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新型コロナウイルス
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コロナ差別:「人に迷惑をかけない」という原則が日本社会に与えた影響

© REUTERS / Issei Katoコロナ差別
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新型コロナウイルスの感染者数に関する情報、感染予防措置、そして目に見えない危険が蔓延しているというニュースや話題が連日のように伝えられるコロナ禍の今、どんな人も簡単にパニック状態に陥る危険がある。自分や周囲の人が感染しているかもしれない、または感染させるかもしれないという恐怖は、社会からの圧力を受けずとも厳しい状況にあるクラスターによる感染者や医師の家族に対する迫害を生み、こうした恐怖と共存することは堪え難い状況となっている。こうした危機的状況において、なぜ社会が犠牲者に背を向け、また日本人の「人に迷惑をかけない」という行動の原則が、パンデミックの今、どのような問題と化しているのか、「スプートニク」が取材した。

病は人間性を奪うのか?

さまざまな感染防止対策が取られているにもかかわらず、コロナウイルスの感染者は世界中で増加し続けている。そして日本も例外ではない。春の始めに、突然、クルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」号で感染者が確認されて世界的なセンセーションとなったが、4月半ばには日本における感染者数は500人を超え、6月には1,000人以上となり、11月には初めて1日あたりの感染者数が2,000人を上回った。

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東京で初めて感染者が確認された後、ようやく深刻な対策が取られるようになった。東京近県の人々は、東京に住む人々がそれ以外の場所に移動することを嫌い、各県の知事らは東京都民に他県への移動を控え、「ステイホーム」してほしいと要請したのである。

これについて、「スプートニク」が取材した東京在住の男性は、次のように話している。

「両親が暮らす福島では、東京出身者に対する差別意識が強いのが現状です。これは母親から聞いたことですが、地方で東京ナンバーの車やバイクを所有している市民は、ナンバーの周囲に『私は現地在住者です』というステッカーを張り、嫌がらせ行為を受けないよう警戒しているようです。福島県民は原発事故後、放射性物質をばらまいているとして差別を受けていましたが、一度差別を受けた人間は、自らもまた差別をする側に回るものなのかもしれません」。

よそ者を排除するという傾向はウイルスが蔓延し始めた直後から、世界的に見られるようになった。最初はレストランに「中国人の入店お断り」というような張り紙がされるようになり、また中国人以外の感染者が出るようになってからは、欧州諸国で、アジア人全体に対する警戒が強まっていった

そして現在、ウイルスは国籍や民族性を問わず、より攻撃的になり、すぐそばにいる人にも危険を及ぼすようになっていることがはっきりしてきたのである。


感染者に居場所はない

欧州での生活経験のある東京在住の30代の女性は「スプートニク」に対し、 「主人が飛行機に乗ったのですが、そうした便が飛ぶというニュースが出ると、帰って来るなといった心ないコメントがインターネットに沢山書き込まれていました」と話す。彼女は「周囲に感染者はいませんが、テレビやインターネットでは、コロナ流行初期に感染した有名人が激しいバッシングにあっていました」とも指摘する。

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「通常、同じ区の小学校や公共施設の職員に感染者が出ると、区から学校名や施設の特定をしない形で、新規感染者が出たと連絡があります。その後、すぐにママ友から情報が回って来て、どの小学校か知る事になります。そして、その小学校に通う子供と家族が行きそうな場所(塾や習い事、公園、スーパーに至るまで)を避けるようになります。これは、私もそうでしたが。そんな事を繰り返す内に、夏前から長期で学校をお休みしたり、明確な理由を告げず突然転校してしまう子供が出て来ました。コロナと関係があるのかは分かりませんが。

そして、感染者は増えているはずなのに、最近は区から新規感染者の連絡はあまり入りません。不思議です。おそらく皆、黙っているのでしょう。実際、もし私に熱が出たら、よほど重症にならない限り、検査を受けないと思います。コロナの認定を貰ったら、この地区に暮らせなくなると思うので。また、救急車が止まる家も、コロナ感染者かと近所から疑われます。聞いた話では、サイレンを鳴らさないで来て欲しいとお願いする119が増えているそうです」。


