どのような問題が議題となるのか
今回の首脳会談では、日米同盟の強化や自由で開かれたインド太平洋地域の創設に向けた協力、新型コロナウイルス感染対策、気候変動、人権問題、対中国政策、最近の北朝鮮のミサイル発射実験への対応、朝鮮半島の非核化など、幅広いテーマが議題として扱われることになっている。
北朝鮮のミサイル発射に対しては、日本はすでに、核やミサイル、拉致問題といった諸懸案で進展が見られないとして、日本独自の北朝鮮への制裁措置を2年間延長すると発表した。
この制裁措置の内容は、輸出入の全面的な禁止と北朝鮮籍の船舶や北朝鮮に寄港した船舶の入港を禁止するというものである。これに対し、北朝鮮は再び、旧日本軍の慰安婦をはじめとする植民地時代の強制動員について日本に謝罪と賠償を求めた。専門家は今回の日米首脳会談で、北朝鮮の完全非核化に向けた共同声明を採択する可能性があると見ている。ただし日米のどちらにも、これを実現するためのメカニズムは存在しない。
気候変動の問題をめぐっては、日米両国の間に意見の対立はない。日本は国連が求めているカーボンニュートラルを2050年までに実現する意向を示している。
ジョー・バイデン大統領も最近、気候変動対策に関連した大規模な改革案を発表した。またアラスカで3月19日に行われた協議では、人権問題をめぐって深刻な意見の対立があるにもかかわらず、米国と中国が気候問題に関する作業グループを立ち上げることで合意に達した。
係争案件はあるのか
今回の日米首脳会談で扱われる議題のすべてにおいて、両国は意見の一致を見ているのだろうか、それともやはり意見の対立はあるのか?「スプートニク」はこれについて、ウラジオストクのロシア戦略研究所アジア太平洋センターのアンドレイ・グビン所長にお話を伺った。
米国は日本に対し、経済分野を含め、強力な影響力をもっています。そして日本は安全保障、尖閣諸島をめぐる中国との領土問題、北朝鮮の拉致被害者の帰国などの問題で、米国の協力を期待しています。しかし、米国は日本により多くのことを求めています。たとえば、新疆ウイグル自治区での人権侵害問題に関連した中国の政府高官に対する欧米諸国による制裁などに関してです。つまり、今度の首脳会談では、菅首相がバイデン政権の期待に応えられるかどうかが示されることになるでしょう」。
また菅首相の訪米では、両国にとって重要な問題である半導体などの重要部品の供給不足について協議が行われることになっている。日本の自動車産業は半導体の主な消費者であり、半導体の供給不足は日本の経済に大きな打撃を与える可能性がある。そこで提案されているのが、分散型の供給網を作り、特定の地域に生産拠点を偏らせないというものである。とりわけ、半導体部門における新たなテクノロジーをより活発に習得していくため、日本に共同の調査センターを創設するという計画も出ている。
米国の関心は、中国に対する制裁を強化することである。しかし日本のリソグラフィー機器とその周辺機器のメーカーは、中国との取引においてそこまでの制限を設けておらず、このことが米国を苛立たせている。