2012.09.12 , 20:46

先例のない挑発

先例のない挑発

   「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、韓国を占領することを想定した軍事演習を行う」もしも平壌がそうした発表を行えば、世界に一大センセーションが巻き起こるだろう。国連安保理の紛糾も避けられまいし、侵略を説得する怒号にも似た依願が寄せられるだろう。さてここで、韓国紙「ドナ・イリボ」を覗いてみよう。ここに、最近行われた韓米共同軍事演習についての記事がある。演習は、韓国軍による北朝鮮の占領を想定したものだったという。しかしこの記事は、ほとんど耳目を引くことなく看過されてしまった。

   朝鮮半島情勢に関するダブルスタンダードは全く露骨だと、ロシア科学アカデミー極東研究所のコンスタンチン・アスモロフ研究員は考えている。

   ―北朝鮮が人工衛星を打ち上げると、あたかもミサイルが発射されたかのように騒ぎが持ち上がり、紙面に「標的はソウル」「東京に向けたもの」といった大きな活字が並ぶ。しかし韓国が、北朝鮮占領という具体的目的に基づく具体的な軍事演習をしても、世界は何の反応も示さないのだ。

   韓米共同軍事演習が行われたのは8月のことだったが、演習が北朝鮮占領およびそれに続く治安維持を想定したものであったと明らかになったのは最近のことだ。このような課題をもった軍事演習は始めてのものだとコンスタンチン・アスモロフは指摘し、さらに次のように続けている。

   ―これまで演習では、北朝鮮から攻撃が加えられた場合の行動が訓練されていた。韓国はこれら軍事演習を、外国の侵略に対する防衛的意味のものだと正当化することが出来た。翻って今度の演習は、本質においてほとんど挑発である。韓国と米国は、北朝鮮の神経を逆なでしただけではない。本質において演習は、アジア太平洋地域全体の利益を損ねかねない侵略的傾向のデモンストレーションだったのだ。

   韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、南北両朝鮮の統一を南による北の吸収という形でしか考えていない。平壌にとって、これは宣戦布告と同義である。ソウルが南北両朝鮮統一基金に増資すると決定した直後、北朝鮮の金正恩第一書記が軍備の増強を指示したことは偶然ではない。金第一書記はまた、韓米サイドから挑発行為があった際、応分の報復攻撃を行う計画へも署名した。

   韓米共同軍事演習は、米国および韓国が地域の緊張緩和に関心を持っていないということを示した。戦争ゲームは明らかに、朝鮮半島における軍事的な衝突の蓋然性を高めた。あらゆることから判断して、対抗の意味で平壌の軍事ドクトリンは修正を余儀なくされ、北朝鮮プロパガンダはおそらく、南に陣取る民族の敵に対する新たなキャンペーンを喧伝するだろう。

   北京も同様に、ソウルとワシントンが公然と隣国吸収を念頭においた演習を行っていることを、黙って見ていることは出来ない。朝鮮半島の北部は、伝統的に中国の影響圏である。北京は、国益を損ねないために、すべてのことをするだろう。最悪の場合には、従順な北朝鮮に代わって米軍基地もろとも、中国自身が半島を自国国境のうちに収めてしまうかもしれない。

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