日本は厳冬でも電力クライシスを回避可能=専門家

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厳冬と大雪で日本の電力需要が大幅に増加している。その結果、日本のメディアが伝えたところによると、電力供給システムの稼働率は限界に近い。太陽光発電施設が十分な発電量を確保できないため、LNGやその他の化石燃料を使った火力発電所に頼っているのが現状だ。しかし、これは再生可能エネルギーへの移行を謳ったコンセプトに逆行する動きだ。政府は、長年にわたって大企業による独占が続いてきた電力市場の自由化を促したが、それも状況改善の一手にはならなかった。

暖房用電力の需要増でLNG在庫が底をつくことを懸念した東京電力は、自家発電施設を持つ鉄鋼大手や化学大手に対して電力融通を要請せざるを得なくなった。前回、東京電力が企業に対して電力供給を要請したのは2011年の東日本大震災後のことだった。

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エネルギー・ファイナンス研究所エネルギー局課長のユーリー・ルィプコフ氏はスプートニクのインタビューで次のように語った。「日本で電力クライシスが発生する脅威はないでしょう。2011年に国内の原子力発電所が完全閉鎖の危機にあったときでさえも電力供給の崩壊を避けることができたのですから、今回の困難も乗り越えられるはずです。消費者向けの電力価格に影響は出るでしょうが、これは別の問題です。

危機的状況から脱出する方法は、移行期の再生可能エネルギー導入プランに記されています。第一に、ガス火力を主力に、予備の発電能力を増強すること。現在、国内の火力発電所の大部分はガス火力ですが、2035年までにこの割合を70%に引き上げる計画です。しかし、移行期は石炭、ディーゼル、重油、原油を燃料とする発電所の稼働も認められます。徐々に化石燃料の割合を引き下げていきますが、2030年までの移行期は各種エネルギー資源を組み合わせることが合理的でさえあります。第二に、蓄電、つまりピーク時の事業者用と家庭用のニーズをまかなうために電力を貯めることです。この分野で大きく進展しているのが太陽光発電です。第三に、原子力です。原子力の割合は、日本のエネルギーバランスの約30%を原子力が占めていた2011年とは比べるべくもありませんが、政府は原子力発電所の安全基準をより厳しくすることで、原子力を放棄しない意向です。環境に優しいエコな未来に向けて、日本企業は洋上風力を積極的に進めており、火力よりも安価、陸上風力より安定したものにするための技術開発を行っています。さらに水素もあります。水素エネルギーは今はまだLNGよりずっと高価ですが、日本はこのセグメントを積極的に進めていく意向です。このほか、日本ではアンモニアを火力発電の燃料として利用する技術も開発されています。「ブルーアンモニア」も二酸化炭素の排出を半分以上削減できるため、有望な「未来の燃料」のひとつと見なされています。ちなみに、アンモニアを製造して日本に輸出するための交渉をすでにイルクーツク石油会社が進めています。地熱発電も日本のエネルギーバランスに占める割合は極めて低いものの、水力発電と同様に忘れてはなりません。」

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冬季の太陽光発電量の減少については、ロシア太陽光発電業協会のアントン・ウサチョフ会長がスプートニクに意見を語ってくれた。

「日本の太陽光発電設備の発電量低下は寒さと吹雪によるものではなく、数が少ないことによるものだと思います。太陽光発電施設を建設する際には、積雪より上にパネルが来るようにモジュールの傾きや高さを設計します。異常な積雪時には太陽光パネルの雪を落とす方法もあります。もちろん、太陽光パネルが発電するためには太陽光が必要ですが、夏の方が冬よりも多く発電できると考えるのは間違いです。太陽光パネルの効率は、気温に関係なく、パネルが太陽光をキャッチして変換できることにあります。逆に、夏にパネルがあまりにも加熱されると、発電効率は低下します。ですから、気温の低い冬の晴れた日は太陽光パネルにとって最高なのです。太陽が低く太陽光がパネルに斜めに当たらないときや、曇りで太陽光が厚い大気層に阻まれるときには、多くのエネルギーが散乱してしまい、結果的に発電効率が下がります。そのため、太陽光発電施設には蓄電池が必須なのです。蓄電池の役割は作ったエネルギーを貯めて保管することです・・・」

日本の経済産業省は2014年に新しいエネルギー基本計画を公表し、その中で望ましいエネルギー源として再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマス)、原子力、水素を挙げている。これらのエネルギー源に重点が置かれているのは、経済の脱炭素化への寄与が大きいことと、エネルギー資源の輸入依存を低減する大きな可能性があるためだ。

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