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ロングセラー雑誌「子供の科学」初の海外進出でロシア版発売、日露の子供をつなぐ媒体に
ロングセラー雑誌「子供の科学」初の海外進出でロシア版発売、日露の子供をつなぐ媒体に
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... 2022年1月18日, Sputnik 日本
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1924年(大正13年)に創刊した超ロングセラー月刊誌、誠文堂新光社の「子供の科学」が、その100年近い歴史の中で初めて海外に進出し、ロシアで創刊号が発売されている。「子供の科学」は、その質の高い内容で年代を超えて読者を引きつけ、出版不況・少子化の現代においても実売数で大健闘している。ロシア版創刊までの道のりや、ロシア進出にあたっての見通しを、日本とロシアの出版社それぞれから話を聞いた。日露の子供たちで興味関心を共有初の海外展開先としてロシアが選ばれたのは半分は偶然だ。「子供の科学」のグローバル展開を模索していたところ、日露をつなぐビジネス経験が豊富な人々との縁が重なり、ロシアの出版社「イスタリ」と出会うことができた。社内では、ロシアと言えばアメリカと並び世界の宇宙開発を牽引してきた技術大国というイメージで、科学教育コンテンツの需要があるのではないかと考えた。何よりも、雑誌の内容をロシア側が高く評価したことが後押しとなり、ロシア進出を決めた。かつて「子供の科学」の編集長を務めていた誠文堂新光社の柏木文吾取締役は「創刊当初から、工作や実験など手を動かすための記事が多く、読むだけでなく体験・体感して科学を自分のものにしてもらいたいという思いが貫かれています。雑誌が受け入れられた暁には、ロシア側パートナーと一緒に、セミナーなど、子供たちが何かを体験する場を提供できれば、きっと面白いことができる」と期待を寄せる。子供の科学では、すでに紙の雑誌と組み合わせたオンライン事業を日本国内で始めている。子供の科学ウェブ版「KoKaNet(コカネット)」の土舘建太郎編集長によると、オンラインイベントには、教育水準の高い、熱心な子供たちが多く参加している。徹底ローカライズを可能にした翻訳家集団子供向けとは言え、専門用語も多く、日本人が読むことを前提に作られた雑誌をロシア向けに対応させるのは至難の業だ。ロシア側パートナー、出版社「イスタリ」のエフゲーニー・コルチュギン社長は「私の人生の中で最も重要なプロジェクトのひとつ」だと話す。イスタリは、コミックや小説の出版からスタートした会社で、日本の文化をロシアに紹介してきた。ロシアで日本のコミック・ラノベ分野における業界トップの地位を確立しているほか、アニメや映画の配給も手がけている。同社は、子供向け媒体において、ロシアで最も優秀な翻訳者集団を抱えている。販売はオンラインに注力、地方の読者に期待コルチュギン氏が期待するのは、モスクワのような情報過多の大都市より、地方の読者だ。イスタリが出版する日本のコミックは、通販のおかげで、辺境地の小さな村でもよく売れている。「子供の科学」も、ロシア版アマゾンと言われる「OZON」や「Wildberries」といった、人気の高いマーケットプレイスで販売を開始した。大量の商品がある中で注目してもらうのは容易ではないが、子供向け雑誌というカテゴリーの中では、差別化が図れていると考えている。現在販売されているのは創刊号のみで、第2号は2月を目処に出版準備中だ。この両号には、2020年に日本版に掲載された記事のうち、特に面白いとロシア側が判断した選りすぐりのコンテンツが掲載されている。今後はロシア市場におけるブランド強化に注力し、定期的に出版していくことを目指す。他国への海外進出は今のところ具体化していないが、ロシアでの成功が次なるステップの大きな鍵になる。ロシア版の創刊号を手に取った、日本版編集長の根岸秀氏は「今はわくわくした気持ち。日本版で、これは絶対楽しいぞ!と思って作った記事がたくさん入っていて嬉しいです。将来、これを読んだ子達が研究者や技術者になり、その取材記事を日本版に掲載するような日がきたら、すごく嬉しいと思います。」と話している。
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オピニオン, 社会
1924年(大正13年)に創刊した超ロングセラー月刊誌、誠文堂新光社の「子供の科学」が、その100年近い歴史の中で初めて海外に進出し、ロシアで創刊号が発売されている。「子供の科学」は、その質の高い内容で年代を超えて読者を引きつけ、出版不況・少子化の現代においても実売数で大健闘している。ロシア版創刊までの道のりや、ロシア進出にあたっての見通しを、日本とロシアの出版社それぞれから話を聞いた。
初の海外展開先としてロシアが選ばれたのは半分は偶然だ。「子供の科学」のグローバル展開を模索していたところ、日露をつなぐビジネス経験が豊富な人々との縁が重なり、ロシアの出版社「イスタリ」と出会うことができた。社内では、ロシアと言えばアメリカと並び世界の宇宙開発を牽引してきた技術大国というイメージで、科学教育コンテンツの需要があるのではないかと考えた。何よりも、雑誌の内容をロシア側が高く評価したことが後押しとなり、ロシア進出を決めた。
