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    移民の大流入にシェンゲン圏は持ちこたえるか?

    移民の大流入にシェンゲン圏は持ちこたえるか?

    © REUTERS/ Ognen Teofilovski
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    ユーロゾーン内の移動の自由というのがEUの主たるルールの1つに数えられている。移動の自由についてはすでに1950年代に語られ始めていたが、その構想の実現化が叶ったのはようやく1985年。EU加盟国のうち独仏蘭ベルギー、ルクセンブルグの代表者らがシェンゲンで集まり、一連の国の国境のビザによる管理を簡素化する合意を締結したときだった1995年に発効した「シェンゲン合意」によって合意加盟諸国の圏内ではパスポートコントロールが無くなったため、外国人旅行者にはシェンゲン圏内の1国のビザを有していれば、自由な移動が許されることになっていた。

    こんにち、シェンゲン合意には26国が加盟している。そのうち4カ国を除いてはすべてがEUの加盟国。だがシェンゲン圏の未来は脅威にさらされるようになった。それはなぜだろうか?

    欧州を中東からの難民の波が襲った。難民の多くが目指すのはドイツとスウェーデン。この2カ国ではおそらく滞在許可が出されるからだ。今年2015年、ドイツは8億人の難民から受け入れ申請を受け取るものと見られている。この数値は2014年の年間の申請数を4倍上回っている。ハンガリー政府はEU圏を目指し、セルビアから入ろうとするおびただしい数の移民に対処するため、国境警備に軍を使う問題を検討したことを、26日、ハンガリー政府のゾルタン・コヴァチ公式代表が明らかにした。

    フィンランドのニーニスト大統領は自国の大使らを集めて演説した中で、「信じがたい規模にまで拡大した移民」問題に主眼をすえた。ニーニスト大統領は、移民問題は欧州を不安定化させる要因になりかねないとする見方を示し、「この問題では我々は矛盾に直面している。文明的なアプローチはこうした市民に手を差し伸べるよう求めているが、別の見方をすれば、我々の可能性にも限りがある」と語った。ニーニスト大統領はまた「自由な移動は管理しなくていいというわけにはいかない」と指摘し、シェンゲンというシステムがあらゆる急変に耐えうるものでるかどうかを問うた。

    ラジオ「スプートニク」ポーランド語課は、同様の問いをポーランド地政学協会の指導部のひとりで、欧州議会元議員のアンジェイ・ザパロフスキー氏にぶつけてみた。

    Q:北アフリカ、中東諸国からの難民はすでに欧州のゲート前まで押し寄せ、その国境を突破しようとしている。難民の圧迫にシェンゲン圏は持ちこたえるだろうか?

    A:「ドイツは最初に警鐘を鳴らし始めた。とはいえシェンゲン合意を拒んでも何もかわらない。この様子を我々は例えば、ギリシャとマケドニアの国境で眼にしているが、そこでは道路に警察と軍による防壁が築かれている。ただし難民は国境検問所を迂回して、野原をつっきって入ってくるのだ。おびただしい数の人間が移動しているため、これを停止させるわけにはいかない。

    ありがたいことに一般市民に銃口を向けようとする人は誰もいない。今度はドイツが可能な限り、あらゆる国境線に警察、軍を配置しようとしているが、たくさんの数の難民は防壁があっても、前を向いて進んでくる。

    ここで、こうした状況がコントロールを逸したのは誰の責任だったのかを考えてみよう。数年前、西ヨーロッパ諸国は米国の指導でイラク、リビア、エジプトの専制体制を見事に排除したが、その後、現地で平和で正常な日常が戻るために何も手を下さなかったではないか。

    今、一番有利な立場にあるのは米国だ。米国によって諸地域にカオスが生まれ、その恐怖から逃げ出そうと移民が渡ってくるのだ。移民の大行進で苦しんでいるのは米国ではなく、欧州だ。私は北アフリカ、中東に確固とした平和が築かれるよう、あらゆる尽力が傾けられねばならないと思う。その後、しばらくの間はこれらの国の市民に生活を築く支援を行わねばならない。また今、欧州へと入った難民らに対しては、祖国に帰還する手伝いをし、我々の支援を送らねばならない。」

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