18:02 2020年09月29日
経済
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中国の貿易統計によれば、8月の輸出額は予想に反して9.5%増加した。一方、輸入は計画をはるかに下回り、2.1%減少した。中国政府は国内市場を支えに、国内総生産を倍増するとした政策をとっているが、今回の統計は輸出に重点をおいた発展モデルから脱却するのはまだ時期尚早であることを物語っている。

中国内外の専門家らは、中国経済の展望をめぐって、何度も懸念を表してきた。新型コロナウイルスの感染拡大によって引き起こされた現在の世界的な危機により、世界の需要は大幅に減少した。今回の危機的状況は、これまでのものとは異なり、経済的な原因によって生み出されたものではなく、コロナによる状況を収束させることができれば、打開できるかのように思われる。しかし一方で、中国は他の国よりもうまくコロナウイルスの危機から脱したにも関わらず、外国からの需要が少ないことは、輸出を中心とした中国の経済発展を脅かす、主な不安定材料となっている。

そこで、5月に開かれた全国人民代表大会と中国人民政治協商会議で、中国政府は何年かぶりに、今年のGDP成長率の具体的な目標を示さなかった。その理由について、政府は世界の情勢が不確定であり、成長率を予測するのは不可能であるとし、雇用、生活水準の向上、貧困対策、社会保障の充実など、国内問題の解決に重点を置いていくとの考えを明らかにした。その直後、中国では、国内市場と国外市場を倍増するとのコンセプトが示されたが、その内容については依然、明らかになっていない。おそらくこれは新たな5カ年計画の根幹を成すものであり、そこで詳細な説明がなされることになると思われる。しかし、中国政府高官らの発言から判断するに、倍増コンセプトは、国内市場、国内需要、国内産業の発展にアクセントが置かれている。言い換えれば、国外市場が不安定で、かつ中国が西欧諸国との関係を複雑化させている中で、国際市場と輸出だけに頼ることはできないということである。つまり巨大な中国の国内市場の潜在力を発揮するときがきたのである。

一方で、今回の貿易に関するデータは、輸出を軽視できないことを示している。ロイター通信の質問に答えた専門家らは、8月の輸出の増加を7.1%、輸入の増加を0.1%と予想していた。しかし結果的に、輸出は9.5%成長し、輸入は予想をはるかに下回り、2.1%の減少となった。また中国の8月の貿易収支は589億3,000万ドル(およそ6兆2,424億円)となった。もっともこの数字は7月の貿易収支(623億3,000万ドル)よりははるかに低いものとなっている。

これは、中国が旧来の発展モデルから脱却し、国内消費に切り替えることができないということを意味するのだろうか。中国国際問題研究所世界経済発展センターの姜躍春所長は、すべての原因はコロナウイルスの感染拡大にあるとの見方を示し、中国は輸入を拡大させたいと考えているが、コロナウイルスの感染拡大をコントロールできない国々が中国の需要を満たせずにいると指摘する。

「主な原因はコロナウイルスにあると考えます。米国、ロシア、ブラジル、インドはコロナウイルスによる状況を完全にはコントロールできずにいます。また状況が悪化している国もあり、コロナウイルスを収束させるため、ロックダウンのような厳格な措置が講じられています。もちろん、これは輸出の可能性を制限するものです。こうした条件下で、そうした国々が中国の輸入における需要を満たすことはできず、それが統計にも現れています。政治情勢について言えば、近年、中国は輸入量の拡大を続け、また輸出入の構造を調整しており、世界経済が弱体化する中で、中国が世界第2の経済国家としての役割を十分に発揮できるようになると期待しています。実際、コロナウイルス禍の中、中国の輸入は増加しています。しかし米国や西欧諸国は、国の安全保障を理由に一定の制限を設け、中国が特定の製品を輸入するのを禁じています。もちろんこれも輸入に影響を与えているとは思いますが、やはり主な原因はコロナウイルスでしょう」。

中国は「世界の工場」であり続けている。国連統計部のデータによれば、2018年、中国は世界の製造業の28%を占めた。この春、中国がロックダウンを実施しているときに、アップル社など世界の製造業社が自社製品の生産台数の減少を予想したのもうなづける。

また、コロナウイルスの感染が広がる中、中国は医薬品および個人防護具の輸出において、世界でも主要な国となった。今年、中国はこれらの商品の輸出高をほぼ3倍に増加させ、中国の輸出増加の牽引力となった。中国は3月から5月までのわずか2ヶ月で、706億枚のマスクを輸出した。ちなみに昨年、全世界で製造されたマスクの数は200億枚となっている。

中国の輸出量は多くの要因に左右される。多くの国は依然、生活必需品の輸入を中国に頼っている。中国の専門家の一人は、従って、世界の供給連鎖が再構築されない限り、中国の輸出は増え続けるだろうと指摘する。

「長年、中国は世界の工場として、生活必需品を大量に生産してきました。国際貿易において、中国は生活必需品の大部分を担っています。ですから、多くの国が依然、そうした製品の確保を中国に頼っています。米国も例外ではありません。西欧諸国は産業および製造の構造改革を行うとしていますが、短期的展望でなんらかの成果を出すのはかなり難しいと思います。供給連鎖というのは長年かけて形成されてきたものだからです。そして世界の供給連鎖が完全に変わらない限り、他の国々は生活必需品に対して、中国に依存し続けることになるのです。ですから今後も中国の輸出は増加し続けるでしょう」。

中国は輸入増加に向けた路線を維持している。2017年、中国の投資大手、中国国際金融(CICC)は、中国の輸入は2010年以降、毎年平均6%増加し、その速度は米国の輸入よりも早いものとなっていると指摘した。そしてCICCは、2022年に中国は、米国を追い抜き、世界最大の輸入国になると予測している。一方、米国が行なっている貿易および技術分野での対抗措置がなければ、このプロセスはもっと早く進むだろう。中米の第1段階貿易・経済協定で、中国は今後2年間で2,000億ドル以上の米国製品を輸入することが義務付けられている。しかし、米国は農産品やエネルギー資源で、輸入量を増加することを望みながら、同時に、毎年、中国が石油を上回る3,000億ドル(31兆7,778億円)も輸入している半導体など外国のハイテク製品の輸入を制限している。

中国の輸入は自由市場の条件の下で、より増加する。外交関係の悪化は中国を技術分野で孤立させることになる。パートナーを信頼できなければ、自国の力に頼るほかないのは自明の理である。

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