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    ミストラル級ヘリ空母

    ロシア、「ミストラル」から教訓を得る

    © AFP 2017/ Frank Perry
    経済
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    6月、軍事技術フォーラム「アルミヤ2015」で多目的空挺用ヘリ空母「ラヴィーナ」プロジェクトが公開された。船の排水量は2万4000トン。この排水量は、仏からついぞロシアに渡さされることのなかったヘリ空母より3000トン多い。

    ロシアは仏に発注したヘリ空母「ミストラル」を退ける決定を下した。だが、賠償額の大きさがどうなるかはまだ決まっていない。仏側が提示した額をロシアは受け入れ難いとはねのけた。ロシア側としては仏が互恵的解決に歩み寄るのを待つ構えを示しているが、現段階で仏がロシア渡しているのは設計図の一部にすぎない。これは「ミストラル」の船尾部分の設計図で、専門家の多くは新技術の観点から見ると、船尾部分の構造を譲渡されたからといって、何の利益にもならないと指摘しているが、地政学問題アカデミーのウラジーミル・アノヒン副会長は、設計図の譲渡が行なわれたという事実事態が非常に重要だとの見方を示している。

    ところが当の仏では、こうしたアプローチは信頼を損ねるものであり、将来、ロシアにとって高くつくことになるという声がますます上げられる様になった。そうした中、フィヨン元仏首相はロシアにヘリ空母を供給しなければ仏は経済的、政治的過ちを犯すことになるという声明が表された。ロシア国内では「ミストラル」をめぐるいざこざを分析する限り、この契約は実現しないほうが得になるという見解が高まっている。
    戦略景気センターのイヴァン・コノヴァロフ所長は、まず、ロシアの軍事的課題が仏のそれとどこが異なるのかを忘れてはならないとして、次のように語っている。

    「もちろんヘリ空母は必要な船だが、それよりも司令本部船となれる多目的船について語る必要があるだろう。ミストラルの問題はこれが多目的船ではあることから生じたが、これは遠洋で作戦を行う用の船だ。仏はそうした作戦をアフリカで行っている。アフリカは元仏植民地が多く、仏の影響が残っている。ロシアにこうした規模の船が必要となることはおそらくないだろう。部隊の配置換えも本部船もそのなかの野戦病院もこうした船は独立したユニットとして必要不可欠だ。これに加えて潜水艦に護衛され、本国からはるか遠い場所で作戦を行うわけだが、そうした関心はロシアには全くない。

    今、ロシアにとって第1に重要なのは同様のクラスの船を自前で作ることとなった。コノヴァロフ氏はこの課題はロシアは自力でこなすことができるとの確信を表し、さらに次のように語っている。

    「ロシアの軍事産業複合体はこうした船を作ることが出来る。問題はこうした船をロシアは作ってこなかったことにあった。こうした課題をたててこなかったからだ。契約が現れるまで、契約の話が持ち上がるまで、ロシアの軍産複合体でこうした船を作る必要性については誰も取り上げなかった。今やもちろん状況は変わった。もしこうした船を作るとすれば、仏の船とは著しく異なるものになるだろう。」

    しかも忘れてはならないのは、それぞれの国は自国の課題をまず解決すべきということだ。まさにこのために「ミストラル」はそれがどんなに美しいプロジェクトであったとしても、ロシアの目的には完全に応えるものではなかった。

    地政学問題アカデミーのウラジーミル・アノヒン副会長は、ロシアは今や独自の経験も有し、どういった目的でこうした船が作られるのかを理解しているため、この課題に果敢に取り組むことが出来ると指摘し、次のように語っている。

    「ロシアには豊富な空挺用船の造船経験がある。これは海軍の戦略にそうものだ。ロシアの船はどれも自己防衛ができる。ところがミストラルはそれができない。つまりミストラルを防衛するためにおびただしい船で取り囲まねばならないのだ。船は具体的課題にのっとって造船される。ロシアにとっては黒海の水域でヘリ空母が必要なのだが、それはこうした規模、排水量のものではなく、自衛できない類のものでもない。」

    もしロシアにとって「ミストラル」をめぐるこのエピソードが戦略的な教訓になれば、仏は将来、一連のシリアスな問題とつきあたり、おそらくこんにちパートナーである方面との信用問題でも困難が生じるはずだ。仏は自国の政治路線を終始米国の顔をうかがって調整することで、欧州大陸の課題には海のかなたの影響力のある大国にはほとんど関心がない事実をますます忘れるようになっている。

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    ミストラル, ロシア, フランス
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