16:09 2019年03月19日
「ニコリともしないロシア人」の味わう幸せ

「ニコリともしないロシア人」の味わう幸せ

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国連が発表した2017年度世界幸福度報告書で世界155カ国中、日本は51位、一方のロシアは49位を占めていた。この調査は国連からの委託を受け、SDSN(「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」)が行っている。

全ロシア世論研究センターが2016年秋に行った調査では、自分は幸せだと答えたのは回答者の81%。逆に不幸せだと答えたのは15%たらずだった。ロシア人がこんなにも幸福感を味わっているならば、なぜあんなにも仏頂面なのだろうか? 実際、歩いている人も地下鉄でも会社でもとにかく微笑んでいる顔はどこにもほとんど見られない。

こうしたロシア人の特徴は外国人には躾けがなっていないとか、話し相手への礼儀に欠けていると思われがちだが、実はこの「普通、ニコリともしない」ことにもロシア人なりのわけがある。これは厳しい気候や複雑な歴史の結果こうなったというばかりではない。そもそもロシア人にとっては微笑みは他の国のものとは全く違う機能を果たしているのだ。ロシアでは微笑みは日本や米国などなどのように礼儀正しいというサインではない。東洋の文化では、相手に自分が今からする話を悪く受け止められないために微笑むことがある。 ロシア人は礼儀正しくあろうとして微笑むことはない。ロシアでは礼儀正しさはイントネーション、使う言葉、ジェスチャーなどの別の手段で表されるからだ。ではスマイルはどういう働きをするかというと、相手とその人個人の関係を表すことに使われる。ロシア人はだいたいにおいては自分の知っている人にしかにっこりしない。知らない人にニコニコされてごらん。された相手に(ちょっと待てよ。知ってる人だったっけ)とか、(ひょっとして、クローゼットから何か盗られたかも)などと疑いを買うのがおちだ。

ロシア人は仕事中や何かに従事している時はほとんどニコリともしない。ニコニコと微笑むのはまじめに仕事をしていない証拠だと思われているからだ。ロシア語のことわざに「遊ぶよりまずは仕事」というものがある。そんなわけで出入国審査の国境警備員、税関職員、警官、医者、タクシーの運転手に微笑んだ顔はほぼ期待できない。ホテル、レストラン、店などサービス業でも働く人がニコニコしはじめたのはそう昔のことではなく、またどこでもスマイルを期待できるわけでも全然ない。日本人、米国人の子どもたちは幼い頃からある種の社会規範として微笑むことを躾けられるが、ロシアの場合はその逆で、親や先生たちは子どもに「まじめな顔をしなさい!」と言う。

文献学者のヨシフ・シテルニン氏はそれをこんな風に説明している。

国によっては、そこに暮らす人は自分は不幸せだと感じながらもそれを絶対に認識しようとしない。『幸せじゃない』と口に出していうことはその人たちにとってはイコール、自分はついていないやつだと認めることになるからだ。自己の感情を慇懃な微笑みで隠してしまう文化もあるが、ロシア人は隠そうとしない。ロシア人の場合、うれしい、または悲しいという気持ちや、話し相手をどう思っているかはみんな顔に書かれている。そういうロシア人が日本にいくと自動的にニコニコしだすのは、日本ではそうするのが普通なので、ロシア人としてもそれに馴染もうとするからだ。ロシアの普通の生活では微笑みは本人にはそんなに必要ではないし、いわゆるコミュニケーション文化の要素として要求されることもない。

別の説も存在するが、すべて無味乾燥な理論である。春が訪れ、日の長さが伸びて芽吹き出すと、自然の目覚めに合わせたように理由もないのにニコニコ顔の人も巷にますます増えてくる。それは心に浮き立つことがあれば、会う人会う人に微笑みかけたくなるからだろう。その微笑に相手もニコッと笑みを返してくれればそれこそ最高だ!

リュドミラ・サーキャン

ロシア人達はそんなに仏頂面ではない
©スプートニク日本 / Lyudmila Saakyan
ロシア人達はそんなに仏頂面ではない

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