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    ベラルーシ出身の作家、スヴェトラーナ・アレクシーエヴィチ氏

    日本で最も読まれているアレクシーエヴィチの『戦争は女の顔をしていない』、出版元の群像社、島田編集長へのインタビュー

    © Sputnik / Viktor Tolochko
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    2015年のノーベル文学賞はベラルーシ出身の作家、スヴェトラーナ・アレクシーエヴィチ氏に贈られることが決まった。アレクシーエヴィチ氏はロシア語で本を書き続けている。アレクシーエヴィチ氏の著書は世界中で読まれている。

    今日日本では、彼女の6冊の著書のうち、最新の『セカンド・ハンドの時間』を除く5冊が翻訳されて出版されている。その翻訳を担ったのも偉大なロシア研究者で通訳、翻訳家の三浦みどりさん、松本妙子さんだ。

    ラジオ「スプートニク」は、日本でアレクシーエヴィチ氏の著書を3冊と最も多く出版しているロシア文学専門の「群像社」の島田進矢編集長にインタビューを行った。島田さんはここ数日、多忙を極めている。アレクシーエヴィチ氏の本を全国の書店に発送する作業が間に合わないからだ。そんなてんてこ舞いの中、島田さんは私たちのために貴重な時間を割いてくださった。心から感謝します!

    ラジオ「スプートニク」:群像社からは『戦争は女の顔をしていない』、『ボタン穴から見た戦争』、『死に魅入られた人びと-ソ連崩壊と自殺者の記録』とアレクシーエヴィチ氏の著書が3冊も翻訳されています。群像社とアレクシーエヴィチ氏との関わりは何がきっかけで始まったのでしょうか? アレクシーエヴィチ氏は日本での出版に二つ返事で応じたのですか?

    島田編集長:「もう亡くなられたのですが、三浦みどりさんという方がアレクシエーヴィチさんの作品を一番最初に日本で出たものからずっと関わってこられていて、翻訳はうち(群像社)で出た2冊と、別の会社からもう1冊でているのですが、彼女の勧めで出版することに決めました。うちが最初に出した『ボタン穴から見た戦争』は三浦さんが了解を取ってくださって、そのあとのは、アレクシーエヴィチさんが日本に来たときに三浦さんと一緒に話をして、群像社で出すことを了解してくれました。」

    「スプートニク」:日本でアレクシーエヴィチ氏の本はよく読まれていますか? よく読まれているとすれば、何が日本人読者を惹きつけているのでしょうか?

    島田編集長:「これまでは必ずしもたくさん読まれているというわけではなかったと思いますけれども、今回の受賞でやはり反応は大きいですね。うちで出しているなかでは、今までは『戦争は女の顔をしていない』が一番読まれていました。おそらく戦争という体験が今日本人でも共通するところがあるので、通じるところがあったのではないかと思います。」

    「スプートニク」:群像社としてはアレクシーエヴィチ氏の著書の再版をお考えですか?

    島田編集長:「今言った『戦争は女の顔をしていない』は数が少なくなっていて、注文に対応できないので、増刷することに決めました。ほかの2冊も様子を見て、無くなりそうだったら刷ります。」

    「スプートニク」:群像社はロシア語で書かれた本の、日本で唯一の専門出版社ですが、これからどんな作家の本を出されるご計画でしょうか?

    島田編集長:「このあと一番近いものではニヴフの作家でウラジーミル・サンギの小説を出すのと、ペテルブルグにいた、画家として有名だったコヴェンチュークさんという方のエッセイを準備しています。」

    「スプートニク」:ロシア語で書く若手作家の中で、今、島田さんからご覧になられて、将来のノーベル文学賞候補はいますか?

    島田編集長:「(大笑)それはなかなか、私にもわからないですね。人気と外国語によく訳されているという意味では、ヴィクトル・ペレーヴィンは、まぁ、まだ若いですから、すぐ(受賞)ということはないでしょうが、このまま書き続けていけば、ひょっとしたら20年後くらいに今の村上春樹のように毎年候補に挙がるかも、しれないですね。」

    スヴェトラーナ・アレクシーエヴィチ氏はミンスクでの記者会見で、ノーベル賞によって新しい本に取り組む可能性が開けたと語っている。アレクシーエヴィチ氏は5-10年を1冊の本の執筆に傾けているが、今取り組んでいるのは2冊で、1冊は愛について、もう1冊はパッション、熱情についてだという。「消滅について、人生の終わりについて。」「この2冊目のパッションについては、ロシアの文化はおそらくよりものにしていると思う。ところが幸せのほうは万人が望むものの、誰もそれが何なのかを知らない。」アレクーシエヴィチ氏はこう語っている。

    アレクシエーヴィチ氏は2000年代の初頭にベラルーシを出て、西欧に暮らしていたが、2013年から再びベラルーシに戻っている。

     

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