小集団から大規模組織へと発展を遂げた「グリーンピース」、創設記念日を祝う

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9月15日、非政府の自然保護団体グリーンピースが創設記念日を祝った。自然保護を呼びかける小さな集団だったグリーンピースは、30数年という歳月をかけ、世界中に数百万人の信奉者を持つ国際的な環境保護団体となった。グリーンピースは意義ある学術研究を行っているだけでなく、国境を超え、様々な国の法をも恐れず、環境汚染に抗議している。グリーンピースはいかにして現在の姿となり、この間、何を成し遂げたのか、「スプートニク」がまとめた。

核実験でなく、自然保護区を

グリーンピースは1960年代末から1970年代初頭にかけて、カナダのバンクーバーで興っていた平和運動と反核運動から生まれた。発足日は1971年9月15日とされている。この日、創設されたばかりの委員会が、米国が、地震が多く不安定な地域で行った核実験に抗議するため、1隻の船をアムチトカ島(アラスカ)に派遣した。環境活動家らは、米国政府にアムチトカ島付近での核実験を停止するよう求め、1971年の末、この地域は自然保護区(バード・サンクチュアリ)となった。

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船名の「グリーンピース」を団体名に冠した新たな環境保護団体は、ベン・メトカルフェとデヴィッド・マクタガートによって創設された。「グリーンピース」を創立するまで、メトカルフェはPR企業の代表を務め、マクタガートはカナダでビジネスを行っていた。2人は自身が成し遂げた勝利に感銘を受け、世界中の核実験に抗議しようと決めた。

次なる抗議行動は1975年に、フランスが大気圏核実験を実施した南太平洋ムルロア環礁付近で行われた。抗議行動を行ったデヴィッド・マクタガートは1979年、グリーンピース・インターナショナルの代表となる。このときの抗議行動で、フランスは核実験を完全に中止した。マクタガートは1991年まで代表を務め、その後は名誉会長となった(2001年3月に自動車事故で死亡)。


時代の主要な問題を見張る

現在、日本を含め、世界の40を超える国にグリーンピースの支部があり、支持者の数は250万人以上となっている。他でもないこの支持者らの寄付によって、組織は成り立っている。その目的は、社会やメディアに、国際的な環境問題に目を向けさせ、それらの問題を解決することである。

グリーンピースはそれぞれの時代において、そのとき注目されるさまざまな問題に焦点を当ててきた。たとえば、グ地球温暖化やオゾン層破壊といった問題について、最初に指摘するようになったのもグリーンピースである。

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抗議活動の中には数十年続いたものもある。たとえば、核実験への抗議行動は1971年から1966年まで25年にわたって続けられ、包括的核実験禁止条約への調印をもって終了した。

グリーンピースは、南極の開発を阻止するため、氷の上にキャンプを張った。キャンプは5年間、機能していたが、1991年、世界の39カ国が環境保護に関する南極条約議定書を支持したのを機に撤収した。

非暴力というのが、グリーンピースの活動の主な原則の一つであるが、活動家自身も、なんどとなく危険な調査を行っており、活動中に拘束されることもあった。グリーンピースの行動は複数の国の政府や外務省からしばしば非難されてもいる。しかし、これも、自らの意見をより多くの人々に届けようとする彼らの活動を阻止するものとはなっていない。


たった一つの地球で、国家は意味を持たない

グリーンピースの大きな成果の一つとされているのが、1995年にシェル社に、原油貯蔵・積出設備ブレント・スパーの海洋投棄をやめさせたことである。抗議活動家数人が、筏で設備に近づき、そこに居座った。この抗議行動は大きな社会的反響を呼び、マスコミにも大々的に取り上げられた。その結果、シェル社は英国議会から海洋投棄の許可を得ていたにも関わらず、グリーンピースの勧告に従い、この計画を中止、地上で解体することを決めた。

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グリーンピースはフランスの企業にも抗議を行った。2011年12月5日、活動家らはフランスの原子力発電所に侵入し、核施設がどれほど脆弱であるかを示そうとした。彼らは原発の屋根に登り、「安全な原子力は存在しない」と書かれたプラカードを掲げた。

また2012年5月2日には、活動家の1人が、ビュジェ原子力発電所の上空をパラグライダーで近づき、敷地内に着陸した。いずれの原発もフランスのエネルギー企業大手エレクトリシテ・ド・フランスが所有するものであった。

2011年、エレクトリシテ・ド・フランスはグリーンピースに対するスパイ容疑で起訴され、150万ドルの罰金刑を受けた。また社員2人が禁固刑に処されている。エレクトリシテ・ド・フランスはグリーンピースから核実験に関する1,500以上の文書を盗んでいたのである。


反捕鯨と反原発

グリーンピースが取り組んでいる大きな問題の1つに、日本による商業捕鯨がある。

2006年にはドイツのグリーンピースの活動家が、在ベルリン日本大使館の建物に体長17メートルの鯨の死骸を持ち込み、鯨を殺すことへの抗議を表した。

また2008年にも、グリーンピースジャパンの活動家で、捕鯨に反対する佐藤潤一と鈴木徹の両名が、23.5キロの鯨肉が入った宅配パックを持ち去るという大きな抗議行動を起こした。2人は調査捕鯨船の「日新丸」の乗組員が鯨肉を手に入れているのではないかと疑っていたのである。しかし、2人は窃盗の罪で起訴され、2010年9月、青森地裁に懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡されている。

© AFP 2023 / Frank Zellerグリーンピースジャパンの佐藤潤一と鈴木徹
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グリーンピースジャパンの佐藤潤一と鈴木徹

一方、2020年にグリーンピースが行った最新の調査では、福島県で放射能の二次汚染が起きているこという兆候が見られ、グリーンピースは、除染作業が効果的に行われていると主張する日本政府の報告は、現場の危機的現状に矛盾しているとの報告を行っている。

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