日本を防衛するのは37年以上前に製造された戦闘機

© AFP 2023 / Kazuhiro NogiF–15
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アジア太平洋地域に配置されている米軍司令部は、老朽化した制空戦闘機F–15の刷新の検討に迫られている。米太平洋空軍のケネス・ウィルズバック司令官は、2022年3月半ば、最新複座戦闘機F-15EXイーグルIIを配備するときがきていると言明した。また司令官は、ボーイング社から同機を144機調達する計画を明らかにしている。
ウィルズバック司令官は、とくに、この最新の戦闘機が、長距離巡航ミサイルAGM-158 JASSM-ERを3基搭載できる点を強調している。このAGM-158は地上の目標物を対処する能力を持ち、飛行距離は最大980キロ、弾頭は厚さ最大2メートルの鉄筋コンクリート製の遮蔽物や掩体壕を貫通する。
一方、F-15C/Dは1978年、つまり今から44年前に開発された。その改良型である単座のF-15Cは1978年から1985年にかけて、483機、そしてその後、改良型複座のF-15Dが92機、合わせて575機製造された。現在はF-14C/Dが 234機、配備されている。
この戦闘機は、主に米国州兵の空軍で運用されている。しかし、米空軍はこのほか日本の嘉手納基地の第18戦術戦闘航空団第44戦闘飛行隊、第67戦闘飛行隊、また英国の第48戦術戦闘航空団第493戦闘飛行隊にもF-15C/Dを配備している。
しかし、第18戦術戦闘航空団第44戦闘飛行隊で、これまで7機の戦闘機が墜落していることは特筆すべき事実である。最後に墜落事故が発生したのは2018年6月10日であった。
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嘉手納基地に配備されているF-15C/Dは、台湾あるいは尖閣諸島をめぐる紛争が勃発した場合に、中国の空軍に対抗しなければならないものである。しかし、このタイプの戦闘機はもっとも新しいもので37年前に製造されたものであり、かなり老朽化が進んでいる。そこで、米空軍は2022年中に48機の運用を終了とする計画で、これによりF-15C/Dの総数は186機にまで削減されることになる。おそらく最初に引退することになるのは、もっとも老朽化が進んでいる第18戦術戦闘航空団に所属する戦闘機と見られる。もしこの後、代替機が導入されなかった場合、これらの戦闘機の運用終了は、太平洋地域の米空軍を壊滅的に弱体化させることになる。
1985年に生産を開始したF-15E の改良型の一つであるF-15EXは2018年に開発されたもので、領空の防衛と飛行禁止区域の偵察を目的としたものである。F-15EXには、中距離空対空ミサイルAIM-120を16基、赤外線誘導の短距離空対空ミサイルAIM-9Xを4基、 対レーダーミサイルAGM-88を2基の合わせて22基のミサイルを搭載することが可能となっている。ちなみにF-15C/Dが搭載できるのは16基である。
さらにF-15EXは従来型に較べ、エンジンの出力が23%高い。また速度も、F-15C/Dでは最大で1.2マッハだったのが、2.5マッハにまで改良されている。唯一、最新型では行動半径が1,272キロと少ない。
この改良型戦闘機は巡航ミサイルの搭載と地上目標の攻撃に対処するものである。改良が加えられたことにより、F-15EXは、戦線のより踏み込んだ位置、敵の基地、弾薬庫、司令部などを攻撃できる多用途戦闘爆撃機となったのである。
しかしながら、米空軍の司令官らの期待に反し、最新型の製造の進捗は芳しくない状況となっている。2020年、米空軍はF-15EX を144機発注したが、米議会の報告によれば、2020年に製造されたのはわずか8機(うち2機は試験用)、2021年は12機で、F-15EXが初めて軍に配備されたのは2021年3月である。
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今後の計画では、2022年に12機、2023年に14機、2024年、2025年にそれぞれ19機、つまり合わせて64機が製造されることになっている。すべてが計画通りに進めば、2025年の末には米空軍は、82機すなわち最初の計画の56%のF-15EXを手にすることになる。
しかし、この数はF-15C/Dを代替するのにも十分なものとは言えない。もし毎年、48機の戦闘機が運用終了となれば、2025年には、飛行隊のすべての航空機が運用できない状況となるのである。
もちろん、運用期間を延長し、比較的状態のよいものを修理することは可能である。しかし、それらの戦闘機は能力にも制限が加えられ、耐久性にも疑問が残る。
概して、現在の状況は非常に危機的なものであり、太平洋地域領空における主導権を失う危険を孕んだものである。そこで、ウィルズバック司令官の懸念は十分に理解できる。なぜなら今の状況では、司令官が初めて戦闘機に乗り込むより以前に製造された戦闘機で、上空戦を戦う必要に追い込まれるのである。
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