アニメ「おしりたんてい」ロシアで放送後、大反響:隔離生活に笑いをお届け

© 写真 : Troll / Poplar, Toei Animation, NEPおしりたんてい
おしりたんてい - Sputnik 日本
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ロシアのアニメ専門チャンネル「2×2」で、日本の大人気アニメ「おしりたんてい」の放送が4月に開始された。児童書版の「おしりたんてい」(ポプラ社刊、原作:トロル)は、幼児から小学校低学年の子どもたちを中心に爆発的にヒットし、シリーズ累計700万部を突破。東映アニメーションによって2018年からアニメ化され、更なる人気を集めている。

スプートニクは、「おしりたんてい」のロシアにおける放送を決めた「2×2」プログラム・ディレクターのポリーナ・ブテンコさんに話を聞いた。ブテンコさんは自局で放送するアニメの選定や他社アニメの放送権の契約、番組表の編成に至るまで、一手に手がけている。

ブテンコさんは、魅力的なコンテンツを探して定期的に関係者向けのイベントに参加しており、ある催しで、芦辺陽子さんと出会った。芦辺さんは東映アニメーションヨーロッパのFilm Sales Senior Executiveとして、欧州とロシア地域におけるセールスを担当している。「2×2」の主な視聴者は25歳から45歳の男性なので、普段は大人向けアニメを重視するブテンコさんだが、「おしりたんてい」という芦辺さんの意外な提案をすっかり気に入り、ロシアでの放送を決めた。

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ブテンコさんはその出会いについて「芦辺さんから提案されて、おしりたんていを見た時、子ども用アニメにも関わらず、とても気に入りました。どのキャラクターも好きですが、特にマルチーズしょちょうを初めて見たときは笑い転げました」と振り返る。

しかしブテンコさんは、即座に契約を結ぶことはできなかった。「おしりたんてい」は、本来、放送局がターゲットにする年代とかけ離れていたからである。それでも諦めずに、社内を説得するチャンスを待った。そして今春、「2×2」の開局記念日に合わせることで、普段は契約できないようなアニメでも、誕生日企画として特別に通すことができた。ブテンコさんは「通常は契約の手続きに最低でも3か月かかるところを、芦辺さんと、私たちのチームとで、1か月弱で終えることができました。今でも、開局記念日に間に合ったことが本当に信じられません」と興奮気味に話してくれた。

より自然にコンテンツを受け入れてもらうためのローカリゼーションは複雑な作業だ。ブテンコさんは、おしりたんていで「一番難しかったのは翻訳」だという。単に文字通り翻訳するのではなくて、キャラクターの外見や性格を考慮した上で、ユーモアにあふれ、かつロシア人にとって自然な言い回しになるように、細部までこだわり抜いた翻訳がなされ、吹き替え作業が行われた。

© 写真 : 2×22×2公式サイトより、おしりたんていの紹介ページ
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2×2公式サイトより、おしりたんていの紹介ページ

おしりたんていの放送は夜10時台から深夜にかけてだ。ロシアでは検閲の都合で、朝や昼の時間帯に「おしり」を見せることはできないのである。しかしブテンコさんは、放送時間帯が遅いことは、問題にならないと考えている。

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ブテンコさん「おしりたんていの視聴者は、18歳以上で、ユーモアをわかってくれる人。私たちの放送局の視聴者にはもともとクリエイティブな人が多く、おしりたんていと一緒に謎解きや迷路を楽しんでくれるはずです。それに私は、深夜帯の放送枠を決める時、遊び心を取り入れるのが好きなのです。深夜枠には大人用のハードコアなアニメも、まるっきり子ども向けのアニメも入れることができます。心にひびく子ども用アニメというのは、夜遅くに見ると特別な雰囲気をかもし出して、なんだか全然違う作品のように見えてくるものです。私の経験から言って、視聴者の皆さんも私の意見に賛成してくれると思いますよ。」

「おしりたんてい」は、ユーモラスな見た目とは裏腹に、本格推理が楽しめ、大人も一緒に夢中になれる。日本では、子どもと一緒に見ているうちにすっかり自分も好きになってしまったという人も多く、ターゲット年代の枠を超えて広く受け入れられている。

放送後、「2×2」には次々と「なんじゃこりゃ!?おもしろすぎる」「今見たのは何?まさかおしり?ウソでしょ?」「もっと見たい、いつまた放送?」といった声が寄せられた。アニメファンが集まるサイトでは、おしりがテレビに出ていることが信じられず「最初は桃かと思った」という人が続出した。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、モスクワでは、3月下旬から現在に至るまでずっと外出制限が課され、自主隔離が続いている。自宅で過ごす時間が長く、社会の先行きが不安定な時だからこそ、心を癒して笑いを届けてくれるアニメは、貴重な存在だ。

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