ベトナムはモスクワを新鮮なミルクで満たす

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ロシアに対する西側諸国の制裁措置に対抗して、ロシア政府が導入した食料品及び農作物の禁輸措置は、国の農業発展に好ましい影響を与えた。とはいえ、ロシアの農家や農業企業が生産する、ロシア人の食生活に欠かせない重要な食料品の量は、残念ながら消費者を満足させるには不十分だ。そうしたも品目の中には、牛乳も挙げられる。国産牛乳は、国内需要の半分しか保証できない。首都モスクワ及びその周辺(モスクワ州)には1860万人が居住し、牛乳の巨大消費地となっているが、不足分は外国からの輸入でしのいでいるのが現状だ。

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しかし、ベトナム企業TH Group.の提案するプロジェクトが、状況を変えそうだ。この企業は、高い技術を誇るアジア最大級の乳製品製造会社の一つに数えられ、4万5千頭の乳牛を抱え、同社が保有する東南アジア最大の牛乳及び乳製品製造工場は、年に5億リットルもの生産能力を持っている。

TH Group は、ベトナムで言ってみれば「ミルク革命」を成し遂げた企業だ。かつてベトナムでは、牛乳の90%以上が外国から輸入される粉をもとに作られていたが、この会社は、今では市場の50%を自社の天然の新鮮な牛乳で保証している。おまけに同社は、この[革命]をたった5年間でやり遂げた。現在TH Groupは、乳牛の飼育から国内での製品の販売まですべてを自分達で行ない、5千人以上が働き、あらゆる作業段階では、世界でも最先端の技術・機械設備が用いられ、良質の乳がよく出る種牛は、ニュージーランドや米国そしてカナダから連れてきている。

このTH Groupが、モスクワ郊外に、牧場も含めた総合的な牛乳工場を建設する計画だ。プロジェクトの総額は27億ドルで、モスクワ州のアンドレイ・ヴォロビヨフ知事の積極的な支援を受けることになる。

スプートニク記者は、TH Groupのタイ・フィオン社長に話を聞いた-

「私達は、このプロジェクトを実現しようと望むモスクワ州当局の大きな意欲を目にしました。外国からの投資に対する優遇措置を含め、地域の社会経済発展の特質すべてに関する詳しい報告書が、私達に示されました。そこで私は知事に『私達に土地を分けてくれれば、一年後には、ここで牛乳が生産できるでしょう』と答えたのです。プロジェクトは、2025年までに3段階で実現されるでしょう。第一段階は2017年に終了する計画です。多くの乳を出す2万頭の乳牛を育てます。そして2025年までに、その数を20万頭にし、そのうち乳牛は15万頭となります。」

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TH Groupの社長で北アジア銀行の経営責任者でもあるタイ・フィオン氏が、投資する場としてモスクワ州を選んだのは、決して偶然ではない。彼女は次のように、述べている-

「私は、子供の時からロシアを愛しています。戦争の辛く困難な時期、私達に対しロシアがしてくれた巨大な援助に感謝しています。私の人生において、ソ連時代の作家オストロフスキイの小説『鋼鉄はいかに鍛えられたか』の主人公パーヴェル・コルチャーギンは常に模範でした。いつもいつかロシアに来たいと夢見ていました。そしてわたしの夢は実現しました。しかし旅行者としてではなく、企業人として今ここにいます。

投資するための場所をいろいろ考えながら、現代の世界の経済状況を検討した時に、私は、ロシアに食料品が不足している事を目にしました。そして、それなら私達が現地で牛乳を生産すれば、その不足を補う助けができると思ったのです。私は、これが良い投資となると確信しています。私達は、ロシア人にも又ベトナム人にも働き口を提供するでしょう。ロシアには,農業発展のあらゆる可能性があります。この分野に、ビジネスは一層積極的に参入すべきです。」

現在、プロジェクト調整に向けた必要な手続きが終了しつつある。2か月半後には、土地が用意されるだろう。そこには、牧場や牛乳加工工場、製品を管理する倉庫、労働者達が住む寮などが作られ、来年2016年にはもう、食料品店にベトナム企業が生産したモスクワ郊外産の牛乳が並ぶことになる。

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