政府が対策に乗り出す

政府はこうした問題の発生をすでに把握しており、保険制度や感染予防に損害を与えずに感染者やその家族を守るための措置を講じている。とりわけ大きな懸念を呼んでいるのが、コロナウイルスの感染拡大の前から深刻な問題だった学校における子どものいじめで、これがコロナ禍の現在、危機的なレベルに達している。

またこのことについては文部科学省も理解しており、差別をなくすための動画や資料を作っている。

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文部科学省は、「新型コロナウイルス“差別・偏見をなくそう”プロジェクト」を発足。感染症に対する不安から陥りやすい差別や偏見などについて考えるきっかけとなるような啓発動画や関連資料などを作成し公開。NHKの報道によれば、このプロジェクトはクラスターが発生した学校の生徒や教師がソーシャルネットワーク上で誹謗・中傷されたことをきっかけにまとめられた。この学校の教師や生徒の写真がネット上に投稿され、感染者たちの顔が世間に知られることとなったのである。医師や看護士の家族が、感染者と接触した可能性があるとして、幼稚園やサークルに来るのを拒まれたというケースもある。文部科学省は、そのような迫害をすれば、感染者が、非難されることを恐れて感染の事実を隠蔽しようとする可能性があるとして、感染拡大の防止を妨げるものだと警告している。

また感染者の個人情報が、感染予防のために自治体が公開した情報から流出し、それが差別のきっかけになったケースもある。

新型コロナウイルス感染症対策分科会委員をつとめる中山ひとみさんもすでに次のような発言をしている。「どんなに気をつけていてもウイルスの感染を100%免れることはできず、感染したことの責任は問うべきではない。差別を受けるかもしれないという恐怖から、感染の事実を言い出せなかったり、保健所の調査に協力しにくくなったりして、感染防止対策にも大きな影響が出るなど、感染者への差別は社会にとって有害だということを多くの人に認識してもらうことが必要だ」。

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「ルール」を守らないから感染した

東京在住のある人は、「スプートニク」からの取材に対し、次のように述べている。「政府や自治体は様々な要請を市民に行っていますが、感染者はこうした「ルール」を守らないから感染したという批判的な意識が根強いのではないでしょうか。多くの方は直接的な争いごとを避けるため、同じ「ルール」を共有するコミュニティに所属するものでしょうが、歪んだ正義感を持つ一部の「マスク警察」、 または「コヴィディオット」 は、「ルール」を守らない人間を社会から追放したいと思っているかもしれません。特にSNSの普及により、社会は広く、そして浅くなりましたから、異端者を追放することも実に容易になりました。また、そうした「マスク警察」は人一倍、感染拡大防止対策を意識しているかもしれません。そうした自己犠牲の上に成り立つ正義だとすれば、「マスク警察」はなおのこと声を大にして他者に対して攻撃的になるのではないでしょうか。»

コロナ感染者を差別する人々の行動はときに異常に厳しいことがある。東京のある学生は、「スプートニク」の記者に対し、「地元でコロナウイルスに感染してしまった家族がいて、その家族の家に石が投げ込まれているという話を母親から聞きました」と話してくれた。

「スプートニク」が取材した多くの日本人が、知り合いの中でコロナに感染したという人はいないとし、もし感染していたとしてもそれを知ることはないと話す。大学で講師をしている女性も、「長い間会ってないあまり付き合いのない親戚が今年の春にコロナ感染しましたが、差別を受けたという話は聞いてません。しかし、その親戚は差別が怖くて、コロナに感染したことを、一部の親戚知人以外の周囲に隠している様子です」と話している。この状況を彼女は「日本人は『他人に絶対に迷惑をかけてはいけない』という責任感が強い民族だと思いますし、また、『他人に迷惑をかけることは無責任なことであり大きな恥だ』という意識が強い人たちなんだと思います。なので、『コロナ患者=他人に感染させて迷惑をかける人々』と解釈して、感染を予防しきれなかったことを、自分の無責任さの結果として迷惑をかける行為であるとみなし、責め立てる人たちが結構いるのではないかと思います。

私の出身大学で大きなコロナ感染クラスターが発生した際には、大学に苦情の電話があったり、在校生が大学のクラスターを理由にバイトを断られるなど差別があったとは伺ってます」。


なお、今回取材に応じてくれた人々は、心ない攻撃や非難を避けるため、匿名を条件として協力に同意してくれた。

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