「匿名だから罪にならない」は大間違い インターネットでの誹謗中傷対策に乗り出した日本政府

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2月26日、日本政府は「プロバイダ責任制限法」の改正案を閣議決定した。これは、インターネットで誹謗中傷にあたる内容を書き込んだ投稿者のIPアドレスや個人情報を取得するために、裁判所が被害者の申し立てを基に、情報開示を判断し、被害者の負担軽減を図るというものである。

ネット上の匿名性にピリオド

閣議決定された改正案では、SNSなどで、侮辱や名誉毀損、誹謗中傷にあたる匿名の投稿やコメントを書き込んだ人物について、個人情報を速やかに開示するための新たな裁判手続きが行われることが定められている。これまでは被害者が投稿した人物を特定するための訴えを起こすと、SNSの運営会社と投稿者が利用する接続業者のそれぞれに対して裁判の手続きが必要なため、時間がかかることが問題であったが、この課題が解決されることとなる。

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改正案では、裁判所が、被害者の申し立てに基づいて、ユーザーの情報を開示するかどうかを判断し、SNSの運営会社や接続業者に命令が出せるようになる。

木村花さんの自殺

SNSの投稿者を管理する必要性について取り上げられるようになったのは、フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していた当時22歳のプロレスラー、木村花さんが誹謗や中傷を受ける中で、自殺した問題がきっかけであった。

またSNSが自殺の原因となった事件はこれだけではない。2020年7月には日本の人気俳優、三浦春馬さんが東京の自宅マンションで首を吊った状態で見つかった。警察はこの自殺の原因を「ネット民」や「コロナ鬱」だったと発表している。

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ネット上の誹謗中傷は日本以外でも問題となっている。韓国でも2015年、同じ理由により、有名人が相次いで自殺し、その後、現在に至るまで、自殺者は後を絶たない。

誹謗中傷する者との戦いなのか、反対意見をもつ者との戦いなのか

社会はこうした問題があることを認めてはいるものの、今回の改正案については、誰もが肯定的に捉えているわけではない。SNS上のニュースへのコメントでは、多くのユーザーが、裁判所が判断を下すにあたり、偏向や主観に左右される可能性があると指摘しているほか、個人的な申し立てをすべて検討するのは困難だという声も上がっている。

以下、ツイッターに書き込まれたコメントをいくつかご紹介したい。

「中身をしっかり詰めて法制化しないと、都合よく恣意的運用されかねないから怖いよね。今の自公政権みたいな権力者集団が幅をきかせてると尚更」

​一方、改正案を支持する人も多い。

「オンでもオフでも誹謗中傷はいかん。どんな人に対しても私的制裁はダメだ。オンなら、匿名なら公然と私人の悪口言って良いと思ってる人達にこのニュースが届けばいい。」

​「誹謗中傷をしたこともない人たちを一方的にエゴサーチしてブロックしていながら、テレビでは「誹謗中傷された場合にブロックしている」などと嘘を吐いてる河野太郎がNo.2で、メディアコントロールも出来てる今の政権で、こうしたことが閣議決定されると、本当に大丈夫なのかと思ってしまう。」

​改正案は今のところ、まだ書面の上に存在するだけであり、その有効性を評価することはできない。この改正案が実際に機能し、匿名の人物の情報が開示されるときを待ちつつ、この方策がネットの誹謗中傷の被害にあった人々を助けるものとなることを願わずにはいられない。

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