米国は「明日にも」新STARTを延長可能 ロシア側は合意を否定 大統領選を見据えた戦略か

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リャブコフ外務次官 - Sputnik 日本
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米国政府は核兵器を相互に凍結することと引き換えに、「明日にでも」新戦略兵器削減条約(新START)を延長する用意がある。これにより、ロシアとの間で「根本的な」合意が形成されることに米国側は期待している。マーシャル・ビリングスリー米大統領特使(軍縮担当)がワシントンD.C.に本部を置く保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」のオンライン会議に出席した中で発言した。これに対し、ロシアのリャブコフ外務次官はそうした合意を根拠づける文書はないとして、ビリングスリー特使の発言に反発している。

会議でビリングスリー特使は、ロシアが「合意を頻繁に破っている」とし、合意実現を保証する「抜本的な」体制づくりが必要としている。そのため信頼醸成の措置をロシア側に提案したという。

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また、ビリングスリー特使はロシアとの戦略的安全保障にかかわる合意について、その合意内容をいずれも中国に適用する必要性を主張した。会議の中でビリングスリー特使は、「我々は彼ら(ロシア側)が核兵器を制限、または凍結するという条件付きで新STARTを一定期間にわたって延長する用意がある」と発言した。ビリングスリー特使によると、ロシアが保有する潜在的核兵器のおよそ55パーセントに達する、戦略的運搬手段を含めること米国側は要求している。両国の政府高官レベルではすでに合意形成が出来ており、ビリングスリー特使は「合意の用意がある、明日にでも実現できる」と発言した。ただし、ロシア側がその確約に向けて政治的意思を発揮する必要があるとしている。

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これに対しロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はリアノーボスチ通信の取材に応じた中で、核兵器凍結を支持する米国の姿勢は以前から承知しているとしつつ、戦略的安全保障に関する諸問題の関係で「凍結は受け入れられない」と発言した。またリャブコフ外務次官は、「仮に選挙までに、ロシア連邦と合意ができたとか、そうした類のことをトップに報告する必要が米国側にはある」としても、ロシア側にそうした用意はないと明言した。

ロシア側は新STARTの延長に関して米国側に複数の案を提示してきたものの、米国側はこれまで応じる姿勢を見せてこなかった。そのため、リャブコフ外務次官は「これほど意見が食い違う条件下において、いったい何を根拠にそうした類の憶測をワシントン側が提示しているのか、私にはまったく理解しかねる」と発言した。


米国はロシアと新戦略兵器削減条約(新START)の延長に向けた協議を6月に開始しており、全ての核兵器に対する規制実現に向けてロシア、および中国との合意を目指している。条約は2021年を期限としており、双方が合意すれば最長5年間延長される。米国はすでに合意済みの兵器に加え、新たな兵器も対象とするほか、中国を含めた形で新STARTの延長を目指している。

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