00:07 2018年10月19日
露米関係「温暖化」方針で日露関係の可能性の枠は拡大

露米関係「温暖化」方針で日露関係の可能性の枠は拡大

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日本
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アンドレイ イルヤシェンコ
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トランプ大統領の最初の外交的接触は、トランプ大統領が対外関係を築いていく上で基盤となる事項の優先順位を示した。米国が伝統的な同盟国としてあげた中にオバマ政権のもとでは関係が冷戦レベルにまで落ちていたロシアが入ったのは特筆に値する。

トランプ氏の大統領就任後、初めて米国を訪問したのは英国のメイ首相。訪米の結果は、英国が米国の最も近しい世界的な同盟国になりつつあることを示している。環太平洋地域で最も近しいと認められているのはどうやら日本のようだ。トランプ大統領は28日、安倍首相と電話会談を行った。安倍首相はメイ首相に続き2月10日に米国を公式訪問する予定だ。日米首脳会談の前に、マティス新米国防長官が日韓を歴訪することは特筆に値する。続いて電話会談を行ったのは、NATOとEU諸国で鍵となる国のドイツのメルケル首相だ。トランプ大統領の3番目の電話会談の相手は、以前であれば米国の近しい同盟国の中には明らかに入らなかっただろうプーチン大統領。その後は、地域の同盟国であるフランス、オーストラリア、サウジアラビア、韓国と進んだ。中国はこのリストには入らなかった。

トランプ大統領とプーチン大統領の会談は、対露関係を改善したいとのトランプ大統領の声明通りに行われ、ロシア大統領府とホワイトハウスの報道担当は、電話会談後の発表で、露米関係改善に注意を向けた。両国の主な協力分野は、ダーイシュ(イスラム国、IS)との闘いだ。

トランプ大統領が28日、アメリカ統合参謀本部に対して30日以内に、ダーイシュとの闘いの新たなプランを提出するようもとめる覚書に署名したことは記憶に新しい。トランプ大統領はシリアでの軍事作戦実行の規則を見直すことを提案し、反テロ連合に加わりうる新たな同盟者を列挙するよう求めている。シリアにおけるロシアとの軍事協力禁止もそろそろ終わりに近いようだ。

2つ目に注意を向けるべき点はロシアと米国のビジネス界の間での互恵的な貿易経済関係の回復であり、その重要性を今回両国首脳らが話し合ったことだ。これは何よりも対露経済制裁の廃止もしくは決断力のある緩和を見込んでいる。露米両首脳の最初の実務的な接触にとってはこのような確認は十分なものだ。それは、これが米国や海外のビジネスに対して、ロシアとの真剣な経済プロジェクトはタブーではなくなりつつあるというシグナルを送っているからだ。

露米関係におけるこのような「温暖化」方針は一方では安倍首相にとってはプーチン大統領との関係における新たな可能性の枠を広げることにつながる。安倍首相はどうやら、米国やG8のパートナー国に対して、西側諸国のウクライナに関する団結した立場にかかわらず、日本には、ロシアとの2国間の議題の問題を解決する必要があると証明する必要が無くなりそうだ。

昨年12月のプーチン大統領の訪日では、総額約25億ドルの70以上の経済文書に署名された。これが日本にはロシアとの真剣な経済協力を行なう準備があり、単なるPR活動ではないことを示すのは特にエネルギー産業における大規模プロジェクトだが、しかしそれらのプロジェクトは米国の制裁に直接、もしくは間接的にかかってしまう。この分野におけるブレークスルーはまだ見られないが、経済における真剣なプロジェクト抜きにして政治的対話は進まない。

制裁緩和はまた、ロシアとの燃料エネルギー協力関係が重要な分野である米国自身にとっても利用される可能性がある。同分野の重要性を認識するには、ロシア北極棚における「ロスネフチ」との協力での米エクソン・モービル社の活発さを思い出す価値があるだろう。制裁によって協力関係は中断されたが、現在、米国務長官になったのは、ロシアのビジネスに詳しいエクソン・モービルCEOのレックス・ティラーソン氏なのだ。

米国の関心はシベリアとロシア極東における協力活動からの直接的な商業的利益だけでなく、ロシアと中国の非常に密接な政治的パートナーシップに対して巨大経済プロジェクトによってバランスをとることでもあるのは否めない。ここでは日米の政治上のベクトルは多くの点で一致しているが、経済的利害においては、そうとは言えない。

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露日関係, 露米関係, ドナルド・トランプ, 安倍晋三, ウラジーミル・プーチン, 日本, 米国, ロシア
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