トランプ氏はバイデン氏の就任後に被告席に立つのか? 米新政権はどこまで前任者の「抹殺」を目指すのか?

© AP Photo / Evan Vucciトランプ氏
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ジョー・バイデン氏の大統領就任式、そしてホワイトハウスの主の交代まで残すところあと数日。その前任のトランプ氏は米国史上、2度の弾劾を宣告された初の大統領として名を遺すことになったが、トランプ氏を米国の政界からの追放を狙うこの懲罰措置もあながち最初で最後の例ではないと考えうる根拠もある。

トランプ氏、そしてその支持者らはバイデン氏の就任後どうなるのか、新政権はこの先どこまでトランプ氏「抹殺」に深入りするつもりなのだろうか?

再発防止の保証手段としての弾劾

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著名な米国研究家で欧州国際研究総合センターのドミトリー・スースロフ副所長は、トランプ氏弾劾の主要目的はこの人物がホワイトハウス、政界に復帰するあらゆる可能性を封印することにあるとして、次のように考察している。

「次の大統領選では2016年のように非体系的な候補者がやってきて、勝利し、政界入りしてしまう可能性を遮断する。ですから弾劾はトランプ氏を政治的に『抹殺する』のが課題です。

彼の就任時代のページをめくるのではなく、イメージ的には『破ってしまい』、米国史からトランプ氏を『消し去る』わけです。このために必要なのが彼の支持者らと、俗に言うところの『トランピズム(トランプ主義)』の弱体化です。それまでの選挙でもそうした例は少なくありませんでした。次の2024年の選挙で非体系的勢力がリベンジを図る潜在性は、実質的には米人口の半数が握っている。ですから今米国で起きていることは一種の『保険』なんです。数年後にこうした展開を避けるための『保険』。」

トランプ氏が呼んだのは米史上第2の「マッカーシズム」

2度目の弾劾が宣言され、トランプ氏がSNS上から排除されたのも、まさにこうした理由からのことだった。

ところが米国では事実上、マッカーシズム(米国で1940年代末から1957年まで続いた反共産主義社会運動)に準える大規模な「魔女狩り」がすでに始まっている。

スースロフ氏は、魔女狩りの現代版とは今、トランプ氏の支持者に対して行われようとしている「戦争」キャンペーンだとして、次のように語っている。

「 トランプ氏支持を明言する市民が今、味わっている悲哀が社会の非難で、彼らは解雇され、ソーシャルネットから追い出されています。米国では第2のマッカーシズム・キャンペーンが始まりました。トランプ氏とその支持者らは人民の敵の烙印を押されたも同然です。ですから、これらの人々に対する闘争は民主主義の敵を相手にした闘いとして展開されています。この『魔女狩り』はこの先もまだ続くでしょう。トランプ氏のような非体系的勢力の復帰を封じ、伝統的な政治エリートとエスタブリッシュメントの権力を維持するためには、これはどうしても必要な闘いなのです。」

トランプ氏が訴えられる?

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スースロフ氏は、トランプ氏の一件は本人にとっては弾劾では終了せず、裁判沙汰まで行くと断言している。

「大統領の全権を離れ、不可触の免疫を逸したとたん、トランプ氏は裁判で訴えられるはずです。なによりもまず反乱の煽動の罪で、それから脱税まで諸々が続くでしょう。米国のエリートは、トランプ氏に数年は刑務所にいてもらうためにあらゆる手段を尽くすはずです。トランプ氏は議事堂乱入では暴力を糾弾する声明を表しましたが、これも助けにはなりません。もしかすると最初からトランプ氏を陥れるための煽動だったのかもしれません。または彼が一般市民となり次第、直ちに裁判席に呼ぶために仕掛けられたことかもしれません。」

乱気流の原因は社会に生じた正真正銘の分断?

「トランピズム」は実際、米国に「革命」を輸入したも同然に、民間陣営を真っ二つに割ってしまった。とはいえスースロフ氏は、これはトランプ氏だけの問題ではなく、トランプ氏自身もこんな暴力的な事の進展は望まなかったはずだとの見方を示している。

「米国人社会の乱気流のそもそもの原因は今、見られているところの、その客観的な分断です。まず右翼と左翼の分断。移民受け入れを望まず、自分と親たちが馴染んできた米国の姿を残したいと願う大多数の白人の保守層も存在すれば、その一方で米国の主に大都市や沿岸部に居住している社会の中の多文化層、カラー層、リベラル層もあります。これでは2つの異なる国があるも同然です。第2の分断は米国市民の中の現状に不満を持つ層(ここには右翼も左翼もいます)と政界の地平上からの退去を望まない、昔からの民主党エリートの間に生じています。  」

将来の米国社会に「分断」は起きるか?

スースロフ氏は、これだけ明確に現れた社会の分断はトランプ氏が去ったぐらいでは多少状況は落ち着くとしても、「自然に消えてなくなり」はしないと考えている。

「トランピストらに対して行われている抑圧的政策。これは短期的ではありますが、エスタブリッシュメントに、典型的な民主党のエリートに一時的な勝利をもたらします。『トランピスト』らは一時的に『外野に追い出され』るでしょう。共和党はトランプ氏の政治的『絶滅』が党内分裂をもたらすために弱体化しますね。これで一般の有権者の多くは党離れを起こすはずです。こうした有権者らは民主党に投票する義務はないので、次回の選挙は単にやり過ごすでしょう. これで共和党は議会では少数派にとどまるでしょうが、それでも共和党のエリートにしてみれば、トランプ氏と共闘するより害が少ないはずです。ただしトランピズムを信奉するがゆえに今、社会から非難されている人たちはこれからラディカルになるでしょう。彼らには自分の声に耳を傾けてもらえないことがはっきりしたからです。しかも言論の自由、レスペクト、仕事さえ剥奪されたわけですから。 」

スースロフ氏は、トランピストらが急進主義に走り、数年後の米国では民間に新たな「分断」が起こることは避けようがないと見ている。それは米国人エリートにとっては2016年のトランプ氏の勝利よりも輪をかけて大きな震撼となる。またこの先に起こることは議事堂乱入事件よりも遥かに暴力的性格が強まる可能性がある。

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