日本とインドネシアが世界に「反中国」のメッセージを発信:中国は経済的に対応か?

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日本は地域における中国の拡張に対しアジア各国の「共同対応」を形作ることに積極的に努力している。通信社「スプートニク」は、反中国に傾倒する日本政府の積極的な「躍動」は何に関連しているのか、状況の把握を試みることにした。また、中国政府はこの日本政府による外交的イニシアチブに対応する可能性はあるのか、専門家に意見を聞いた。

この間の日本とインドネシアの国防機関の交渉後、両国は世界に向け中国に対する自らの意向についてメッセージを発することで合意した。ジャパン・タイムズ紙によれば、両国は、地域の海域において緊張のエスカレートを引き起こすおそれのある中国のあらゆる行動に対し、断固とした発言を行なうことを確認した。

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モスクワ国際関係大学およびロシア国立研究大学経済高等学院のセルゲイ・ルジャニン教授は、この「大きな構えの決断」を中国指導部は間違いなく耳にしているが、この発信は中国政府にとっては予想されたものであり、バイデン政権発足に伴ってアジアでの米中の対立が沈静化することはないことを再度証明しているとの見方を示した。「反中国同盟は以前から存在しているが、しかし、この間、同盟は地域の中で大きな矛盾と遅滞を伴い形成されてきた。中国抑止を目的とした『インド・太平洋パートナーシップ』構想は、とても『手応えのない』プロジェクトであることが判明した。このプロジェクトは、バイデン大統領が登場する以前から存在し、トランプ氏のような攻撃的な大統領のもとでさえも、緊張感のないことが特徴だった。しかし、インド・太平洋地域の安全保障に関する米国と日本、インド、オーストラリアの4ヶ国対話である日米豪印戦略対話(QUAD)は別だといえる。QUADは、なにより米国とアジア各国との軍事協力を前提としている点で、中国への対抗がいっそう先鋭化している。そのため、バイデン政権は、(日本周辺)地域の主たる同盟国の援助を受け、間違いなく新たな息吹を吹き込むことになるだろう。たとえば、インドネシアを参加させることでこのフォーマットを強化することが考えられる。こうしてQUADは5ヶ国になる可能性がある」。

そして、日本とインドネシアの国防機関代表による交渉と彼らの対中国での世界に向けたメッセージは、おそらく、こうした流れにおける断固とした措置の1つだといえる。その際、今後もフォーマットに地域の他の国が加わる可能性は高い。QUADはアジアにおける北大西洋条約機構(NATO)の類似機構となる可能性が十分あり、米国はさらに韓国を参加させようとしているとルジャニン教授は予想する。

しかし、今のところ韓国は、中国との関係(多くの他のアジア各国と同様)に関しては同国の経済が中国政府の巨額の投資と結びついているという点から「反中国のトラック」とは距離を置いている。

インドネシアは反中国を準備?

日本とインドネシア政府による交渉は、地域における中国抑止での菅政権のはじめての外交成果といえる。セルゲイ・ルジャニン教授によれば、しかし、インドネシアは米国と中国の間で、さらに非常に長く日和見的で中間的なポジションに留まることになるという。

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それでも、まさに中国政府との「友好を強固に維持」するとても重要な理由がインドネシア政府にはあることから、こうしたポジションに留まることになるのだと同教授を強調する。「習近平国家主席は2013年にまさにジャカルタで中国の海のシルクロード(一帯一路構想)を提起したのは偶然ではない。この陸路版はカザフスタンの首都である旧アスタナで発表された。このメガプロジェクトの海路の出発点はまさにインドネシアなのだ。インドネシア政府は中国のメガプロジェクトによる同国の経済的利益は巨大であることをよく理解している。そのため、同国はおそらく自らが不利になるような行動を取ることはないだろう」。

中国政府は2013年からこのメガプロジェクトに取り組みはじめ、効率の向上とトランジットの強化のために数千億ドルの投資を行なった。まずはじめに数千マイルにおよぶルート上で、数百ではないとしても数十の港湾や拠点、その他の通信手段のインフラの近代化が対象となった。

ルジャニン教授は、「南海のみならずアフリカ沿岸、欧州へのすべてのルートの出口が含まれる。そして、比喩的に言えば、完全なプログラムに沿って急回転し始め、スピードに乗っていることから、世界的な『中国のローラー』を止めることは不可能だ」と強調した。また、同教授は、「これはおそらく日本政府と米国政府の大きな苛立ちと懸念を引き起こしている。しかし、彼らは同じ様な何らかの効果的手段によって(中国のこのメガプロジェクトに)対抗することはできない。残っているのは中国の軍事的抑止だけだ」と語った。

そのため、中国に対抗する日本と米国の試み(地域の他の国々を巻き込んだ)は、今のところ広がりを見せていない。そして、これは世界に向けた日本とインドネシアのメッセージで見せたように、より宣言的だといえる。

中国はそれでも不安要因を抱えている?

インドネシアから始まる偉大な海のシルクロードは、地域における中国の経済的影響を保つ最高の保障となることは疑いようがない。しかし、マラッカ海峡(中国の海上貿易の80%がこの海峡を通過)の軍事的安全保障問題が経済的構成に加わることから、この戦略は脆弱性を有している。

そのため中国政府は自国の海軍力の増強を継続している。また、セルゲイ・ルジャニン教授は、米国とその同盟国が軍事演習を行なっているだけに、この地域でロシアと中国の海軍が演習を実施する可能性を排除していない。

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