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時間と音を融合させた映画 ウラジオストク国際映画祭に出品した日本人監督、池添俊氏インタビュー

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10月16日、極東ウラジオストクで、環太平洋国際映画祭「パシフィック・メリディアン」が閉幕した。10月10日にマリインスキー劇場沿海州別館で開幕した今年の映画祭では、49カ国から190作品がコンペ部門にエントリーした。うち3作品が国際映画祭初、7作品が世界初、30作品がアジア初、55作品がロシア初公開となった。コンペ部門には、ロシア、日本、米国、中国、チリ、韓国、ベトナムなどのアジア太平洋諸国の作品が出品された。

「パシフィック・メリディアン」映画祭には、短編、長編、ドキュメンタリー映画、アニメーション、新人など、多くの部門がある。また映画祭には、主な審査員の他に、アジア映画普及団体NETPAC と国際映画批評家連盟(FIPRESCI)を代表する審査員が参加した。今年の映画祭の会長はアンドレイ・コンチャロフスキー監督が務めた。

今年、日本からは2作品が出品された。1つは反戦をテーマにした大林宣彦監督大林宣彦の「海辺の記念館―キネマの玉手箱」、もう1つは映画祭初参加の池添俊監督のショートフィルム「朝の夢」である。

「スプートニク」は池添俊監督に、今回出品した作品について、また映画祭への参加についてお話を伺った。

スプートニク:  この映画の主なアイデアとジャンルは何ですか。 

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池添俊氏: この映画は私の育ての親である祖母の声から生まれています。私にとって「母」とは、私を育ててくれた祖母でした。祖母は老によって死に近づいています。私は祖母と祖父に育ててもらいましたが、私が彼らの人生の話を聞ける機会はあまりありませんでした。特に女性である祖母が自分の人生を孫の私に語ることはほとんどなく、私にとって「母」である祖母の話を今聞いておかないと後々絶対に後悔すると思ったので、2年前の夏から祖母の元へ通い、少しずつ声を拾い集めてきました。無常の愛を与えてくれた祖母が初めて私に語った、最愛の人との出会いと別れの話など、祖母が語る話は私にとってどこか民話のような響きがありました。また、映画に出てくる家は、かつて祖母と私が一緒に暮らした家です。そしてそこは、私の生みの親とも一緒に暮らした家です。現在もうその家には誰も住んでいません。彼女が死に向かっているとき、この家もまた売りに出されようとしていました。この家が一つの時間の終わりを迎えようとしていたのです。私は、生活の残留物があり、かろうじて家が息をしている(生きている)時間と、家具がなくなり家の中に何もなくなった(死んでいる)時間の二種類の時間を撮影し、家の中やその近くで生活の音をフィールドレコーディングしました。映画ではその二つの時間や音をミックスし、この世とあの世を行き来する時間を作りました。

スプートニク:    つまりこれは個人的なストーリでしょうか。

池添俊氏: 前述の通り、この映画は祖母の声から作られています。祖母は去年の年明けに体調を崩し、もうこの映画を作った時のようには話すことはできません。記憶が混濁したように話す姿を見て、「今あの人は記憶の夢を見ている」と父は言いました。「明け方に見る夢はあの世からのお告げである」という話を聞いたことがありますが、”あの世”とは一体どのような世界なのか誰も知りません。私は祖母の声(記憶)からイメージを膨らませ、愛と浄土(あの世)についての映画を作りました。

スプートニク:  それはもっぱら日本の物語なのか、それともユニバーサルのストーリですか。

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池添俊氏: この映画は祖母の話が発端ですが、最終的には女性の普遍的な話にしたかったので、祖母の姿で輪郭を作ってはいけませんでした。主演の村上由規乃さんには祖母を再現してもらったのではありません。彼女は普遍的な女性を象徴しています。それは生きていたり、前世だったり、あの世の人だったりします。同じく主演の上野伸弥さんも若い祖父を演じてもらったのではありません。彼らは始まりと終わりがつながる円環的なイメージを演じてくれました。映画は個人的な経験が起点となり、それが想像もつかない場所にたどり着くといいと思っています。そして個人の記憶の深い部分を掘れば掘るほど観客の心と共通する部分が生まれると信じています。

スプートニク:   ショートフィルムは池添様の意識的な選択またはビッグシネマへの第一歩ですか。

池添俊氏: 祖母の話は当初、長編映画を考えていました。今回8mmフィルムで撮影を行いましたが、8mmで撮影したものはデジタルカメラのようにその場では確認できないという不便さがあります。後日フィルムを現像してから初めてそこに何が写っているかわかるのですが、大体半分以上は意図したものが撮れていません。ただ、想像以上のもの(意図しなかったもの)もそこにはあります。それらをもとに映画の構成を再構築する時間が、自分の思考と対話する時間です。今回の対話の結果がこのショートフィルムになりました。祖母と私の生みの母、二人の母についてはいずれ長編映画を撮りたいと思っています。

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スプートニク:   2020年に「朝の夢」は4つのフェスティバルに上映されました。外国の観客の 反響はどうでしたか。

池添俊氏: 今回、コロナの影響で、映画を招待してくれた4つの映画祭の内、イタリアPesaro映画祭、メキシコBlackCavas映画祭、NY映画祭には実際に訪れることが叶わず、観客の皆さんの声は私にあまり届きませんでした。私の映画は静かな映画なので、観終わってから時が経って返答がくるものだと思っています。観てくれた観客の心に火が灯れば嬉しいです。唯一、フランスMarseille映画祭には現地に参加することができ、一人の女性が上映後に話しかけてくれ、「この映画は後3回観たいわ」と言ってくれました。彼女の言葉は今後忘れることはないと思います。

スプートニク:   日本の映画界には池添 様は特に尊敬する映画製作者は誰ですか。

池添俊氏: 日本の映画界で尊敬するのは、すでに亡くなってしまった相米慎二さん、寺山修司さん、鈴木清順さん、佐藤真さんです。彼らは劇映画、実験映画、ドキュメンタリーという枠を超えた素晴らしい映画作家だと思います。

スプートニク: 池添 様はロシアの映画をご覧になったことがありますか。

池添俊氏: あります。ジガ・ヴェルトフ、ヴィターリー・カネフスキー、タルコフスキーなど素晴らしい詩的な映画人はいつでも私に影響を与えています。

スプートニク: 今回ウラジオストクにいらっしゃるおつもりはありますか。

池添俊氏: 今回はコロナ禍でロシア・ウラジオストクにいくことはできませんでした。前作『愛讃讃』に続き本作『朝の夢』も上映してくれた唯一の国際映画祭です。次回こそは現地に赴き、直接ロシアの皆さんとお話がしたいです。


映画祭「パシフィック・メリディアン」はウラジオストクだけでなく、沿海地方全体にとっての重要な文化イベントである。映画祭ではおよそ2,500本の作品が上映され、100万人以上が鑑賞した。毎年、映画祭は9月の前半に開催されているが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大のため、会期を延期して開催された。

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