20:35 2020年10月23日
日本
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日本が毎年刊行する防衛白書では、今回、軍事分野で科学技術の役割が高まってるいることが指摘され、また、宇宙とサイバー空間、電磁波の利用といった3つの新たな防衛方針のダイナミズムが強調された。これらすべての分野に関連してロシアと中国の名が挙げられている。通信社「スプートニク」は、日本が防衛戦略上、隣国の露中をなぜこれほど注視するのか、そもそも危惧の対象はどのような脅威なのか、軍事の専門家に意見を聞いた。

白書では、特に軍事科学と技術の項目で極超音速兵器の開発にロシアと中国が取り組んでおり、これを米国が自国のミサイル防衛上の脅威と位置付けていることが指摘されている。こうした見解に対し、ロシア戦略研究所の軍事専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏は異なる考えを示している。

「確かに日本は米国のミサイル防衛システムの地上配備を断念したが、それでも海上のミサイル防衛を米国の迎撃ミサイルによって強化しようとしている。米国本土にとってロシアや中国の極超音速機は脅威にはならない。ロシアがこうしたタイプの兵器を使用しようと思えば、たとえばキューバやカナダ、メキシコに極超音速ミサイル・システム『キンジャル」を配備しなくてはならないが、それは無理な話だ。反対に、現在、積極的に開発と配備が進められている米国製の極超音速機は、ロシアにも中国の領土にもまさに脅威だ。米国は文字通りロシアと中国の周りを軍事基地で取り囲んでおり、そこから極超音速機によるミサイル攻撃が容易に実施できる。これはダブルスタンダードだ。最終的に米国は何を達成しようとしているのか、理解できない。『キューバ危機』を繰り返そうとでもいうのだろうか?」

ロシアの競合情報問題の専門家で、退役中佐のアンドレイ・マサロヴィチ氏の見解は次のようなものだ。

「サイバー空間においてロシアや中国が可能性を広げることは悪いことでも脅威でもない。次の戦争はサイバー空間で起こることはみんなが理解している。人と人が対峙するような戦いは起こらない。戦いは、他国の重要なインフラに対しロボットが攻撃を行う。そのためロシアと中国の課題は、この分野で後れを取らないということだ」。

一方、歴史家で政治学者、また国際関係学・日本学の専門家のドミトリー・ストレリツォフ氏は、日本の防衛白書にロシアについての記述が頻繁に登場するということは、日本の軍事上層部がロシアをある種の脅威ととらえており、ロシアについての認知が「質的な飛躍」をとげたことを示していると強調する。

平和条約交渉を行っている間は日本政府、ロシアを直接的な軍事的脅威、日本の敵と評価している資料の提出を控えていた。現在、どうやら日本政府はこうしたスタンスから離れつつあるようだが、これは日本の指導者らが、領土問題の交渉を成功させるという展望を失ったことに関連している」。

ドミトリー・ストレリツォフ氏はさらに次のように続けている。

「日本政府は、ロシアの軍事技術が北朝鮮に流出し、この国でミサイル兵器が開発されることを危惧している。さらに、クリル諸島で軍事施設が建設されるという状況を、日本政府は自国に対する非友好的な行為だと理解している」。  

ストレリツォフ氏は、防衛白書における今日の日本の安全保障上の認識では、軍事的な脅威よりむしろパンデミックが「殊に強調」されていると考えている。

「新型コロナウイルスの状況も日本の防衛白書にその影響が現れている。ロシアは中国同様、新型コロナウイルスの情報を改変したとして非難されており、このことも日本の安全保障に対する明確な脅威であるととらえられている」。

ストレリツォフ氏は、防衛白書とは日本の軍事指導部の「拡声器」であり、事態を誇張するおそれがあると注意を促している。また一方で、同氏は、実際には日本はこれまで通りロシアを重要なパートナーとして位置づけ、ロシアから攻撃や侵略が行われることなど想定していないとみている。

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露中関係, 新型コロナウイルス, 日本
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