ベトナムのカムラン港、南シナ海の平和と安定維持に貢献できるか?

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日本とベトナムは日本の海上自衛隊の船がカムラン基地に寄航することで合意した。日経アシアン・レビューが報じている。合意は、11月6日に中谷防衛相とベトナムのフン・クアン・ハネム国防相のハノイでの会談の際に調印される見込み。

現時点での合意に基づくと、自衛隊の軍艦は、演習および海賊対策作戦の際、燃料補給やサービスを受けるためにベトナムのカムラン基地に寄航することができるようになる。この際、基地を利用するのは上記の目的を遂行する船に限定されることが強調されている。ベトナムの基地には諜報船が寄航することはない。日本の船は今までベトナムのホシミンとダナンの港には何度も寄航しているが、カムラン基地に寄航が許されることでスプラトリー諸島近海の作戦ゾーンは格段に拡大される。スプラトリー諸島の主権はベトナム、中国、台湾、マレーシア、フィリピン、ブルネイが程度の差こそあれ、それぞれ主張している。諸島およびその近海がコントロールされることで南シナ海の交易路の大半へのコントロールも保障される。中国はスプラトリー諸島に対する自国の主権を確立しようとし、これがこの地域のほかの当事国の不満を買っている。日経アシアン・レビューも特に、合意の主たる目的は南シナ海における中国海軍の積極的行動を抑止することと強調している。

ASEAN 中国と米国の狭間で - Sputnik 日本
ASEAN 中国と米国の狭間で
サンクト・ペテルブルグ国立大学東洋学科のウラジーミル・コロトフ教授は中国はこの地域で他の諸国に対してあつかましく振舞っており、諸国はこれに反応を余儀なくされているとの見方を示し、次のように語っている。

「中国が、この地域の他の諸国が領有権を主張する水域および無人島への管轄権を得ようとしていることは、これらの諸国にしてみれば自国の主権侵害だ。これに答えるため、諸国は米国およびその衛星国、特に日本に呼びかけ、中国の強化とバランスを図ろうと苦心している。日本とベトナムの関係にももちろん地政学的変化が見られる。

力の伸長を図る中国との関係は非常に矛盾しており、ベトナムは積極的に複数のベクトルをもたざるを得ず、他の国際政治の影響力のある主体に地政学的支柱を模索している。それに相当するのが日本だ。しかもベトナムと日本は対中関係で共通する鋭敏な問題を抱えている。両国とも中国とは海域の領有権をめぐって長年にわたる論争を抱えている。

日本とベトナムの国防省通しの協力が反中国的方向性を持っていることは明らかだが、その動きの背後には米国が存在する。これは日本の軍事ポテンシャルの復興、自衛隊を完全な軍隊へと変える動きにも関わっている。米国からベトナムに向けた飛行兵器の禁輸解除もそうだ。

ベトナムが日本ないし米国にカムラン基地で何らかのシリアスな特恵を与えるというわけではないが、これで相手を脅かすことはできる。これで中国を脅かすとなれば、これはベトナムが非常に上手に利用するリソースだ。こうして日本とベトナムが国益を守り、米国の国益を守るために、つまりアジア太平洋地域での米国の影響力を強化するために力を貸せるかどうかという点では、私は確信が持てないが…。」

東アジア地域の地政学的環境ほど諸国間の領有権主張が相互に絡み合った場所は世界のほかの地域にはない。平和的な解決は今の時点ではうまくいっていない。これを一刀両断に解決しようとすれば戦争への扉を開いてしまうことになる。地域の諸国はこぞって、軍事的解決は断固として取らないと語っているが、軍事的準備や軍事同盟は目に見えて強化されている。

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