AI婚活に効果は期待できるのか?

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日本政府はここ数十年にわたり、低下しつつある出生率を向上するための対策を講じようとしている。そして新たな少子化対策として打ち出されたのが、AI(人工知能)婚活サービスである。このサービスで、どのようにして婚姻数を増やすことができるのか、またなぜこのような恋愛問題をAIに頼らなければならないのか、スプートニクが取材した。

日本における恋愛危機

日本人は概して、結婚というものには、デメリットよりもメリットの方が多いと考え、いつかは結婚することを望んでいる人が多いが、実際には婚姻数は低下しつつある

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日本における婚姻数は、1972年にピークを迎え(109万9,984件)、その後は年々、減少している。1990年代に一時的に婚姻数の増加が見られたものの、2000年代には再び、減少し始めた。婚姻数は、2019年に80万件だったのが、2020年には60万件に低下し、政府は本格的な対策を講じる必要性を感じるようになった。日本では未婚の出産はかなり少ないため、婚姻数と出生率には明確な関連性がある。つまり、結婚する人が少なければ、高齢化の問題も、人口減少の問題も解決することはできないのである。

最近の日本人はただ自分たちの恋愛関係を書類で公式なものにするのを避けているだけではないかと思われがちだが、そうではない。15年の18〜34歳の未婚者を対象にした調査で「交際している異性はいない」と回答した男性は69.8%(前回2010年調査では61.4%)、女性59.1%(同49.5%)。さらにこの半数に当たる男性30.2%、女性25.9%は、「交際相手をもたず、かつ交際を望んでいない」と回答している(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」)。


「少子化社会対策白書」

問題は、日本では、独身の男女が恋人や結婚相手を見つけるためになんの行動も起こしていないということである。

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2019年に政府が行った独身者調査では、結婚の意思はあるが相手を見つけることができずにいる男女の60%以上が、婚活を行なっていない、つまり相手を見つけるための活動を特別には何もしていないと答えている。

調査は、20歳から40歳までの3,980人の独身男女を対象に実施された。なぜ結婚しないのかという問いに対し、もっとも多い46.8%の回答者が「適当な相手にめぐり会わない」と答えている。「結婚資金が足りない」と答えたのは26.6%、「異性とうまく付き合えない」と答えたのは 24.0%だった。


どこで恋愛相手を見つけるか?

一方、20歳から30歳までの870人を対象にした調査では、一般的に日本人はどこで異性と出会い、恋愛関係になるのかが明らかになった。もっとも多かった回答の上位3位は「同じ学校」、「同じ職場」、「友人、知人の紹介」だったが、中でも1位の「同じ学校」は2位の「同じ職場」を大きく引き離している。つまり、これらはすべて特別な努力をしなくても、異性と知り合える場所である。そして4位に「インターネットで」が入った。

結婚に対する社会的な圧力は、時代とともに弱まっている。少し上の世代は一定の年齢までに結婚するよう努めてきたが、現代の若者は理想の相手が見つかるまでは結婚しなくてもかまわないと考えている人が多い。そこで政府が打ち出しているのが、「理想の相手」が求められていることを知り、結婚相手を見つけるのに近代技術に助けを求めるというものである。つまり、21世紀の縁結びはAIが担うことになるのである。


「愛媛のシステム」

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政府は、婚姻数を増加させるという間接的な方法で、出生率を向上させたい考えだ。これを目的に、愛媛県で行われているシステムを大々的に取り入れることを提案している。愛媛県では、自治体が婚活を支援することで、少子化問題を解決しようと試みている。このシステムにAIを取り入れたところ、カップル成立率が13%から29%まで増加した。

システムの発案者によれば、日本の47都道府県のうち、25の県に、未婚者を対象とした同様のマッチングサービスがあるという。利用者が、結婚相手に望む、年齢、収入、学歴などを入力すると、その基準に合致した人が表示されるというものである。しかしこのシステムは柔軟性がなく、その基準が1つでも合致していないと除外されてしまい、マッチングの数がほとんど残らなくなってしまう。一方、愛媛県が採用しているシステムは、検索している側が気に入るだろう人を表示するだけでなく、検索している側に好意を抱く可能性がある人をも提案することで、マッチングの確率を上げることができるというものである。

政府はこの婚活サービスに、最新のAIを利用し、年齢や年収、学歴などの希望条件が合わなくても、個人的に相性の良い相手を見つけることを支援したいと考えている。


革命的な方法になるのか、それとも浪費に終わるのか?

内閣府はこのサービス導入のため、2021年度予算の概算要求に20億円相当を計上した。政府はAIシステムを導入、運営する自治体に必要経費の3分の2を補助する。

非常に良い目的を持った発案ではあるが、それでも議論の余地はある。とりわけ大きな問題は、この高額なシステムが経済的に見合った効果が得られるのかどうかという点である。

たとえば、2018年、埼玉県の結婚相談所がおよそ1,500万円をかけて、同様のAIマッチングサービスを設置したが、このサービスで知り合って結婚に至ったカップルは21組だけであった。

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