ロシアのSF小説をオマージュしたTVアニメ「裏世界ピクニック」、2021年放送へ

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TVアニメ「裏世界ピクニック」が、日本での放送開始に向け動き出した。9月12日には、インターネット上に、2021年1月からの放送開始を伝えるトレイラーも登場した。アニメの原作は宮沢伊織の同名の小説で、この小説はロシアのSF作家、ストルガツキー兄弟が書いた「路傍のピクニック」を意識して執筆されたと言われている。監督およびシリーズ構成は「シュタインズ・ゲ-ト」、「好きっていいなよ」など数多くの作品に参加してきた佐藤卓哉が手がける。

ゾーンと裏世界

1972年にソ連で出版された小説「路傍のピクニック」は、その後、ソ連内外で広く知られるようになり、20カ国以上の言語に訳されている。日本では、深見弾による翻訳が、「ストーカー」のタイトルで、1982年に早川書房から出版されている。小説では架空の国のハルモントという町が舞台となっているが、この町には物理学では説明できない奇妙な現象が起こる6つのゾーンがあり、人々の脅威となっている。これらのゾーンは異星の超文明の痕跡とされており、そこには、まるでピクニック帰りの人たちが路傍に捨てていったかのように、偶然、地球にたどり着いた異星文明が置いていった宇宙ゴミなどの物品が残されている。ゾーンは立ち入り禁止となっており、厳重に警備されている。しかし主人公のレドリック・シュハルトは「ストーカー」と呼ばれるゾーンの案内人となり、謎の力を持ち、高価な値で取引されるゾーン内の物品を、命がけで持ち帰ろうとする。

アニメの中心人物となっているのは、仁科鳥子と紙越空魚という2人の若い女性。空魚は廃墟探索を趣味としており、ある廃墟で「裏世界」につながる扉を見つける。そこで空魚は、行方不明になった冴月という女性を探す鳥子と出会う。2人は秘密と謎にあふれ、危険な生物が生息するこの裏世界に足を踏み入れ、生命の危険を冒すことになる。裏世界の探索と行方不明者の捜索しながら、2人はまるでストーカーのように、お金儲けのためにあるものを狙うようになる。―ロシアの小説と宮沢伊織の小説にある共通点はここまでである。


それぞれの道を歩き出すストーカーたち 

映画監督のアンドレイ・タルコフスキーは、ストルガツキー兄弟のこの小説を下敷きに、映画「ストーカー」を製作したが、この映画は小説よりも有名になった。ストルガツキー兄弟は、映画のためにいくつかのシナリオを書いたが、タルコフスキーはそれらを次々と却下した。映画の撮影には様々な苦労があったと言われる。テープの不備から、一部映像が失われるという悲劇的な事態にも見舞われた。そして最終的に完成した映画は原作とはかなり異なるものとなった。タルコフスキー監督は撮影の過程で、SF的な部分をほとんど排除し、そこに哲学的な意味を付け加えたのである。

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一方、2007年から2009年の間には、ウクライナのGSC Game Worldが開発したFTS(ファーストパーソン・シューティングゲーム)「S.T.A.L.K.E.R.」がリリースされた。このゲームはタルコフスキーの映画よりも、ストルガスキー兄弟の小説よりもさらに大きな人気を獲得し、キャラクターは伝説的存在となった。2010年8月の統計によれば、「S.T.A.L.K.E.R.」S.T.A.L.K.E.R.全シリーズの売上数は400万本以上となっている。ゲームには、著作権の問題から、小説についての言及はなく、またそのロケーションも、架空の場所ではなく、原発事故があったチェルノブイリ原子力発電所第4号炉と設定されている。

ちなみに、英語の「ストーカー」という単語は、「狩猟者」あるいは「こっそり追跡する人」を意味するが、1980年代以降、ロシア語では、廃墟、打ち捨てられた工場や施設に忍び込む者、あるいは好奇心や冒険心、さらに最近では自撮りのために、チェルノブイリ原発事故後作られた立入禁止区域に侵入する人を指すようになっている。


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