シェール事業、儲けより大きい痛手

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さらに1社の大企業がシェールガス事業で「火傷」を負った。日本の商社「伊藤忠」が将来性がないとして米国のシェールガス採掘事業からの完全撤退を宣言した。伊藤忠は米国サムソンにあるシェールガス田のオペレーションに所有する25%の資本売却を発表。23日、ブルームバーグが報じた。2011年、伊藤忠が10億ドル強で購入した資本はあっけなく姿を消し、たった1ドルの価値しか残らなかった。

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シェールガス採掘事業に投資したのは伊藤忠だけではない。住友商事もシェールガス事業における損失額を16億ドルと試算した。住友商事の出したプレスリリースは、テキサス州西部のシェールガス採掘プロジェクトについて「全くのカタストロフィー」であり、それによる損失額は創業以来95年に及ぶ同社の沿革の中で最大と記されている。三井物産、三菱商事もやはりシェールガス採掘事業では数十億ドル単位の損失を蒙った。その原因はただ1つ。国際エネルギー価格の下落でシェールガス事業の採算性がネガティブなものとなったことにある。

シェール事業のバブルは米国企業にも大きな打撃を与えた。今年の1月、テキサス州のWBHエナジー社の破綻をかわぎりに、シェールガス採掘の運営会社の倒産が相次いだ。シェールガス革命がスタートしたのはまさに米国だったが、その米国で現段階までにシェールガスのボーリング施設の6割以上が完全に稼動を停止している。ブルームバーグは、米国で今、シェールガス事業に従事し、サバイバル体制で操業している企業は、多くが今年2015年末までに大きな負債を抱えて倒産するという予測を表した。

悪影響を蒙るのは実業界だけではない。米国では8つの州で地震活動の活発化したことが、米地質学研究所によって確認されている。同研究所が出した最新の報告では、米国の地震発生回数は石油ガス採掘で用いられる水圧破砕法が副作用となって増大していることが指摘されている。米地質学研究所は、これ以上自然界の圧力を高めないために地下層に化学塩化溶剤を注入しないよう進言している。

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国家エネルギー研究所のセルゲイ・プラヴォスドフ所長は、米国のネガティブな経験は中国、アルゼンチンなど、シェールガスの埋蔵量では世界のトップにたつ他の諸国にも教訓となるはずとの見解を表し、中国にとってはエコロジーのファクターは重要だとして、次のように語っている。

「米国のシェールガス採掘が行われている地域では実際に地震の発生回数が大幅に増えた。中国の四川省はシェール事業が何らかの業績を上げている唯一の地域だ。ところが四川省はシェールガス採のための水圧破砕法を用いずとも、ただでさえ頻繁に地震に見舞われる地域となっている。このほかに、中国を悩ます問題がある。それは水だ。産業規模で水圧破砕法を使うとなれば、水不足に見舞われる恐れがある。」

専門家らの試算では2020年までに中国が必要とするガス量は3000億~3500億立方メートル。仮に中国のシェールガス採掘目的指標が年間300億立方メートルに達したとしても、それによってカバーされるのは国全体の天然ガス需要の10分の1にしか満たない。シェールガス事業の発展を図ろうとすれば、たったこれだけの供給を満たすために中国は環境、商業両面のリスクをおかさねばならなくなる。

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