「児童文学賞に父の名を冠するのは、あまりにも残酷」 チェブラーシカの生みの親の娘 家庭内暴力の体験を語る

© Sputnik / Valeriy Levitin / メディアバンクへ移行エドゥアルド・ウスペンスキー氏
エドゥアルド・ウスペンスキー氏 - Sputnik 日本
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ロシア人に愛され続けるチェブラーシカを生み出した児童文学作家、エドゥアルド・ウスペンスキー氏の娘が、児童文学賞に父の名を付けないでほしいと求める公開書簡を発表。その書簡で同氏の娘は、ウスペンスキー氏が「長年」家庭内暴力を振るっていたと主張している。「Sobesednik.ru」が書簡を引用し、報じている。

エドゥアルド・ウスペンスキー氏は、2018年に80歳で亡くなった。彼が生み出したキャラクターの中には、ワニのゲーナチェブラーシカ、犬のシャーリク、猫のマトロスキン、コロボク兄弟がいる。同氏は、今日ロシアで大人気のアニメ『フィクシキ』は、同氏の作『なんでも直しちゃう小人たち』のあらすじを下敷きにしている。

「父はあまりにも残酷な人」

ロシア国立児童図書館は2020年5月、エドゥアルド・ウスペンスキー氏の名を冠した文学賞コンクールの実施を発表。この動きに対し、ウスペンスキー氏の娘、タチアナ・エドゥアルドヴナさんは、公開書簡を発表。有名な父親の名をつけて、この名誉ある賞を与えることに断固反対すると発表した。

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タチアナさんの書簡には「私は国家的な賞に名前を冠するような人物は、善良で道徳的な人であるのが第一と考えます。父は生涯、家庭内暴力を振るいつづけた、非常に残酷な人でした。それが彼の家族関係におけるシステムでした」と記されている。

タチアナさんによると、ウスペンスキー氏は公の場で、あるいはジャーナリストの前で、タチアナさんたちに偉大な作家の幸せな家庭を演じるように強要した。そして、「見せかけの平穏な暮らし」はタチアナさんたちに課せられたノルマの一つとなったという。

書簡ではさらに父、ウスペンスキー氏は「私(自分の娘)と母、父の孫たち、再婚相手の妻(有名なテレビ司会者のエレオノラ・フィリナ氏)の子どもたちに肉体的、心理的暴力を絶えず繰り返していた」と述べられている。

タチアナ氏が言うように、ウスペンスキー氏はアルコールの問題を抱えていたが、一般的な方法ではなく、破壊的な全体主義的セクトの創始者であるヴィクトル・ストルブン氏の疑わしい「治療」で解決した。ウスペンスキー氏はストルブン氏の宗教施設で子どもが暴行を受けていることを知っていたのにも関わらず、ストルブン氏を称賛し、友人や知人を彼の宗教施設に連れて行き、メディアを使って宣伝した。

タチアナさんは、父親には確かに才能があり、自分のアイデアで人々を魅了する能力があったが、「児童文学のように人道的な分野」の賞に父の名前を冠するのはあまりにも残酷すぎると訴えている。

「子どもを愛する必要はない」

書簡を発表したタチアナさんに児童文学作家のヴァレンティン・ポストニコフ氏も支持を表明した。

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ポストニコフ氏によると、ウスペンスキー氏が「児童作家らを助けたことは一度もなかった」。また、生前ウスペンスキー氏はタチアナさんを殴っていたという。さらにポストニコフ氏は「児童文学賞に子どもを愛さなかった人物の名前を冠してはいけない。彼は自分の娘のターニャ(タチアナさん)を殴り、侮辱し、ワンピースしか着ていないターニャを氷点下の外に放り出し、ドアをしめたものだった」と語っている。

ポストニコフ氏はウスペンスキー氏とのエピソードを紹介している。

「かつてウスペンスキー氏と一緒に、子どもの本週間にピオネール宮殿にいたことがある。子どもたちはエジクおじさん(ウスペンスキー氏)にサインを求め、一緒に写真を撮ってほしいと頼んだ。それに対し彼は『うせろ!』と言ったのだ。私はなぜあんな風に子どもたちに接することができるんですかと聞くと、彼の答えは『ヴァーリャ(ポストニコフ氏)、作家は良い児童文学作品を書くのに子どもを愛する必要はない。アンデルセンも子どもは好きではなかっただろう』だった」

国立児童図書館は、エドゥアルド・ウスペンスキーの名前を文学賞から外すことを拒否。図書館の広報担当者は「作家のプライベートな資質ではなく、彼の文学への貢献だけをみている」と発表している。

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