12:43 2019年11月13日
Brexit

英国はEU離脱を強行か 懸案の「バックストップ」とは

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欧州
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Brexit:英国のEUからの離脱 (151)
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英国のジョンソン首相は10月2日、「何が起きようと」英国は10月31日にEUを離脱すると明言した。ジョンソン首相はマンチェスターでの保守党年次大会で演説した際に、EU離脱はこれ以上延期しないと確約した。

演説台に立ったジョンソン氏は、「英国のEU加盟を維持する方がいいという国民、支持者、欧州懐疑派、全世界は我々が大人しくEU離脱を取り下げ、他の問題に携わることを望んでいる。だからこそ、我々はどんなことがあろうとも10月31日にEUを離脱する」と言い放った。ジョンソン首相はEU離脱を問う国民投票を繰り返すことは断じて許容できないと付け加えている。

英国政府はEUに対し、アイルランドの境界線という懸案の問題をどう調整するかについて、公式的な提案を送付し、公表しなければならない。英国とEUの間の交渉の躓きの石となり、EU離脱合意の調印を妨げているのがまさにこのアイルランドの境界線問題なのだ。

主な障害

EU離脱で以前から一貫して最も頭の痛い問題となっているのが、EU加盟国であるアイルランド共和国と、英国の一部であり英国と同時にEU離脱を迫られる北アイルランド領との間の境界線だ。

いわゆるアイルランドの「バックストップ」をめぐる意見の相違からメイ前首相は下院での離脱をめぐる投票の延期を迫られ、その後EUに出向いて境界線問題でさらなる譲歩を得ようと奮闘したが、結局は失敗に終わっている。

ジョンソン氏はこれにアイルランドとの境界線における「バックストップ」はやめるという提案で臨んだ。ジョンソン氏の提案は「バックストップ」をしない代わりに北アイルランドでは境界線で一時的な関税体制をしくというというもの。このためには2つのアイルランドのボーダーに関税ポイントを設ける必要がでてくるが、これにアイルランドとEUが異議を唱えているのだ。

アイルランドの「バックストップ」とは?

「バックストップ」とは英国のEU離脱への移行期が開始された後、北アイルランドをEUの関税同盟および統一の欧州市場の一部として温存することをいう。「バックストップ」の状態は、英国とEUがグレートブリテン島における境界線の透明性を保障する解決策を見出すまでの間続けられる。英国とEUは2020年7月1日までにこの件でコンセンサスを見出すことで合意してはいるが、この期日は延期される可能性もある。境界線の透明性の解決策が見出されない間は、事実上、英国全域でEUの統一市場のルール、関税ルールが機能し続ける。

どうしてこれが必要なのか?

「バックストップ」が必要なのはグレートブリテン島に明確な境界線をひくことを避けるためだ。現在、アイルランド共和国と北アイルランドの間の境界線は透明で人、モノ、サービスの移動は自由に行われている。だが英国がEUの関税同盟から出てしまうと、この境界線は元の物理的国境(ハードボーダー)に逆戻りしてしまう。事態がこのように展開すれば、アイルランド分離主義問題が再燃し、1998年4月10日に英国とアイルランドの間で結ばれたベルファスト合意が反古になってしまう。ベルファスト合意の底辺にはまさに北アイルランドにおける和平とアイルランド共和軍によるテロ活動の停止が横たわっているのだ。

アイルランドでは「真のIRA」「継続IRA」「Arm Na Poblachta」といった急進的な武装勢力が依然として活動を続けている。先日、ロンドンに爆破物を送り付けたのもこうした勢力のうちの1つと考えられており、これは2つの領域の間に再びハードボーダーが出現した場合、どういうことになるかを分からせる警告だったとみられている。

なぜ英国は「バックストップ」のコンセンサスが得られない?

英国内には、EUが交渉を引き延ばしているのはしかとした目的があってのことで、北アイルランドを管轄下に置いたままで「バックストップ」に至らない中途半端な状態を維持しているのではないかという危惧感がある。その結果、英国は不確定な期間、部分的にEUの支配下に甘んじざるをえないか、または北アイルランドに対する貿易主権の放棄を迫られることになってしまう。そのいずれのパターンも現英政権には受け入れられるものではない。

その先はどうなる?

EUがジョンソン氏の最後通牒を退けた場合、双方は合意のないまま「物別れ」し、強硬な形で英国EU離脱が実現してしまうことになる。こういうパターンをたどる公算が今、一番高い。アイルランドとの国境問題はどうやら未解決のままで残されそうだ。

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英国, 欧州, ボリス・ジョンソン
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