広島市長、核抑止は不安定で危険極まりないと主張、自国第一主義の台頭を懸念

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6 日、広島は73回目の原爆の日を迎えた。広島市の松井一実市長は平和宣言の中で、「核抑止や核の傘という考え方は、核兵器の破壊力を誇示し、相手国に恐怖を与えることによって世界の秩序を維持しようとするものであり、極めて不安定で危険極まりないもの」だと訴え、核保有国や、米国の核の傘に頼る日本の姿勢を批判した。また、「世界では自国第一主義が台頭し、核兵器の近代化が進められるなど、各国間に東西冷戦期の緊張関係が再現しかねない」と懸念を示した。

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広島の被爆者、山本定男さんは昨年7月、国連の核兵器禁止条約採択にあたり、スプートニクとのインタビューで「世界の核大国である米国もロシアも、米国の核の傘の下にある日本も、核兵器禁止条約に参加していません。私たち被爆者にとってこれは本当に悲しいことです。核保有国は率先して核兵器をなくしていこうと声を上げてほしい」と話していた。6日、平和記念式典を終えた安倍首相は記者会見で「アプローチが異なる」として、核兵器禁止条約に参加するつもりがないことを改めて強調した。中日新聞の報道によれば、安倍首相と面会した広島被爆者団体連絡会議の吉岡幸雄事務局長は「私たちの要望に聞く耳を持たず、腹立たしい」と不満を隠さなかったということだ。

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今年2月、トランプ政権のもとで、米国防省は新しい核戦略の指針「核体制の見直し(NPR: Nuclear Posture Review)」を発表した。新核戦略の中では、威力を抑えた核兵器の開発や、通常兵器での攻撃に対しても核での報復を辞さないという方針が打ち出されている。日本政府はこれに対し、「米国と安全保障認識を共有し、NPRを高く評価する」と表明している。

これに対し中国・西南大学イラン研究センター長代理の陳俊華氏は「米国の小型核弾頭の開発は現実的な核使用の敷居を下げることになり、軍拡競争の可能性を高める。『中国の脅威』というフレーズを広めることで、自国の核技術発展を正当化している」と批判している。

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