18:33 2019年12月07日
人民元の切り下げは米国とIMFの意見の不一致を引き起こした

人民元の切り下げは米国とIMFの意見の不一致を引き起こした

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経済
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中国人民銀行が中国通貨・人民元の為替レートの基準値を1.6パーセント引き下げたことにより、12日の人民元の対ドルレートは6.33元となり、2012年9月以来の最安値を記録した。11日、人民元の対ドルレートは1.9パーセント下落した。これほどの急落は20年ぶりだ。

人民元は2日間で2回急落した。2回目の急落は1回目よりも大きなショックを呼んだ。中国は11日の切り下げについて「一度限り」の調整だと発表したが、2回目の急落が起こったため、中国はこれを1回だけの現象だったとして世界市場を説得することはできなかった。

一度このような事が起こってしまったのであれば、再び切り下げが行われる可能性もあると予測される。これは外国市場にとってリスクを高めるだけだ。加えてアナリストたちは、輸出業者をサポートするためだけに自国通貨の弱体化を望む他の国の通貨当局が、中国人民銀行の例に続く可能性もあると指摘している。そしてこれは、米連邦準備理事会(FRB)の行動にさらなる不安を与える。FRBはまもなく金利を引き上げる可能性がある。これによってドルが強くなり、他の通貨に対する競争力が低下する。現代発展研究所のニキータ・マスレンニコフ専門家は、「手動」操作による人民元の急激な切り下げについて、FRBが秋あるいは冬の初めに金利を引き上げると考えられているため、中国はその前に予防策として「安全クッション」を構築する必要があったのだとの見方を示し、次のように語っている。

「もちろん、そのためには国内通貨や金融市場の自由化に関する一定の条件が必要だ。中国は国内通貨や金融市場を自由化する方向で進まなければならない。なぜなら、もしそうしなければ、FRBが金利を引き上げた後、自国通貨が10-15パーセント下落するのを防ぐのが非常に困難になるからだ。なお他の国の通貨はさらに下落する可能性がある。市場は金利の引き上げが初めて発表された昨年半ばから、なめらかに金利の引き上げに適応するようになってきている。一方で、FRBの新たなニュースが伝えられる度に一種の金融的混乱が生じている。ここに大きな問題がある。それは、中国の金融市場が外界に開放された時に世界経済全体に広がる不安定な影響と、FRBの金利引き上げによる影響が重なることがないように、いかにしてそれらを引き離すかということだ。中国の金融当局の行動は、自国のためだけでなく、FRBの金利引き上げの影響を受ける先進国および新興国の全ての市場のために、その影響を緩和することを目的としている。中国の金融当局の行動は、この文脈において評価する必要がある。中国は、FRBの金利引き上げの影響を最も受けやすい中国が、できるだけ早く適応できるようにしているのだ」。

中国の対策は、アジアとその他の市場にどのような影響を及ぼすのだろうか?中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英(チェン・ フォンイン)所長は、次のように語っている。

「中国の対策はすでにアジアと世界の市場に影響を及ぼしている。現在、人民元の大規模な切り下げが行われているが、今後同じような状況が繰り返されることは恐らくないだろう。しかし中国は人民元を調整するために市場方式を使用して、人民元の競争力を高めるかもしれない。全ての国がドルの切り上げに直面し、ドル以外の全ての通貨は反対に切り下げられる。人民元も下落に向かうだろう。そのため依然として通貨の切り下げ圧力が存在しているのだ。アジアはドル圏だ。もしドルが高くなればアジアの通貨は下落する。その他にも人民元は、何よりも世界のビジネスサイクルに合わされている。そのため私は今後大規模な人民元の切り下げは起こらないと考えている。ただ市場が両方向に開かれるだけだ。また市場圧力については、結果的に人民元が下落する可能性があるものの、全てが国の管理化に置かれることはないだろう。世界市場は、人民元の切り上げと切り下げの競争の場ではない。私たちは価格が上昇するドルとの競争に直面している。世界は人民元をライバル視するべきでない。なぜなら人民元はドルの切り上げ圧力の下で切り下げられているだけだからだ。そのためアジアにとっても世界にとって人民元は最大の脅威ではなく、人民元のアジアおよび他の地域への影響もそれほど大きくはないのだ。現在私たちが見ているものは、自然な調整プロセスに過ぎず、ドルの切り上げへの対応に過ぎない」。

人民元の急激な切り下げは、国際通貨基金(IMF)と米国の中国に関する統一見解を変えさせ、意見の不一致を引き起こした。IMFは、中国人民銀行の決定を歓迎した。IMFの代表者は、中国人民銀行の行動によって、市場の力が為替ルートの決定でさらに大きな役割を果たすことが可能となるだろうと指摘した。一方で米国は、人民元の下落に懸念を表している。米財務省は、中国が輸出ではなく需要を原動力として経済改革を行うために、中国に圧力をかけ続けることを約束した。民主党のサンダー・レビン議員は、中国政府の人民元切り下げに関する決定について、これは市場の為替レートへ国が移行する問題を提起していると指摘した。レビン議員は、中国が自国の輸出のために不正な利益を得るために人民元の切り下げ政策を堅持しているとして深刻な懸念を表した。中国金融当局の対策は、厳しい通貨コントロールに対する米国からの批判を強めた。米国は、中国が人民元を弱体化するのではなく強化することに期待しており、それを求めている。最近アナリストたちが「通貨戦争」の新たな段階が始まる可能性について語り始めたのも偶然ではない。

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通貨, 中国
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