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    TPPと日本:政治的利益と経済的損失の狭間で

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    日本のTPP参加交渉がおかしなことになっている。

    日本政府の代表は交渉の経過に関する情報を公開すると一旦は約束しながら、のちにそれを否定した。日米は実際、TPP合意調印にどの程度近づいているのだろうか。米国・カナダ研究所の主任研究員で駐日ロシア大使を務めたアレクサンドル・パノフ氏は次のように語っている。

    「基本的に、調印は成る。TPPは経済的なものである以上に、政治的なプロジェクトだから。TPPは米国がグローバル外交の支柱として考え出したものだ。2種類の「環」が計画されている。環太平洋パートナーシップと、環大西洋パートナーシップだ。いずれも成立すれば、米国の権能と影響力が維持されることだろう。特にTPPについては、それが地域における中国の経済的優越圏の創設を阻害し、中国が地域諸国を自陣営に引き込むのを邪魔するためのものであることは、当初の当初から誰の目にも明らかだった。中国が提唱するアジアインフラ投資銀に先進国の中で唯一参加していない2カ国が米国と日本であるのも偶然ではない。つまりは純粋に政治的決定だったのだ。日本は可能な限り早くTPP合意を結びたかった。しかし経済が躓きの石になったのだ」

    パノフ氏によれば、日本の経済界は、自分たちは多くのものを失うことになる、と見込み、それぞれの立場で闘争を行っている。とりわけ、農業と自動車製造業でそれが顕著である。この2部門では、日本も米国に譲歩したくない。闘争は続く。政治エリートの内部でも闘争は行われる。日本の実業界は政府に働きかける独自のチャンネルを持っているのである。

    政府が一度は、公式サイトにTPP交渉に関する情報を公開する、と約束しながら、のち撤回した一件については、パノフ氏は次のような説明を試みている。おそらく政府の目論見としては、情報公開によって、実業界は何も失いはしない、国益は特段制限されない、むしろ全てがプラスに働くのだ、ということが報知されるはずだった。しかし、むしろ交渉における日本の立場がより一層分裂を深めるとの危惧から、情報公開を危ぶむ声が立ち勝ったらしい。再びパノフ氏。

    「友情は友情だが金のことは別、というやつだ。日本はTPP参加による損失をまず第一に考えざるをえない。米国の側でも、日本の譲歩が少ないことへの不満の声が大きい。米国にも自らの経済的利害や、経済ロビーがあるのである。たしかに議会はオバマ大統領に、事前の通知さえなしにTPP合意に署名してよいという、白紙委任状を渡した。その議会の内部でも、なぜ我々はこんなに沢山譲歩しなければならないのか、との疑問の声が出ている。特に農業および自動車。つまり政治は政治だが金のことがまず第一、というわけだ。金というものは、誰も損を出さないようにして分けるのが必要なのだが、それはなかなか難しい。そこで、たとえば関税をいかに引き下げるかといった点で、闘争が行われる」

    では妥協はどのようにして可能になるのか。パノフ氏は次のように語る。

    「妥協の輪郭はもう明らかになりつつある。一番センシティブな農業と自動車を、合意の本体から切り離し、5年、10年、15年の一時的特恵を与え、市場を完全に開放しなくてよいようにすることだ。日本では多くの人が、次のように考えている。農業は犠牲にするほかない、農業は遅れている、働き手も高齢化しているし、従事者はわずか200万人である、GDP全体に占める割合もそう多くない、ただしコメ農家は支える、と。TPP加盟で日本経済の発展は大いに加速する、との立場のロビーが、日本では強い」

    しかし、TPP加盟からくる損失を低減させることはそう簡単なことではない、とパノフ氏は語る。

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