紀中旬、これら版画作品は西側諸国に伝わり、関心の的となった。「ジャポニズム」が流行となり、西洋絵画に大きな影響を与えた。春画のファンにはピカソやロダン、トゥールーズ・ロートレックなどがいた。

それにも関わらず、今日では日本以外の多くの人々にとって春画は単に珍しいものでしかない。モスクワの展覧会の訪問者らが春画をどう理解するのか、「スプートニク」特派員が調査を行なった。




クラーヴジャさん「これはショック!頭ではこれは芸術作品と理解できますが、しかし、心情的にはこの作品を受け入れることを拒否しています。
あまりに大胆で、まったく軽薄です。これは私には合っていません」





オレグさん
「エロティックアートの素晴らしい例といえます。妻も私もとても気に入りました。近代社会では、同様の作品は、より世俗的で、春画のように高尚ではありませんね。清教徒にとってはショックかもしれません」

リムマさん
「展覧会はこんなにも華やかで、こんなにもエモーションに満ちていて、まるで、現実の生活の中で私たちが忘れてしまった本当に愛するということを示しているように思えます。私たちにはとても聡明で、高尚で、現実的に感じます。また、この作品は、百年前の日本人は現代人や私たちより賢明だったことを教えています。これらの木版画は、人生の豊かさを実感し楽しむこと、男女関係や人間の身体の美しさ、愛の歓喜を賞賛することを表しています」

来場者の反応をどう受け止めているかというスプートニクの質問に対し、キリル・ダネリア氏は次のように答えた。「春画は、もちろん、キリスト教徒のモラルには合いませんし、その観点では、肉欲的で親密な生活の瞬間を示すことは許されません。しかし、これらの木版画がそれでも性的な画集としてではなく、世界の展覧会で飾られることが、これらが芸術作品であることを証明しています。だれもが関心を示さずにはいられないのが芸術です。また、各人がそれぞれに作品を自由に感じることが大切です」。
春画の展覧会は2月13日より3月13日まで開催され、入場者数は日を追うごとに増加している。
筆者:リュドミラ・サーキャン
写真:クリスチナ・サビツカヤ
デザイン:ダリヤ・グリバノフスカヤ
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