約7割が黒字維持も、様子見感強まる:ジェトロのロシア進出日系企業実態調査

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20 日、日本貿易振興機構(ジェトロ)は2019年度「ロシア進出日系企業実態調査」の結果を公表した。調査はアンケート形式で2019年10月から11月にかけて行なわれ、ロシアに進出済の日系企業102社が回答した。2019年度の営業利益見通しを「黒字」と回答した企業は全体の68.3パーセント。3年連続で約7割の水準を維持した。「赤字」見込みは過去最低の10.9パーセントだった。

昨年の同調査では、営業利益が黒字の見込み、と回答した企業が72.8パーセントだったため、前年比では4.5ポイント減となった。ただしこれはロシアに限った話ではなく、世界的な傾向だ。マクロ経済が減速する中にあって、約7割の企業が好調を維持していることは、日本にとってロシア市場が「儲かる市場」であることを意味している。

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ジェトロ・モスクワ事務所の戎佑一郎氏は、「ロシアは日本企業にとって引き続き重要な市場」と指摘する。

戎氏「米中貿易摩擦をはじめとした保護貿易主義の動きや地政学的緊張の高まり等の影響を受けて、2019年の世界経済成長率はリーマン・ショック以来の低水準でした。ジェトロが行った欧州やアジア地域の同調査でも、営業利益見通しは前年比マイナスになっています。ロシアの営業黒字見込み企業の割合は、欧州やアジアの同結果と比較しても遜色ありません」

ロシアにおける安全面でのリスクのトップは依然として「治安・テロ」だが、前回調査の53.5パーセントから39.6パーセントと、大きく減少している。その代わり、2019年にモスクワを中心に増加したデモを懸念する声が高まった。安全面でのリスクはないと答えた企業も25.7パーセントに達し、過去最高を更新した。

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投資環境面でのリスクとしては従来の通り「不安定な政治・社会情勢」や「不安定な為替」「行政手続きの煩雑さ」を挙げる企業が多かった。また、米国による対ロシア経済制裁の影響が「ある」とした企業が55.4パーセントとなり、前回よりも7.2ポイント増加した。ただし対ロ経済制裁の影響や行方については慎重に見極めようとする企業がほとんどで、約9割の企業が制裁を受けた事業展開の方向性について「現状維持」と回答した。

今後1~2年のロシアにおける事業展開について、「拡大」すると回答した企業は44.1パーセント(前年比9.4ポイント減)だった。いっぽう「現状維持」は調査開始以来、過去最大の53.9パーセント(8.3ポイント増)となり、様子見の姿勢が強まっている。

調査結果の詳細はジェトロのホームページから閲覧できる。

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