かつて「子供の科学」の編集長を務めていた誠文堂新光社の柏木文吾取締役は「創刊当初から、工作や実験など手を動かすための記事が多く、読むだけでなく体験・体感して科学を自分のものにしてもらいたいという思いが貫かれています。雑誌が受け入れられた暁には、ロシア側パートナーと一緒に、セミナーなど、子供たちが何かを体験する場を提供できれば、きっと面白いことができる」と期待を寄せる。
子供の科学では、すでに紙の雑誌と組み合わせたオンライン事業を日本国内で始めている。子供の科学ウェブ版「
KoKaNet(コカネット)」の土舘建太郎編集長によると、オンラインイベントには、教育水準の高い、熱心な子供たちが多く参加している。
「すでにハワイやシンガポールなど、海外在住者の参加実績もあります。ロシアで『子供の科学』というブランドが広まっていけば、海外渡航が難しいコロナ禍にあって、オンラインイベントに参加してくれる子も増えるでしょう。そこで日露の読者同士に交流してもらえればすごく楽しいし、国境を越えて同じ興味関心をもった友達ができれば素晴らしいと思います。」
子供向けとは言え、専門用語も多く、日本人が読むことを前提に作られた雑誌をロシア向けに対応させるのは至難の業だ。ロシア側パートナー、出版社「イスタリ」のエフゲーニー・コルチュギン社長は「私の人生の中で最も重要なプロジェクトのひとつ」だと話す。
コルチュギン氏「まず誠文堂新光社が創業100年以上ということに感心しました。ロシアには100年も続いているビジネスはないので、それだけで強い印象を与えます。私には子供が2人いて、子供の同級生の親と話していると、いかにスマホを取り上げるかという話題になります。ロシアでは日本と違って小学校でスマホが禁止されていないので、長い休み時間でも、外に遊びに行かないで座ってゲームしていたりします。脳を発達させるには、まずは紙の本、文章を読むことです。その意味でこの雑誌は宝のようなもの。親として子供に一番良いものを与えたいと思うのは当然です。短期的な利益を目指すのでなく、ロシアで知られ、読まれ、愛されるように努力したいです。」
イスタリは、コミックや小説の出版からスタートした会社で、日本の文化をロシアに紹介してきた。ロシアで日本のコミック・ラノベ分野における業界トップの地位を確立しているほか、アニメや映画の配給も手がけている。同社は、子供向け媒体において、ロシアで最も優秀な翻訳者集団を抱えている。
コルチュギン氏「ロシアは90年代、経済状況が厳しく、日本語を勉強した人はほぼ全員が旅行ガイドになりました。比較的良いお金になったからです。なので、この世代の翻訳者がごっそり抜け落ちています。私は、安心して任せられる翻訳チームを、15年間かけて作り上げました。日本や日本文化を心から愛している、日本語能力試験N1(最上級レベル)のメンバーばかり。若い人が多く、中には20歳前後の人もいます。私自身も驚いているのですが、IT関係者がたくさんいます。プログラマーにとっては日本語を勉強するのはそんなに難しくないようで、非常に早いスピードで日本語を習得します。AIなどのテーマは、本物のエンジニアが訳していますよ。」
コルチュギン氏が期待するのは、モスクワのような情報過多の大都市より、地方の読者だ。イスタリが出版する日本のコミックは、通販のおかげで、辺境地の小さな村でもよく売れている。「子供の科学」も、
ロシア版アマゾンと言われる「OZON」や「Wildberries」といった、人気の高いマーケットプレイスで販売を開始した。大量の商品がある中で注目してもらうのは容易ではないが、子供向け雑誌というカテゴリーの中では、差別化が図れていると考えている。
「今ロシアで売られている子供向け科学雑誌は、テーマ設定が狭くて、特定分野に特化しているため、理論の説明など、とても専門的です。その点、子供の科学は万華鏡のようで、天文学とか数学、化学、ITなど、情報量とそのテーマの多様さにおいて類似した雑誌はロシアにありません。そして、その理論が、生活のどんなシーンで実際に使われているかを示してくれるので、どんな子供でも、興味のあるテーマを見つけることができます。子供には世界がどんなに広くて豊かか、面白いものであふれているかを見せたいのです。」
現在販売されているのは創刊号のみで、第2号は2月を目処に出版準備中だ。この両号には、2020年に日本版に掲載された記事のうち、特に面白いとロシア側が判断した選りすぐりのコンテンツが掲載されている。今後はロシア市場におけるブランド強化に注力し、定期的に出版していくことを目指す。他国への海外進出は今のところ具体化していないが、ロシアでの成功が次なるステップの大きな鍵になる。
ロシア版の創刊号を手に取った、日本版編集長の根岸秀氏は「今はわくわくした気持ち。日本版で、これは絶対楽しいぞ!と思って作った記事がたくさん入っていて嬉しいです。将来、これを読んだ子達が研究者や技術者になり、その取材記事を日本版に掲載するような日がきたら、すごく嬉しいと思います。」と話している。